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  京都大学メールマガジン Vol.54
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   目次:
   ◆巻頭言:学生担当理事・副学長 赤松 明彦
   ◆総長メッセージ「人々との出会い(3)」
   ◆白眉プロジェクト:塩尻 かおり
   ◆大学の動き
   ◆研究成果
   ◆イベントのお知らせ
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◆巻頭言:学生担当理事・副学長 赤松 明彦

 平成22年10月1日付けで学生(学生支援、学生支援施設、留学生)担当の理事・副学長を拝命しました。学生担当の理事としての最も大きな課題は、学生寮や留学生宿舎の整備をはじめとする学生の福利厚生施設の充実、学生が学業とともに課外活動にも専心できる諸環境の整備、そして学生の心身の健全な発達に対するケア体制の確立です。これらの課題は、西村周三 前理事・副学長のときに道筋がつけられましたので、私は、それを土台にしてしっかりと踏み固めて進んで行くつもりです。

 理事・副学長となってようやく3ヶ月が過ぎようとしていますが、この間の自分の生活の激変に驚いています。文学研究科で評議員・副研究科長を2年間務め、4月からは文学研究科長となっておりましたので、理事・副学長の仕事もその延長線上にあるようなつもりでいたのですが、それがとんでもない間違いであったことは、着任早々すぐに思い知らされました。とにかく毎日のスケジュールがぎっしりと詰まってしまうのです。私の場合は、授業や学生指導を残しておりますので6ヶ月間だけ教授の職を兼務させてもらっています。それで、月曜日から金曜日まで朝の第1時限目の時間を、授業や研究指導にあてています。理事として執務室に入るのはその後ですから、だいたい10時半頃からになります。それ以後、夕方まで、時には深夜まで(まだ翌朝までということは幸いありません)ほとんど隙間なくやるべき事が続きます。土曜日や日曜日にも、色々な行事が入ってきます。
正直に申しますと、なんぼ何でもこれでは忙しすぎる、じっくりとものを考える時間がもっと必要ではないか、と思います。人文学の分野で生きてきた者にとっては、「持続する志」こそが学問を発展させる力であることを知っていますが、持続のためには濃密な時間を確保する必要があります。残念ながら今はこの時間がありません。ついこの間までは夜明け前の2~3時間をそうした時間に使う習慣をもっていましたが、このごろは出来なくなってしまいました。目下の課題は、この時間をいかにして作り出すかということです。大学のことを考えるためにもこの時間は必要だと思っています。

 学生担当の理事・副学長としての課題は多くありますが、最近立て続けに起こっている学生によるわいせつ事件、薬物使用、飲酒による急性アルコール中毒については、この場でも注意しておきたいと思います。これらの行為は、他者だけでなく自分自身をも著しく傷つけます。学生諸君は、とにかく他者と自分自身に対する思いやりを忘れないでください。

◆総長メッセージ「人々との出会い(3)」

 私がこれまでの人生で出会った人々についてお話をさせていただいておりますが、今号は中学校時代を振り返ってみたいと思います。

3.中学校時代前半の思い出

 私は、大和郡山市立の郡山小学校から、郡山中学校へ進みました。当時、マンモス校は珍しくなかったのですが、その中でも私の入学した郡山中学校は1クラス55名、1学年13組の超がつくマンモス中学校でした。

 中学1年生の出来事です。1学期に1年生全員が受ける模擬試験があり、採点後に700名を超える生徒の成績が得点順に長い長い紙に張り出されたのです。小学校時代に両親から「学校の試験はみな出来てあたり前だから、少しでも間違えれば恥じなさい」と教えられて頑張ってきましたが、小学校時代とは違って急に学ぶことが増える中学校の試験においてはどうにも満点をとれなかったなと反省していた矢先です。きっと順位は真ん中より少し上位くらいかなと思い、緊張しながら自分の名前を探してゆくと、長い張り紙の端、首席に自分の名前が。教育熱心な両親もとても喜んでくれていたと思いますが、遊びたい盛りの当時の私にとって、この結果は、「なんだ満点でなくてもいいのか」と、少しずぼらな気持ちを芽生えさせることとなってしまいました。

