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  京都大学メールマガジン Vol.20
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   目次:
   ◆肥満・糖尿病・寿命  尾池和夫
   ◆お知らせ
   ◆トピックス
   ◆ニュースリリース
   ◆イベントのお知らせ
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◆肥満・糖尿病・寿命  尾池和夫

 一冊の本が送られてきた。著者は京都大学第22代総長の井村裕夫先生である。本の題名は、「進化医学からわかる肥満・糖尿病・寿命」で、岩波書店から、2008年1月30日の発行である。裏表紙には洋梨とリンゴのイラストがあって、それらが本の内容を示している。
 寿命がどんどん延びているが、一方では成人病で悩むというのが現代人の特徴である。それは、変化する環境に適応しようとする進化の結果でもあるという。進化医学の面から肥満や糖尿病に焦点をしぼって、なぜ病気になるのかを解説した本である。
「序章 ダーウィンの病気―進化医学の序章」「第1章 人類の新しい十字架―増え続ける糖尿病」と始まり、「第5章 美食の誘惑―人はなぜ肥満するのか」「第6章 氏か育ちか―糖尿病、肥満の発症における遺伝と環境」「第7章 不老長寿への願い―寿命の進化学」と続く。そして「終章 自然に学べ―進化医学の教えること」で結ばれているから、読み始めると途中でやめることができない。
 井村先生が京都大学の教授だったとき、ご担当の学術分野は内科学で、特に内分泌代謝病学と言っておられた。以前、やはり岩波書店から「人はなぜ病気になるのか―進化医学の視点」という本を出されて、高度に進化した人類が、なぜ病気にかかるのかを解説された。感染症、免疫疾患、生活習慣病の成因などを、進化という視点から解説した本であったが、今回の本は、その続きの本だと思って読んだ。
 私自身、10年ほど前に急性心筋梗塞で武田病院に緊急入院した経験を持っている。その直前まで井村先生が総長であったとき、私は理学研究科長になった。今でもお目にかかるたびに、私の身体の調子を聞いてくださる。私は今、血糖値が高くて京大病院の糖尿病栄養内科の患者になっているが、パーティーが多くて、飲食の調整が難しく、体重が減らなくて困ると報告する。そうすると、井村先生は、「一番美味しいと感じるのはアブラなんですよ」と言われ、しばらく解説が続く。
 ヒトはどのようにして脂肪の美味しさを関知するのかは、長い間、謎とされてきたが、最近は少しわかってきた。個人差があるのか、肥満が脂肪の感覚の仕組みに関係するのかなど、これからの研究課題も多いという。
 野生動物の体脂肪率はヒトより低く、10パーセント以下のものが多い。ヒトは最も肥満していて、特にヒトの女性は哺乳類では最高の体脂肪率を持っているという。食料の乏しい時を生き残って、調理して美味しく食べることを習得した結果であろうという。
 本をいただいたとき、添えられていたお手紙には、「研究の現場を離れて20年近くたって、私には理解の困難なところも少なくなく・・」と書かれていたが、それでもこれだけの最新情報をわかりやすく解説した本を出版された熱意に深く感銘を受けた。
 2008年4月からは、40歳以上の人の健康診断で、メタボリックシンドロームが検診対象になる。肥満の仕組みの最新の知識を学習してみるのに、今がいい機会かもしれない。

◆お知らせ

○京大広報631号を掲載しました

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_kohou/kohho_kyotou.htm

○定年退職教員の一覧を掲載しました。
  最終講義・講演会の情報もご覧いただけます。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_notice/ippan/080222_1.htm

○京都大学学術情報リポジトリと京都大学学術出版会との連携について

 2007年12月21日(金曜日)、京都大学附属図書館と京都大学学術出版会は、京都大学の研究・教育成果を広く社会に発信するため、京都大学学術出版会が発行する研究書を電子化し、京都大学が設置するインターネット上の電子書庫「京都大学学術情報リポジトリ」に登録し、無料で公開していくことに合意しました。

  この合意を受けて両者は協同で事業を進め、2008年2月1日に、最初の事業として、5冊の研究書を登録・公開しました。

 詳細へ
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc080205_1/tpc080205_11.htm
  京都大学学術情報リポジトリ
  http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/

