研究成果

新たなC型肝炎ウイルス感染予防ワクチンの開発


2016年11月04日


     明里宏文 霊長類研究所教授、加藤孝宣 国立感染症研究所室長らの研究グループは、有望なHCVワクチンの開発に成功しました。本研究では、不活化HCV粒子をワクチンの細胞の免疫反応を高める補強剤(以下、アジュバント)であるK3-SPGとともに小型霊長類モデルであるコモンマーモセットに接種したところ、感染・発症予防に有効な中和抗体と細胞性免疫の両方を効率良く誘導できることを初めて明らかにしました。

     本研究成果は、2016年10月27日に英国の医学誌「Gut」に掲載されました。

    研究者からのコメント

     本研究成果により、培養細胞で作製された不活化HCV粒子は、強力な新規アジュバントであるK3-SPGとともに接種することで有効かつ安全なHCVワクチンとして使用できる可能性が示されました。今後、不活化HCV粒子の大量合成技術やワクチン接種プロトコルの最適化を通じて、早期のHCVワクチン実用化を目指したいと考えています。

    概要

     C型肝炎ウイルス(HCV)は慢性肝炎を引き起こし、肝硬変や肝癌の原因となるウイルスとして知られています。近年、HCVの複製を阻害する直接作用型抗ウイルス薬が開発され、C型慢性肝炎の治癒率は向上してきました。しかしこの治療法は高額な医療費がかかり治癒後も再感染のリスクがあること、また発展途上国では今もなお感染拡大が見られることから、感染・発症予防が可能なHCVワクチンの開発が依然として求められています。

     そこで本研究グループは、2005年に報告された培養細胞によるHCV増殖システムの技術を応用してHCV粒子を大量に培養し、その不活化HCVワクチンについて検討を進めてきました。不活化HCV粒子を新規アジュバントであるK3-SPGとともに小型霊長類モデルであるコモンマーモセットに接種したところ、感染阻止に有効な中和抗体と細胞性免疫の両方を効率良く誘導できることを初めて明らかにしました。

     

     

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】
    http://dx.doi.org/10.1136/gutjnl-2016-312208

    Hiroshi Yokokawa, Atsunori Higashino, Saori Suzuki, Masaki Moriyama, Noriko Nakamura, Tomohiko Suzuki, Ryosuke Suzuki, Koji Ishii, Kouji, Kobiyama, Ken J Ishii, Takaji Wakita, Hirofumi Akari, Takanobu Kato. (2016). Induction of humoural and cellular immunity by immunisation with HCV particle vaccine in a non-human primate model. Gut.


    新たなC型肝炎ウイルス感染予防ワクチンの開発
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