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運動機能と認知機能に関わる小脳からの出力信号の仕分け

2012年11月22日

 高田昌彦 霊長類研究所教授と宮地重弘 同准教授の研究グループは、陸 焼峰 米国ミネソタ大学脳科学センター准教授との共同研究により、小脳で処理された情報の出口である小脳核(中位核と歯状核)は、運動機能と認知機能に関わる小脳からの信号をそれぞれ部位特異的に仕分けして、大脳や脊髄に出力していることを明らかにしました。

 本研究の成果は2012年11月13日に米国科学アカデミー紀要(2012年109巻46号)に発表されました。

概要

 小脳は長年、運動の実行機能を担っていると考えられてきましたが、最近では認知機能、特に行動の認知的側面に関わっていることが示唆されています。実際、小脳で処理された情報の出口の一つである小脳核の中位核は連合運動学習などの認知機能に関与していることが知られていますが、それを実証する解剖学的知見は得られていませんでした。

 今回、高田教授と宮地准教授の研究グループは、陸准教授との共同研究により、小脳核(中位核と歯状核)は、運動機能と認知機能に関わる小脳からの信号を部位特異的に仕分けして、大脳や脊髄に出力していることを明らかにしました。研究グループでは、シナプスを越えて神経回路を構成するニューロンをラベルすることができる狂犬病ウイルスを用いて、それぞれ運動機能と認知機能の高次中枢である、大脳皮質の一次運動野や前頭前野(特に46野)に多シナプス性に入力する小脳核ニューロンの分布を解析しました。

 その結果、運動情報は後中位核と歯状核の背側部や前中位核から視床を介して一次運動野に入力するのに対して、認知情報は後中位核と歯状核の腹側部から異なる視床の領域を介して前頭前野に入力することを見出しました。このことは、後中位核が歯状核と同様に運動機能と認知機能に関わる二つの出力チャネルを持っているのに対して、前中位核は運動チャネルのみを持っていることを示しており、小脳失調の際に発現する運動障害や認知障害の治療ターゲットを特定するのに寄与できると考えられます。


図:小脳核から一次運動野および前頭前野への多シナプス性入力様式

小脳で処理された運動情報が小脳核のうち後中位核と歯状核の背側部や前中位核から視床を介して一次運動野に入力するのに対して、認知情報は後中位核と歯状核の腹側部から前頭前野に入力する。

書誌情報

[DOI] http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1211168109

Lu Xiaofeng, Miyachi Shigehiro, Takada Masahiko.
Anatomical evidence for the involvement of medial cerebellar output from the interpositus nuclei in cognitive functions.
Proceedings of the National Academy of Sciences, 109(46), p.18980-18984, November 13, 2012.