◆トピックス◆

○「物質−細胞統合システム拠点」が開所式を挙行

 物質−細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)の開所式が行われました。同拠点は、文部科学省の「世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラム」で採択され、2007年10月1日に発足しました。

 3部から成る式典のうち、第1部の記念講演会及び第2部の開所記念式典は京都大学 百周年時計台記念館で行われました。国内外からの招待者・報道関係者・一般来場者で500席の会場はほぼ満員となり、質疑応答でも活発な議論が交わされました。続く第3部の記念レセプションは市内のホテルに場を移して行われ、盛会のうちに終了しました。

 写真
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc080219_1/tpc080219_1.htm
  物質−細胞統合システム拠点のホームページ
  http://www.icems.kyoto-u.ac.jp/j/index.html

○京都大学 大阪フォーラムを開催

 ホテル大阪ベイタワーにて「京都大学・大阪フォーラム」を開催しました。「産官学連携の新たなステージに向けて−卓越した知の創造と活用からイノベーションへの創出へ」をテーマとし、第1部、第2部の構成で民間企業を中心に各省庁、学術関係団体、経済団体など各方面から約140名が参加しました。尾池和夫総長による挨拶の後、第1部では、松本紘理事・副学長より、グローバルCOE等研究活動の紹介に続き、中辻憲夫物質・細胞統合システム拠点長、西本清一工学研究科長及び湊長博医学研究科教授より、先端的・独創的研究活動の紹介を行いました。第2部では、松本紘理事・産官学連携本部長及び牧野圭祐産官学連携センター長より、京都大学における産官学連携の取り組みについての説明の後、京都大学における5課題の新技術の発表が行われ、盛会の内に終了しました。

 また、フォーラム会場の同フロアーに併設ブースを設け、ポスター(新技術の紹介)の掲示、相談コーナーの設置、産官学連携活動の紹介、連携機関等の紹介を行いました。

 写真
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc080208_2/tpc080208_2.htm

○博士学位授与式を挙行

 尾池和夫総長、丸山正樹、東山紘久、西村周三の各副学長、各研究科長の列席を得て、博士学位授与式が挙行されました。博士学位を取得された方それぞれに尾池総長から学位記が授与されたあと、式辞が述べられ、授与式は厳粛に執り行われました。
 今回、学位を授与されたのは、11月26日付け課程博士40名、論文博士21名、1月23日付け課程博士33名、論文博士21名の合計115名です。

 写真
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc080123_1/tpc080123_11.htm
 総長の式辞
  http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/01_sou/080123_1.htm

○助成金等採択結果等

・アジア・アフリカ学術基盤形成事業(生存圏研究所)

 このたび生存圏研究所 津田敏隆教授を日本側コーディネーターとする研究交流プロジェクト「赤道大気圏のアジア域地上観測ネットワーク構築」が、独立行政法人日本学術振興会「アジア・アフリカ学術基盤形成事業」に採択されました。実施期間は平成20年4月1日から3年間の予定です。

 「アジア・アフリカ学術基盤形成事業」は、アジア・アフリカ地域における諸課題の解決に資するため、我が国の研究機関が主導的役割を果たし、アジア・アフリカ諸国の研究拠点機関との持続的な協力関係を構築することにより、当該分野に関する中核的研究拠点の構築とともに若手研究者の育成を目指すものです。

・アジア研究教育拠点事業(エネルギー理工学研究所)

 このたびエネルギー理工学研究所 小西哲之教授を日本側コーディネーターとする研究交流プロジェクト「先進エネルギー科学」が、独立行政法人日本学術振興会「アジア研究教育拠点事業」に採択されました。実施期間は平成20年4月1日から5年間の予定です。

 「アジア研究教育拠点事業」は、我が国とアジア諸国の研究教育拠点機関をつなぐ持続的な協力関係を確立することにより、当該分野において世界的水準の研究教育拠点の構築とともに、次世代の中核を担う若手研究者の養成を目的とするものです。

・先端研究拠点事業−国際戦略型−(工学研究科)

 独立行政法人日本学術振興会「先端研究拠点事業」は、我が国と複数の学術先進諸国の大学等学術研究機関との間に先端的分野における国際的な研究協力体制構築促進を目的とした事業です。実施方式は「拠点形成型」及びその発展型としての「国際戦略型」があります。

