研究成果

宿主がHIV-1感染を抑制する新たなメカニズムの解明 -N4BP1によるRNA分解とその調節がウイルス再活性化を調節する-


2019年05月29日


     竹内理 医学研究科教授らの研究グループは、エイズ発症の原因となるヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の感染を抑制する新たな宿主タンパク質としてN4BP1を同定し、その分子メカニズムを明らかにしました。

     HIV-1は宿主細胞に侵入後、組み込まれたウイルスゲノムDNAからウイルスmRNAを転写し、新たなウイルス粒子を産生、感染を拡大します。宿主には、HIV-1感染を抑制する免疫機構が存在しますが、これまでウイルスmRNAを標的とした防御機構は分かっていませんでした。
     
     本研究では、HIV-1感染を抑制する新たな宿主因子としてN4BP1を同定しました。N4BP1はCD4陽性T細胞などHIV-1感染標的細胞で、ウイルスmRNAと結合し、これを分解することで、HIV-1感染を抑制しました。しかし、活性化CD4陽性T細胞ではN4BP1が宿主タンパク質分解酵素MALT1により分解され、その機能を失うことが明らかとなりました。また、HIV-1潜伏感染細胞においては、MALT1でN4BP1が分解されることが、HIV-1の再活性化に寄与することが分かりました。
     
     本研究成果は、今後の抗HIV-1ウイルス療法の進展や、潜伏感染細胞の根絶療法の開発へと発展することが期待されます。
     
     本研究成果は、2019年5月28日に、国際学術誌「Nature Microbiology」のオンライン版に掲載されました。
     

    図:N4BP1によるHIV-1mRNA分解とその制御モデル

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41564-019-0460-3

    Daichi Yamasoba, Kei Sato, Takuya Ichinose, Tomoko Imamura, Lennart Koepke, Simone Joas, Elisabeth Reith, Dominik Hotter, Naoko Misawa, Kotaro Akaki, Takuya Uehata, Takashi Mino, Sho Miyamoto, Takeshi Noda, Akio Yamashita, Daron M. Standley, Frank Kirchhoff, Daniel Sauter, Yoshio Koyanagi & Osamu Takeuchi (2019). N4BP1 restricts HIV-1 and its inactivation by MALT1 promotes viral reactivation. Nature Microbiology.

    • 産経新聞(6月21日 22面)に掲載されました。

    宿主がHIV-1感染を抑制する新たなメカニズムの解明 -N4BP1によるRNA分解とその調節がウイルス再活性化を調節する-
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