研究成果

生物個体数のわずかな変化から生態系崩壊の兆しを予測、理論を提案


2017年12月06日


     門脇浩明 生態学研究センター研究員、西嶋翔太 中央水産研究所研究員らの研究グループは、生態系の劇的な変化(レジームシフト)についての分析と数理モデルを組み合わせ、生物個体数の小さな変化を追跡することで、生態系の異常や崩壊の予兆を検知するための枠組みを提示しました。

     本研究成果は、2017年12月2日にElsevier社発行の「Ecological Indicators」電子版に掲載されました。

    研究者からのコメント

     自然界は、一見安定しているようにみえます。しかし、ある出来事をきっかけに劇的に変化したり、崩壊したりすることがあります。こうした生態系のバランスに突如生じる異常を事前に検知することはとても難しいテーマとされてきました。本研究では、生物個体数のわずかな変化を頼りに、生態系の崩壊の予兆を検知する枠組みを提示しました。今後は、環境DNA(※)など最新のモニタリング技術と組み合わせ、より正確な予測を実現したいと考えています。

    ※水をすくい、その中に含まれるDNAを解析することにより、そこに生息する生物の種類を網羅的に調べることができる最新の手法

    概要

     生息地の破壊や気候変動などによって、生態系が突如として劇的に変化することがあります。これが、レジームシフトです。レジームシフトは生態系を管理するうえで最も対処が難しい問題といわれています。生態系の崩壊は閾値を伴う反応であるため、環境変化の追跡から崩壊を予測することが難しいことが原因です。また、一度失われた生物群集は環境条件を改善しても回復しづらいため、崩壊後の対処も難しいという側面もあります。このような背景から、レジームシフトの予兆検知や一度崩壊した生態系の回復のためには具体的にどうすべきか、確たる手法は明らかになっていませんでした。

     そこで本研究グループは、生態系の中で特定の種の個体数変化を追跡することで、レジームシフトを予測できる可能性を探りました。過去の研究文献と数理モデルを組み合わせ検討したところ、レジームシフトに先駆けていち早く個体数が少なくなる種があることが分かりました。また今回の知見を応用し、環境を再生するためには生物を導入する順序を適切に組み立てることが効果的であることも指摘しました。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.ecolind.2017.11.035

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/228165

    Kohmei Kadowaki, Shota Nishijima, Sonia Kéfi, Kayoko O. Kameda, Takehiro Sasaki (2017). Merging community assembly into the regime-shift approach for informing ecological restoration. Ecological Indicators, 85, 991-998.


    生物個体数のわずかな変化から生態系崩壊の兆しを予測、理論を提案
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