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温室効果ガス「亜酸化窒素」を発生させる酵素の立体構造を世界で初めて解明 -嫌気呼吸から酸素呼吸へと呼吸酵素が進化した手がかりを得る-

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用語解説

温室効果ガス

地表から放射される赤外線を吸収し、大気温を上昇させる効果を持つガス分子。最もよく知られた温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)であるが、CO2の温室効果を1とすると、メタン(CH4)はその21倍、亜酸化窒素(N2O)では実に約300倍の効果を持つ。

脱窒

窒素酸化物(NOx;硝酸イオンと亜硝酸イオン)を窒素ガス(N2)として大気中に変換することやその工程のこと。脱窒反応を行う細菌を脱窒細菌と呼ぶ。

大型放射光施設SPring-8

兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す理化学研究所の施設。放射光とは、光速に近い速度で加速した電子の進行方向を電磁石で変えたときに発生する、強力な電磁波(X線)のこと。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8GeVに由来する。SPring-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。

一酸化窒素(NO)

窒素1原子と酸素1原子からなる単純な構造の気体。高い化学反応性を持つフリーラジカルであり、活性酸素と同様、人体には有害なガス分子。NOxの主成分。人体内においてもNO合成酵素により作り出されるが、このNOは細胞情報伝達物質として血管弛緩、血液凝固阻害、記憶・学習、殺菌などさまざまな生理作用に関与している。その一例として、血中の白血球の一つであるマクロファージは、NOを産生して、体内に侵入した細菌やウイルスを殺菌する。

亜酸化窒素(N2O)

吸入すると筋肉が弛緩し、顔が引きつったような表情になることから笑気ガスとも呼ばれ、手術時の麻酔・鎮静、一部の車のエンジンなどにも利用されている。一方でオゾン層破壊作用およびCO2の約300倍の効果を持つ温室効果ガスでもあり、京都議定書で排出規制がかけられた。常温においては反応性の低い安定した気体。

チトクロム酸化酵素(Cytochrome c Oxidase; COX)

酸素呼吸にとって最も重要な酵素。電子、水素イオン、酸素分子を使って水を作り出し、この反応に伴って、アデノシン三リン酸(ATP)合成に必要なエネルギーを生成する。

No laughing matter

2009年8月、アメリカ海洋大気局の研究者らは、亜酸化窒素(N2O)がオゾン層を破壊する最大の要因となっているとする試算に関する論文を Science誌に発表した(Science 326, 123-125, 2009)。この報告を受けてScience誌では、N2Oがlaughing gas(笑気ガス)と呼ばれていることに掛けて「Nitrous Oxide: No Laughing Matter(笑いごとではないよ)」という題名の解説文を掲載した(Science 326, 56-57, 2009)。

抗体を使った結晶化法

結晶がなかなかできないタンパク質に対し、これに特異的に結合する、比較的結晶化しやすいタンパク質である抗体分子を用いることによって目的タンパク質を結晶化しやすくさせる手法。従来は、水溶性タンパク質において行われていた手法だが、1995年、本研究グループの一人岩田想らにより膜タンパク質であるバクテリア由来のチトクロム酸化酵素に適用され、その立体構造解析に初めて成功した。以来、11種類の膜タンパク質の立体構造がこの手法を用いて決定されており、NORが12種類目の成功例となる。

ヘム分子

鉄原子がポルフィリン分子の中心に配位した錯体分子。ヘモグロビンやシトクロムなどタンパク質の補欠分子族として用いられ、電子伝達や酸素分子などのガス分子の結合、化学反応の触媒として機能する。

日和見感染

通常ならば感染症を起こさないような、体内にいる病原性の低い病原体が、免疫力の低下によって増殖することにより発症する感染症。

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