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  京都大学メールマガジン Vol.53
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   目次:
   ◆巻頭言:総長 松本 紘
   ◆白眉プロジェクト:村主 崇行
   ◆大学の動き
   ◆研究成果
   ◆イベントのお知らせ
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◆巻頭言:総長 松本 紘

 総長に就任して2年が経過しました。理事等の任期で示されますように、私の任期を三つに分割したうち、新体制のもとでの大学運営の立ち上げと問題点の整理を行ってきた、第1期が過ぎたことになります。この間、私が就任時に掲げた「魅力」「活力」「実力」ある大学にするための様々な施策を企画、立案、実施してきました。これらはすべて理事、機構長、部局長を始めとする本学教職員の皆さんの理解と協力を得て初めて可能となったことです。この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。

 京都大学は、我が国の深刻な財政難のもと一層不透明感を増す大学の運営環境においても、日本を代表し高等教育・研究を担う大学として、これまで以上に多くの課題に取り組んでいかなければなりません。例えば、教育の質の保証や国際的に通用する人材の輩出等が社会から強く求められています。また、社会連携や地域連携を推進することの重要性も一層深く認識されるようになり、教育および研究にくわえ、大学が果たすべき社会的責任が広くかつ重くなってきています。そこで、教育を一層重視し、更なる社会連携を推進・展開していくことを目的に理事の所掌を見直しました。すなわち、これまでは教育と学生を一人の理事が担当していましたが、教育担当理事と学生担当理事を分けることで、よりきめこまかな運営を行います。そのため、淡路敏之教授(理学研究科)に教育担当理事として、赤松明彦教授(文学研究科)に学生担当理事として、それぞれご就任いただくことにしました。また、社会との連携をより強力に推進するために、外部戦略室を社会連携課とともに渉外部として発足させるよう準備を進めています。

 また、これまで総長の下に副理事を置き、機構や病院などの重要な全学的組織の運営をご担当いただいてきました。この運営をより機動的かつ効率的にするために、機構長・本部長の副理事を所掌執行責任者として、その責任と権限の明確化を行いました。同時に、副理事の交代や理事補の交代も行いました。そして、総長室はこれまで私の対外的な活動の支援を中心に業務を行ってきましたが、理事間の調整、戦略的な広報、コンプライアンスの強化、大学の将来方向の検討並びに新規プロジェクトのインキュベーションといった諸機能を果たすよう、陣容を一新していきます。

 これら理事の所掌の変更と新しい体制による権限と責任の明確化により、ますます加速化する国際化等、急速に変化していく時代の流れに迅速に対応しながら、木下廣次初代総長の自重自敬、自立独立、自得自発にくわえて、自らを鍛え自らを恃むことができる自鍛自恃の精神を涵養し、本学で学ぶ学生および本学で働く教職員にとって「魅力」「活力」「実力」ある大学であるように全力で大学運営に取り組んでいく所存です。この未曽有の難局におきましても、京都大学がその真価を発揮できるよう、教職員一人一人が意識を高めて日々の活動に全力を注いでくれることを大いに期待しています。

◆京都大学次世代研究者育成支援事業「白眉プロジェクト」特定助教 村主 崇行(むらぬし たかゆき)(宇宙物理学)

 4月より、白眉プロジェクトに採用いただきました村主です。私は初代白眉研究者の中でも最年少ということで、有り難くも将来性を買っていただいたと受け取っておりますので、すこし将来の話をしようと思います。

 いま、物理のシンポジウムに出ますとフロンティアの拡大を感じます。経済や生物物理、脳のしくみなどが物理学科でも扱われるようになってきています。一方、大量のデータを処理できるコンピューターの力も、多様な分野で使われるようになっています。白眉の皆さんとも、あるいはDNA、あるいは文献の解析につかえないかと模索を始めていますし、神戸の「次世代スーパーコンピュータ」拠点にも、知り合いの研究者が集まってきています。

 ひとつの困難は、これら高性能計算機がすべて並列計算機---たくさんの部品が、通信しながら同時進行で計算を行うタイプの計算機であることです。計算部品の数が増えるほど、それら全てが一つの誤りもなく協調動作するまで設計を煮詰めることは、難儀な作業になっていきます。いかに並列にプログラムするのか?は計算機を使おうとする私たちに立ちふさがる重要な挑戦となっています。

 ですが、私たちがコンピューターで扱おうとしている自然の理解・制御や、人間の社会、感性にまつわる問題は本来、膨大な並列性を宿しているはずです。一杯の水のなかには無数の分子が、生態系には実に多様な種が、社会には数十億の人間が、インターネット上には膨大な量の情報が。そしてそれを認識する人間の脳もまた、膨大なニューロンの並列処理によっています。

 自然科学は、これら自然にみいだされる並列性を扱うための様々な手法を磨き上げてきました。私は並列計算の画期をなすために、これら自然科学で培われてきたさまざまの観点が貢献できるのではないかと思っています。計算機を利用した物理学にとどまらず、計算の物理学が可能で、フロンティアの一つとなりうるのでは、と考えています。

