アルツハイマー病の神経毒性物質の形成と伝搬機構を解明 -発症に繋がる新たなメカニズムを提案-

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星美奈子 医学研究科非常勤講師(神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター部長)らの研究グループは、アルツハイマー病の神経毒性物質の形成と伝搬機構を解明しました。

これまで、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβ(Aβ)がどこで産生されているか、どこで毒性を持つ凝集体に変わるのかは不明でした。

そこで本研究グループが、成熟神経細胞を用いた実験系を構築し調べた結果、アルツハイマー病の神経細胞死の原因として本研究グループがこれまでの研究で患者の脳から発見した毒性凝集体アミロスフェロイドが、特定の神経細胞で検出され、この毒性凝集体の蓄積に伴って神経細胞内での細胞内輸送が異常になることを示しました。

さらに、本研究では、細胞のタンパク質の構造異常を見張り、異常タンパク質を壊す役割を持つプロテアソームの活性低下が、毒性凝集体の蓄積を起こすことを示し、これまで不明であったアルツハイマー病発症の初期過程に踏み込むことに成功しました。

本研究成果により、将来、新しいメカニズムによる治療薬の開発が可能になると期待されます。

本研究成果は、2019年3月1日に、国際学術誌「iScience」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.isci.2019.01.018

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/236652

Hitomi Komura, Shota Kakio, Tomoya Sasahara, Yoshie Arai, Naomi Takino, Michio Sato, Kaori Satomura, Takayuki Ohnishi, Yo-ichi Nabeshima, Shin-ichi Muramatsu, Isao Kii, Minako Hoshi (2019). Alzheimer Aβ Assemblies Accumulate in Excitatory Neurons upon Proteasome Inhibition and Kill Nearby NAKα3 Neurons by Secretion. iScience, 13, 452-477.

  • 日刊工業新聞(3月1日 21面)に掲載されました。