 その後は学校の先生に良くも悪くも注目され、よく叱られ、よく誉められました。元来イタズラ坊主の性分ですので、授業中にさまざまな悪戯をし、よく職員室に呼び出され注意を受け、立たされることもありました。先生方は授業中に悪戯をする私を大人しくさせるため、いろいろと考えてくださり、例えば数学の先生は私の机の上に「解析数学」なる本を置いて、「読んでおれ」と命じられたり、理科の先生はノートの取り方や書き方について非常に熱心に指導してくださいました。後に理系に進んだ私にとって、「解析数学」との出会いはその時が最初だったと思いますし、教えていただいたノートの取り方は勉強を進めていく上で後々まで役に立ちました。

 また、我が家では、全ての教科書を等しく勉強する事が大切だと教えられていましたので、つい手抜きをしがちな職業・家庭や美術などの授業や課外作業にも精を出しました。

 今でも忘れられない出来事があります。

 ある日、職員室に呼び出された私は、また悪戯で注意されるのかと思ってビクビクしながら先生の処へおもむきました。すると、老紳士の先生にいきなりひっしと抱きつかれ、「松本君、私は長年教師をしてきたが、職業・家庭科の試験で満点をとってくれたのは君が最初だ!」と涙をポロポロ流されました。

 勉強以外にも色々なことに興味がある年代ですので、試験となると主要教科のみに力を注ぐ生徒が多く、自分が責任を持って教えている科目がつい後回しにされ、それまでとても悲しい思いをされてきたに違いありません。

 試験結果だけがすべてではありませんが、自分が生徒達に懸命に伝えようとしたことが確かに伝わったのが生徒の満点という形で確認され、先生がとても嬉しく思ってくださった気持ちが、大学の教員となり、教える身となった今、とてもよくわかります。

◆京都大学次世代研究者育成支援事業「白眉プロジェクト」特定助教 塩尻かおり(しおじり かおり)(化学生態学)

 私は植物の匂い(香り)が生物にとって重要な情報になっているということを研究しています。具体的には、虫に食べられた植物から出る匂いはその虫の天敵にとって餌を探す情報になっていたり、植物が昼と夜とで出す匂いが違うことを、夜行性の幼虫が昼夜の情報として利用していたり、植物が虫に食べられるとその匂いを隣の植物が感知し前もって虫に対する抵抗性を高めたりというものです。このように匂いが重要な情報になっているのですが、これは何も虫達に限ったものではありません。

 現在、私にはちょうど1歳になる子供がいます。夜中に起きかけたときに私が隣で寝ているとすぐに寝るのですが、他の人では目を開け起きてしまいます。起きかけたとき、目は開いていないにも関わらず、私かそうでないかが解るのです。赤ちゃんはお母さんを匂いで認識するといいます。目を開けずに私と他人を区別するのも感触の違いもあるかもしれませんが、匂いでも区別しているようです。

 冷蔵庫の奥の方から以前に作ったカレーが出てくると、とりあえず、匂いを嗅いで大丈夫かどうか確認することでしょう。お鍋に火をかけているのを忘れたときも焦げた匂いがそれを知らせてくれたことでしょう。どこからともなく漂うキンモクセイの香りから秋がきたことを感じることでしょう。まだ海は見えてもいないのに、潮の香りから海が近いことを知ることでしょう。また、風邪で鼻が利かなくなったときには特に匂いの重要性に気づくことでしょう。このように人も日常的に匂いを情報として使っています。

 さらに匂いは記憶を呼び起こします。例えば、私はキンモクセイの香りで運動会を思い出したり、クチナシの香りで小学校の休み時間に友達と縄跳びをしていたことを思い出したりします。これはプルースト現象と呼ばれており脳神経学においても研究されているそうです。また、子供が体調を崩すと、いつもとは違う匂いがします。気のせいかと思っていたのですが、調べてみると病気によって違う匂いがするそうです。匂いは人の世界においても想像している以上に重要な情報源になっているようです。

 私が所属する白眉プロジェクトでは様々な研究分野の研究者がいます。この10ヶ月たらずの交流からでも異分野の研究者達と意見を交わすことが、これほどまでに刺激的なのかということを感じています。私はこれまで匂いと虫との関係をみていましたが、匂いと人との関係をふと考えるきっかけにもなりました。今回あげたような匂いと記憶や匂いと病気、また、匂いを情報として捉えることなど、ちょっと疑問に思ったことなどをテーマに彼らと議論して、新しい知見を得たり視点を変えたりして、自らの研究を深めるだけでなく新しい研究分野をも開拓していきたいと考えています。

◆大学の動き◆
 
○海外メディア・各国総領事館・外資企業からの視察団がiCeMSを訪問されました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101210_3.htm