 白眉研究者となり、受入先の「基礎物理学研究所」の看板をみた時、ふと思いついたことがあります。基礎物理学研究所の英語名は"Yukawa Institute for Theoretical Physics" ですが、なぜ"Theoretical Physics" に対応するのが「理論物理学」ではなく「基礎物理学」なのか、ということです。普通に考えれば、物理学のなかでも基礎的な部門の研究所、という意味なのでしょうが、その時私に浮かんだのは違いました。物理学はほかの学問、化学や生物学、工学を成しとげる道具を作り出します。さらにそれらが生み出した製品、乗り物、通信といったものが、今日の人々の生活、政治、他国に対する考え方、等を変えていっています。

 ここは諸学の基礎、人類文明の基礎である物理学を研究するところなのだ、と。

 この1年、世界各地の人と知り合うこと、また文献を読むことを通じて、様々な問題意識から、私のものも含め、並列計算言語を開発しようという多くのプロジェクトが芽生えていることがわかりました。これらが合流し、ゆくゆくは並列性を扱う新しい学問となって、世の役に立てばと思い、研究を進めております。

 
◆大学の動き◆

○共同声明「国際化拠点整備事業(グローバル30)の強化を要望する」について
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101116_1.htm

○「アトムサイエンスフェア2010」を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101024_3.htm

○京都大学地域講演会(高知講演会)および京大土佐吉田会と本学との交流会を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101030_1.htm

○中国・清華大学でAEARU「16th Annual General Meeting」および「27th Board of Directors Meeting」が開催されました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101028_2.htm

○フランス学術機関等との「産学連携についてのミーティング」を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101028_1.htm

○平成22年度湯川記念財団・木村利栄理論物理学賞 受賞者を発表
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101102_2.htm

○宇治キャンパスで、リサイクルフェア・交流会を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101029_4.htm

○国際交流科目 タイ・カセサート大学受入れプログラムを開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101022_3.htm

○第18回JSPS-MOE 拠点大学交流事業「都市環境」日中合同会議を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101022_2.htm

○安寧の都市ユニット開設記念シンポジウムを開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101009_2.htm

○京都大学次世代研究者育成支援事業「白眉プロジェクト」(平成22年度募集分)京都大学次世代研究者育成センター採用者の内定について
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101025_1.htm

○先端技術グローバルリーダー養成プログラム第三期生の修了式を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/100924_3.htm

○上海万博「京都ウィーク」の「京都の大学紹介セミナー」に参加しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101017_1.htm

○第7回「竹の環プロジェクト」を開催しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101016_1.htm

○栄誉
・前野悦輝 理学研究科教授が仁科記念賞を受賞
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101109_1.htm

・2010年秋の叙勲受章者が発表されました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101103_1.htm

・西田栄介 生命科学研究科教授および鍋島陽一 名誉教授の紫綬褒章受章が決定
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101102_1.htm

・山中伸弥 iPS細胞研究所長が文化功労者に選ばれました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/101026_1.htm

 

◆研究成果◆

○多剤排出トランスポーターの機能を分子シミュレーションで初解明 -多剤耐性化のタンパク質AcrBの3つの部分構造が順序良く機能する仮説を実証-
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101117_1.htm

○HIV-1ウイルスのVif蛋白による新たなHIV-1ウイルス複製制御メカニズムの解明
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101109_1.htm

○熱を加えずに結晶を柔らかくすることに成功: 高強度テラヘルツ電磁パルスで分子ネットワーク操作が可能に
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/101101_1.htm

◆イベントのお知らせ◆

○京都大学春秋講義
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2010/101124_1.htm

○NEDO三次元光デバイス高効率製造技術 第13回 光集積ラボラトリー公開セミナー
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101124_1.htm

○国民読書年 京都大学附属図書館 特別企画 「アカデミックに経済を読む:複眼的でグローバルな視点をどう獲得するか」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101129_1.htm

○第6回 京都・先端ナノテクポケット講習会 「フォトリソグラフィとPDMSモールディングによるマイクロ流路製作」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101126_3.htm

○シンポジウム「これからの会計専門職教育」~会計教育のグローバルスタンダードとは
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101127_1.htm

○「聴覚障害者のための字幕付与技術」シンポジウム2010
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101127_2.htm 

○世界の友達と交流できる! パンゲア アクティビティ
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101127_3.htm

○こころの未来研究センター国際シンポジウム2010 「東洋のこころでストレス過多社会を生き抜く」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101129_2.htm

○学術情報メディアセンターセミナー「公共IT調達とCIO・CIO補佐の役割」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101130_1.htm

○第9回 iCeMS国際シンポジウム
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101203_3.htm

○第19回 はんなり京都 嶋臺(しまだい)塾「続・光と人」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101202_1.htm

○生態学研究センター 第1回オープンキャンパス
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101204_1.htm

○第9回 iCeMSカフェ(アイセムスカフェ)ゆったり気分で、科学のお話しませんか?「未来の太陽電池」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101211_2.htm

○レクチャーシリーズ no.85 シニアレクチャー「カゲロウと川の世界」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101211_1.htm

○平成22年度 京の府民大学 アフリカ地域研究資料センター公開講座 創立25周年記念シリーズ 「アフリカ研究最前線:生きる」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110219_1.htm

○京都大学未来フォーラム(第46回)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2010/101213_2.htm

○第175 回 アフリカ地域研究会
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101216_2.htm

○平成22年度コンピュータソフトウェア著作権セミナー
  http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/101216_1.htm

 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=monthly&c2=1

 

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