研究成果

筋骨格系を繋ぐ組織の成熟には転写因子Scleraxisが重要な役割を果たすことを解明


2017年03月27日


     宿南知佐 ウイルス・再生医科学研究所客員教授(広島大学教授)、開祐司 同教授、近藤玄 同教授、吉本由紀 広島大学特任助教らの研究グループは、腱・靱帯やその連結部にあたる軟骨など、筋骨格系を繋ぐ組織の成熟には転写因子Scleraxis(Scx)が必要であることを明らかにしました。

     本研究成果は、2017年3月22日午後7時に「Scientific Reports」オンライン版に掲載されました。

    研究者からのコメント

     今回、Scxが繋ぐ組織の成熟に必要な転写因子であることは明らかになりましたが、再生医療に応用することのできる幹細胞からScx陽性細胞を効率良く誘導する方法は知られていません。今後、液性因子や低分子化合物を用いて、iPS細胞のような多能性幹細胞からScx陽性細胞を誘導する方法を開発することによって、外科的な処置だけでは完治を見込めない、繋ぐ組織の再生が可能になることが期待されます。

    本研究成果のポイント

    • 腱・靱帯やその連結部にあたる軟骨など、筋骨格系を繋ぐ組織の成熟には、転写因子Scxが必要であることを解明しました。
    • 今回の結果は、一旦損傷すると修復が困難な腱・靭帯やその連結部の再生医療につながることが期待されます。

    概要

     腱・靱帯とその連結部の軟骨は、筋骨格系が一体化した運動器として機能的に働く際に欠かせない役割を果たしていますが、血管網が乏しいため、一旦損傷すると機能的な回復が難しく、再生医療の標的の一つとなっています。

     本研究グループは、ScxCreノックインマウス(染色体の特定の遺伝子の場所に別の遺伝子のDNAが挿入されたマウス)を作成し、筋骨格系を繋ぐ組織に発現している転写因子Scxは、その発現が長く持続する腱・靱帯だけではなく、一過性にしか発現しない連結部の軟骨の成熟にも必要であることを明らかにしました。

     その結果、Scxの発現を誘導することによって、腱・靱帯とその連結部の軟骨の再生を促進することができる可能性が示唆されました。

    図:膝の関節の模式図を示す。腱・靭帯が筋と骨を連結している。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1038/srep45010

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/219101

    Yuki Yoshimoto, Aki Takimoto, Hitomi Watanabe, Yuji Hiraki, Gen Kondoh & Chisa Shukunami. (2017). Scleraxis is required for maturation of tissue domains for proper integration of the musculoskeletal system. Scientific Reports, 7:45010.


    筋骨格系を繋ぐ組織の成熟には転写因子Scleraxisが重要な役割を果たすことを解明
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