 工学研究科では平成18年度から2年間、「先進微粒子ハンドリング科学」を研究交流課題(コーディネーター:化学工学専攻 東谷 公教授)として同事業「拠点形成型」を実施しているところですが、このたび、その成果が評価され「平成20年度 先端研究拠点事業 −国際戦略型−」に採択されました。実施期間は平成20年4月1日から3年間の予定です。

◆ニュースリリース◆

○成体マウスの肝および胃細胞からの多能性幹細胞樹立に成功

 山中 伸弥教授(物質−細胞統合システム拠点/再生医科学研究所)、科学技術振興機構(JST)、医薬基盤研究所(NIBIO)の研究グループは、マウスの肝臓と胃の細胞からiPS細胞を作製することに成功しました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/080215_1.htm

○新しい材料探索法により酸化スズにおける一連の新しい結晶構造を発見

 世古 敦人 次世代開拓研究ユニット助教,大場 史康 工学研究科助教,田中 功 工学研究科教授らの研究グループは、財団法人 ファインセラミックスセンター・ナノ構造研究所と共同で、量子力学と情報科学を統合した新しい材料探索手法の開発に成功し、これに基づいて酸化スズにおいて一連の新しい結晶構造を発見しました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/080131_1.htm

◆イベントのお知らせ◆

○第1回 大阪大学 京都大学 神戸大学 連携シンポジウム

 http://www.3univ.jp/

○総合博物館 特別展 2008年子年 「京都大学と野ネズミ研究」

 2007年12月19日(水曜日)〜2008年3月16日(日曜日)

 2008年は子年です。干支は日本のほか、中国、台湾、韓国、ベトナムなどの東アジアで用いられています。子年のネズミは、ハツカネズミがもとになったと思われます。ハツカネズミは人家や休耕地、河川敷など人間のすぐ近くで生活しています。また、繁殖力が強いことから、繁栄の象徴として、干支に結びついたと考えられます。ハツカネズミを含めた野ネズミについて京大の研究を中心にパネル等を使って紹介します。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/080316_1.htm

○京都大学経済研究所主催 先端政策公開シンポジウム
  「関西企業・組織の災害時事業継続のための地域連携」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080227_1.htm

○平成19年度 京都大学防災研究所研究発表講演会

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080229_1.htm

○iCeMS カフェ第1弾 京都の町家で科学についてお話しませんか?
   「分子でつくる分子のおうち」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080301_2.htm

○第3回こころの未来ワークショップ
  「日本文化とこころの行方-『こもる』ことの意味」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080301_1.htm

○学術情報メディアセンターセミナー
  「公的機関のIT調達、課題とグッドプラクティス(仮題)」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080308_4.htm

○平成19年度 第6回 花山天体観望会 「土星」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080308_3.htm

○進め!地球深部探査船「ちきゅう」!
  第18回IODPキャンペーンwith DRILLS at京都大学 プログラム

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080310_2.htm

○Robert Huber 博士講演会(化学グローバルCOE講演会)

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080310_4.htm

○学術情報メディアセンターセミナー
  「Steps Toward the Reinvention of Programming」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080310_3.htm

○ナノテク合同シンポジウム

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080314_3.htm

○ライフサイエンス分野の特許審査基準等にかかるセミナー

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080317_1.htm

○健康を守る新技術 市民セミナー
  「新しい薬の開発、体の中の癌を観る技術の開発」の開催

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080321_1.htm

○NPO法人花山星空ネットワーク 第1回講演会
  最新の太陽像と平安の天文家

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080322_1.htm

○学術情報メディアセンターセミナー
  「最新の数値シミュレーションにおける固有値ソルバと線形反復法」
  第4回 ANS(Advanced Numerical Simulation)研究会 共催

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080325_1.htm

○「よみがえる京大サイクロトロン」 上映会

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080326_1.htm

○高等教育研究開発推進センター・第14回大学教育研究フォーラム

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080327_1.htm

○京都大学情報学研究科公開講座「知っていますか?ITの秘密」の開催

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080329_1.htm

 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/event.htm

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