メールマガジン ページTOP > バックナンバー > 表示中のページ

Back Number


-----------------------------------------------------
  京都大学メールマガジン Vol.8
-----------------------------------------------------

 ------------------------------
   目次:
   ◆犬山の霊長類研究所を訪ねて  尾池和夫
   ◆おすすめサイト
   ◆ホームカミングデイ:11月24日(土)
   ◆トピックス
   ◆ニュースリリース
   ◆イベントのお知らせ
  ------------------------------

◆犬山の霊長類研究所を訪ねて  尾池和夫

 前回のメールマガジンの原稿締め切りは、1月23日頃だった。毎日忙しくしているけれども、その日は特別に忙しく、朝一番にモーニングに着替えて百周年時計台記念館の2階へ行った。博士学位授与式では、この姿で全員に一人ずつ学位記をお渡しする。これが、10時30分から12時までかかる。とくに3月には600人近くに手渡す。
  楠の前で記念写真を撮って帰ろうとすると、学位記の筒を持った留学生が近寄ってきて、
「一緒に写真を撮らせてください」
「あ、いいですよ。おめでとう」
「あ、私もお願いします」
  このようなやりとりをしながら、執務室に帰って、必死で普段のスーツに着替える。これから百周年時計台記念館の迎賓室で会食がある。
  ちょうど百年前のこの日に、湯川秀樹が生まれた。今日は、13時30分から16時まで、「湯川・朝永生誕百年記念講演会」が、その後、16時15分から、同じく記念式典が、百周年時計台記念館1階の百周年記念ホールで開催される。そして17時から、その祝賀会が2階の国際交流ホールで開かれる。
  講演会では、野依良治理化学研究所理事長(2001年ノーベル化学賞受賞者)の「湯川先生に憧れて」と題したお話に始まって、フランク・ウィルチェック、マサチューセッツ工科大学物理学教授(2004年ノーベル物理学賞受賞者)、松浦晃一郎、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)事務局長が講演してくださった。
  野依さんは、湯川さんに憧れて入学したことを話した後、壇上から私の方を見ながら言われた。
「最近は、京都大学の人の顔が見えないですね。高校生でも知っているというような人が京都大学にいない」
  引き続き行われた記念式典では、まず私が式辞を述べた。その後、結城章夫文部科学事務次官、浅島誠日本学術会議副会長、麻生純京都府副知事、上原任京都市副市長が祝辞を述べてくださった。
  続いてのパーティーの席で、司会からまた登場を要請された。
「挨拶をお願いします」
「さっき、野依さんが、京都大学の人の顔が見えない、と言われましたが、ヒト科チンパンジーのアイがいます。高校生でも知っていて、今度、松沢さんの書き下ろしで、中学校2年の国語の教科書にも載るのです」
  岡本道雄先生がおられたので、壇上から降りてご挨拶に行くと、私のスピーチを誉めてくださった。
「あなたの話は、いつも、おもしろいなあ」
  松浦さんには、預かったユネスコメダルを湯川スミさんに渡した後の話をした。
「デザインしてくださった平山郁夫画伯に、スミ夫人が『秀樹さんによく似てる』と、たいへん喜んでいましたと話したら、『あなた、肖像というのは似ていなければ意味がないでしょう』と即座に返されて、偉い方が当たり前のことを言われると、たいへん感動するという体験をしました」

 翌24日、公用車で犬山に向かった。霊長類研究所の視察が目的である。到着してまず、第13回総長ランチミーティングを開催した。若手研究者を中心に集まっていただいて、昼食をとりながら話し合いをするという会を、各部局で開催してきたが、せっかくの機会だからというので、今回は、霊長類研究所の15名の若手研究者たちとお会いした。昼食は食堂から、とても美味しいカレーが提供された。本部から、プログラムオフィサーの杉野目教授、研究協力の仕事を担当する松井さん、川口さん、小林さんたちが参加し、研究所の松沢所長、影山副所長、井山事務長も参加してくださった。
  私の「京都大学の現状と課題」と題する講演も所員の方々に聞いていただいた。
  アイちゃんとアユムくんの学習の様子を見学し、展示室を見せていただき、善師野キャンパスを視察し、栗栖の旧日本モンキーセンター研究所跡を訪れた。長良川に沿って、「桃太郎誕生の地」という大きな看板があった。
  また、田中犬山市長を表敬訪問して日頃のご協力に感謝した。
  当日は、犬山城の麓にある名鉄犬山ホテルに泊まり、翌日、8時30分に出て帰途についた。
 