○平成22年度京都大学次世代研究者育成センター採用者内定式及び研究計画発表会を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101213_2.htm

○第2回国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト(iCAN'11)国内予選で京都大学チームが1位を受賞しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101207_1.htm

○京都大学風景写真コンテスト表彰式を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101202_1.htm

○テクノ愛2010最終選考会を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101123_1.htm

○第2回湘南京大会が開催されました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101031_1.htm

○京都大学愛媛同窓会総会が開催されました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101203_1.htm

○第5回京都大学ホームカミングデイを開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101113_2.htm

○広島京大会総会が開催されました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101124_1.htm

○キヤノン・京都大学学術交流奨学金寄附 目録贈呈式を行いました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101201_1.htm

○全学共通科目「起業と事業創造」を受講したメンバーと同志社大学の連携チーム(ROCA K.K.)が、米国で行われたビジネスプランコンテスト世界大会で決勝に勝ち残りました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101118_1.htm

○西島安則元総長 お別れの会を挙行しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101128_1.htm

○京都大学地域講演会(高知講演会)および京大土佐吉田会と本学との交流会を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101030_1.htm

○栄誉
藤田昌久 経済研究所特任教授・名誉教授、益川敏英 名誉教授、長田重一 医学研究科教授が日本学士院会員に選ばれました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101213_1.htm

◆研究成果◆

○温室効果ガス「亜酸化窒素」を発生させる酵素の立体構造を世界で初めて解明 -嫌気呼吸から酸素呼吸へと呼吸酵素が進化した手がかりを得る-
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101126_1.htm

○肝臓・膵臓・腸に共通した幹細胞システムの解明
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101129_1.htm

○抗体遺伝子のクラススイッチ組換え機構に関わるヒストン修飾制御経路を発見
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101207_1.htm

○脊椎動物における新規紫外光受容タンパク質の同定
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101207_2.htm

○ヒトiPS細胞の効果的凍結保存法の確立
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101201_3.htm

○突発性難聴に対するIGF1治療について
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101130_1.htm

○葉の形を決める仕組みの新たな発見 ~平らな葉をちぢれ葉にしてわかったこと~
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101201_1.htm

○量子コンピュータ実現に大きく近づく誤り耐性技術を開発 ~誤りの大きな量子ゲートを用いても量子計算が可能に~
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101124_2.htm

○ガンマセクレターゼへの基質結合は、アロステリック部位へのガンマセクレターゼ調整薬の作用を可能にする
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101201_2.htm

○1平方インチ当たり3.9兆個のドットが規則的に配列された超微細パターンを形成 -高分子材料の自己組織化現象を活用した超高密度ナノパターニング技術を開発-
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101125_2.htm

○Thioredoxin binding protein-2 (TBP-2)の阻害は肥満であってもインスリンの感受性と分泌を増強させることによって2型糖尿病を改善する
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101124_1.htm

○血小板において止血の引き金となるリン脂質の暴露に関与する因子の同定-ヒトの遺伝病(スコット症候群)の原因遺伝子の同定
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101125_1.htm

○脂肪萎縮症患者を対象としたレプチン補充療法~脂肪萎縮症患者に朗報~
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101119_1.htm

○多剤排出トランスポーターの機能を分子シミュレーションで初解明 -多剤耐性化のタンパク質AcrBの3つの部分構造が順序良く機能する仮説を実証-
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101117_1.htm

◆イベントのお知らせ◆

○第4回 京都大学-慶應義塾大学グローバルCOE 共催シンポジウム 「トランスナショナルな心・人・社会」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110109_1.htm

○市民講座「関西中国書画コレクションと京都大学」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110219_2.htm

○第4回 大阪大学・京都大学・神戸大学連携シンポジウム「21世紀を“みず”と暮らす」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110121_1.htm

○世界の友達と交流できる! パンゲア アクティビティ開催
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110122_1.htm

○井戸端サイエンス工房 サイエンス・カフェ第19回「立体の“編み方”」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110122_2.htm

○平成22年度 京の府民大学 アフリカ地域研究資料センター公開講座 創立25周年記念シリーズ 「アフリカ研究最前線:生きる」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110219_1.htm

○第45回 京都大学原子炉実験所学術講演会
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110127_1.htm

○京都府・京都大学こころの未来研究センター 共同企画 第9回こころの広場「里山の生き物と人間のこころ」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110129_1.htm

 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=monthly&c2=1

 

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