研究成果

絶縁体中を動き回る謎の中性粒子を検出 -「絶縁体」における「金属」的な熱の伝搬-


2019年07月03日


     佐藤雄貴 理学研究科博士課程学生、笠原成 同助教、笠原裕一 同准教授、松田祐司 同教授、芝内孝禎 東京大学教授、伊賀文俊 茨城大学教授らの研究グループは、米国ミシガン大学、米国ロスアラモス国立研究所と共同で、ある種の絶縁体の内部を動き回る未知の中性粒子を発見しました。

     物質は電気が流れるか流れないかで金属と絶縁体の二種類に分類され、金属は熱を伝えやすく絶縁体は熱を伝えにくいという性質をもちます。これは金属中で電気を伝える伝導電子が熱の運び手になっているからです。

     本研究では、イッテルビウム12ホウ化物(YbB12)という絶縁体を絶対零度近傍まで冷却し、この物質の熱的な性質を詳細に調べました。その結果、YbB12は電気的には絶縁体で電気は伝えないにも関わらず、熱の伝導が金属と同じ振る舞いをすることを発見しました。本結果は、この物質中に電荷をもたずに熱のみを伝える謎の中性粒子が存在していることを示唆しています。

     今後、この中性粒子の性質や起源を明らかにすることで、物性物理学における新しい展開が期待されます。

     本研究成果は、2019年7月2日に、国際学術誌「Nature Physics」のオンライン版に掲載されました。

    図:YbB12における電気伝導および熱伝導の概念図。電気を伝えない絶縁体であるにも関わらず金属と同様に熱を運ぶ。水色の点は熱のみを伝える電気的に中性な未知の粒子。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41567-019-0552-2

    Y. Sato, Z. Xiang, Y. Kasahara, T. Taniguchi, S. Kasahara, L. Chen, T. Asaba, C. Tinsman, H. Murayama, O. Tanaka, Y. Mizukami, T. Shibauchi, F. Iga, J. Singleton, Lu Li & Y. Matsuda (2019). Unconventional thermal metallic state of charge-neutral fermions in an insulator. Nature Physics.


    絶縁体中を動き回る謎の中性粒子を検出 -「絶縁体」における「金属」的な熱の伝搬-
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