  数日後の1月30日、18時から、研究所長と事務長、事務部長の懇親会が、百周年時計台記念館の国際交流ホールで開催された。霊長類研究所の松沢所長がこの会の世話役である。そこでの挨拶のために、「京都大学百年史」で、研究所の歴史を読んだ。
  最初に出てくるのは南方科学研究所の計画である。霊長類研究所の設置を勧告した日本学術会議の勧告の本文はたった2行ほどだということを紹介した。
  1964(昭和39)年4月、日本学術会議は第4部人類学民族学研究連絡委員会の発議により、第41回総会で霊長類研究所設立の勧告を決定した。この決定は5月13日、日本学術会議会長より内閣総理大臣に勧告された。
  当時の日本学術会議会長であった朝永振一郎博士から、内閣総理大臣 池田勇人に、「霊長類研究所(仮称)の設立について」という「勧告」がおこなわれた。その主文は次の通りであった。
「霊長類研究の重要性に鑑み、その基礎的な研究をおこなう総合的な研究所(霊長類研究所、仮称)を速やかに設立されたい」
  人類の起源の解明には霊長類研究が必須だ、というのがその理由だった。この日本学術会議の「勧告」から、ちょうど3年後の1967年6月1日、京都大学霊長類研究所が全国共同利用の附置研究所として発足した。
  したがって、霊長類研究所は、今年6月1日、創立40周年を迎える。
  霊長類研究所は、大学院教育という面では、京都大学理学研究科生物科学専攻のメンバーで、その21COEプログラム「生物多様性」の一端を担っている。また、日本学術振興会先端研究拠点事業「HOPE」(人間の進化の霊長類的起源)を推進し、霊長類学および進化人類学の国際的な研究拠点になっている。さらに、「リサーチ・リソース・ステーション」事業を推進しつつ、霊長類の多様な研究の基盤を整備している。
  ヒト科4属の中で、チンパンジーとゴリラとオランウータンが絶滅危惧種である。霊長類研究に永い経験を持つジェーン・グドールさんが京都大学に来られたとき、私は簡単な質問をした。
「チンパンジーを守るために、京都大学に何ができますか」
  彼女の答えも、短かった。
「学問をやってください」
  この分野の教育研究の詳細については、ぜひ霊長類研究所のホームページをご覧いただきたい。

 >> 霊長類研究所のホームページ
   http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/index-j.html

・博士学位授与式
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200701231328007891

・湯川秀樹・朝永振一郎生誕百年記念式典・記念講演会
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200701241430213440

・湯川秀樹博士の「ユネスコメダル」を湯川スミ夫人に伝達
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2005.htm#200505171011419040

・第13回総長ランチミーティングを開催
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200701301030560074

◆ホームカミングデイ

 第2回京都大学ホームカミングデイ開催決定
  平成19年11月24日(土)

 京都大学吉田キャンパス 百周年時計台記念館ほかで開催予定

 今回は11月祭開催期間中です。
  詳細確定次第、ホームページ、メールマガジンでお知らせいたします。

 >> 京都大学同窓会のホームページ
    http://www.kyoto-u.ac.jp/alumni/index.htm

◆おすすめサイト◆

○研究最前線からのメッセージ
  http://www.kyoto-u.ac.jp/kenkyu/02_mess/index.htm
医学研究科 中原俊隆教授のご紹介です。

○退職教員の最終講義・講演会
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_notice/ippan/070206_1.htm

◆トピックス◆

○宇治キャンパステニスコート竣工式
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200702061137047890

○医学部附属病院に病児保育室を開室
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200702051658272691

○JSTの地域イノベーション創出総合支援事業「重点地域研究開発推進プログラム」に本学から2件採択されました
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200702081633525195

◆ニュースリリース◆

○稲盛財団から京都大学への建物の寄附について
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070214_1.htm

○ナノメートル細孔の大きさをイオンで制御する
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070129_1.htm

○国際幹細胞学会が策定したヒトES細胞研究国際指針について、指針の公表とScience誌での論文発表に際して、その内容と意義を紹介および解説する
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070202_1.htm

○右利きのヘビ ― 左右性スペシャリストの進化
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070215_1.htm

○パーキンソン病の病態に迫る
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070216_1.htm

○メダカを使った遺伝子破壊実験系の樹立
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/070213_2.htm

◆イベントのお知らせ◆

○企画展

 環境報告書2006パネル展示のお知らせ
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/070228_1.htm

 総合博物館 京都大学所蔵 近代教育掛図展−眼で学ぶ、絵で教える−
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/070318_1.htm
 
○ 「眼で学ぶ、絵で教える」
  京都大学所蔵 近代教育掛図展 特別講演
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/070311_1.htm

○京都大学国際シンポジウム−大学の国際的産学官連携・知的財産のあり方−
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/070322_1.htm

○第2回 こころの未来ワークショップ 「こころの探求:私たちの課題 Part 2」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/070304_1.htm

○第8回 こころの未来セミナー 『社会的認知と意思決定の危うさ』
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/070313_1.htm

○「瞬間の記録」-未来の映像アーカイブ・センター設立にむけて-
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/070314_1.htm

 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/event.htm

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
★このメールは送信専用メールアドレスから配信されています。
  このままご返信いただいてもお答えできませんのでご了承ください。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
★配信停止
https://www.adm.kyoto-u.ac.jp/machine1_cgi_build/m_magazine/mm_02.htm
のフォームから配信停止をおこなってください。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
□編集・発行
京都大学 秘書・広報室 ksens521@mail.adm.kyoto-u.ac.jp
〒606−8501
京都市左京区吉田本町 電話 075−753−2072
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−