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  京都大学メールマガジン Vol.19
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   目次:
   ◆黄桜株式会社訪問記 2008年1月23日  尾池和夫
   ◆お知らせ
     京都大学創立111周年記念「これからの京都大学」論文コンクール
   ◆トピックス
   ◆ニュースリリース
   ◆イベントのお知らせ
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◆黄桜株式会社訪問記 2008年1月23日  尾池和夫

学位授与式の様子 この日、午前中は博士学位授与式で、新しく115名の方々に京都大学博士の称号を授与した。午後は、松沢哲郎さんが呼びかけて、吉田泉殿で開催されていた自然学の第1回会合に少しだけ参加して、その後、伏見に向かった。楽しみにしていた黄桜株式会社の見学である。伏木教授、平井教授、河原准教授とともに伏見の工場を訪問する。
  京都大学が早稲田大学、黄桜株式会社と共同で開発したビール「ホワイトナイル」に関して記者発表したのは、2006年4月10日だった。
  開発のリーダである伏木さんによると、ビールの多飲量特性とは、「たくさん飲んでもまだおいしく飲めるという性質のことで、飲み飽きないといい表すこともできる」という。このことが共同開発にあたって重要な視点になった。
http://www.nutrchem.kais.kyoto-u.ac.jp/fushiki/Rat_and_Beer1.html
ブルーナイル  続いて、2007年8月20日には、このホワイトナイルのリニューアルと、発泡酒「ブルーナイル」の発売について記者発表が行われた。材料をデュラム小麦からエンマー小麦に変更するリニューアルを8月23日に行なうことと、新規開発したフレーバー系発泡酒「ブルーナイル」も同日、黄桜から販売開始されることになるという発表だった。副材料として柚とコリアンダーを使い、独特の風味をかもしだす発泡酒である。柚は東アジア原産で、特に日本で栽培され、コリアンダーは地中海東部が原産である。
  ラベルのウジャトの眼は、ホワイトナイルの左目に対してブルーナイルは右目にデザインされた。

  黄桜株式会社の本社で、代表取締役社長 松本真治さんと専務取締役 若井芳則さんのご案内をいただいて、まず三栖工場の見学である。玄米を運び込んで、精米、浸漬、蒸米から始まる清酒を造る一連の行程を見学した。パンフレットの説明は、豊かなわき水と京の底冷えが酒どころ伏見をつくったということから始まる。そして、山田錦を超高度精米で大吟醸に造り上げる現場を見学する。工場の中を行程に沿って行くと、空気が糠くさい米の臭いから、芳醇な酒の香りに変化する。
  蒸米、麹、仕込み水の一部、酵母から、酒母とも言われる?(モト)を作り、いよいよ酒造りの本番である醪(仕込み)へと進む。仕込みは三回に分けて行う。まず初添、第2回が仲添、第3回が留添である。世界に誇る清酒独特の醸造法である。醪を自動圧搾機にかける。酒粕が水平にできるとばかり思っていた私は、そこで酒粕が縦の板になってずらっと並んでできることに感動した。
   三栖工場から東へ走り、次に塩屋町の本店蔵を訪問した。そこでも酒を仕込んでいる工場を見せていただき、そしていよいよ京都大学と早稲田大学との連携であるホワイトナイルとブルーナイルを作るビールの工場を見学した。
 キザクラカッパカントリーでは、カウンターに腰を下ろして、ビールが育っているタンクをガラス越しに見ながら、できたてのホワイトナイルやブルーナイルなどを味わえるようになっている。瓶詰めにする前のビールは、また格別の味である。
  河童資料館で、歴史に残る黄桜カッパの歩みを振り返ることができた。これが黄桜のキャラクターとなったのは1955年だという。私はまだ酒を飲めない年齢だったが歌を覚えている。
  伏見の酒が銘酒である所以の一つは、もちろん水である。黄桜の商品にある「ミネラルウォーター 伏水」は、酒の仕込みに使う「伏水」を、手軽に楽しめるように500mlのペットボトルに詰めたものである。成分は、1リットルあたりカルシウム16mg、マグネシウム5.5mg、カリウム3.8mg、ナトリウム25mg、硬度61、pH6.4という値である。炭酸は含まれない。この伏水で醸される酒は、きめ細かくまろやかな風味として知られる。また、京料理のだしも、京都盆地のこの水でないといけない。

  京都市などによる桃山断層の活動性に関する調査では、最終活動時期や活動間隔などを詳しく求めることはできなかったが、大阪層群から低位段丘にいたる地層を変形させていることがわかった。その変形の速さは、1000年あたり0.2から0.35メートルで、桃山断層の活動度はB級でも低い方である可能性が指摘された。地形的には北にある花折断層から続いているが、その運動は岡崎付近で途切れると考えられ、花折断層と桃山断層は活動様式が異なる可能性があると指摘された。
  活断層の運動によって盆地が形成され、断層運動で隆起する山地のふもとには扇状地ができる。そこに湧き出る地下水で、美味しい酒やビールが生まれる。京都盆地の厚い堆積層には豊かな地下水が蓄えられている。その地下水で黄桜の美味しい清酒が仕込まれる。

 発売以来、ホワイトナイルもブルーナイルも、たいへん好評をいただいている。私の自宅は、桃山断層の運動で隆起した桃山丘陵を越えて、さらに東にある山科盆地を作った御蔵山断層のすぐ近くにある。自宅に帰って、Googleで「ホワイトナイル ビール」を検索すると3700件、「ブルーナイル 発泡酒」を検索すると686件をヒットした。二つとも市民の皆さんや卒業生の皆さんに親しまれているのがうれしい。

 

◆お知らせ◆

○京都大学創立111周年記念「これからの京都大学」論文コンクール

  京都大学は、創設以来築いてきた「自由の学風」を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎に「研究」「教育」「社会との関係」「運営」について、基本理念を定めています。
  本学は、この基本理念に基づき、今後も独創的な研究成果を生み出し、知の時代に相応しい人材を育成し、未来を拓く研究を発展させて、大学の社会的使命を果たしていきます。
  今般、創立111周年目以降の歩みを始めるにあたり、これまでの伝統を踏まえつつ、これからの京都大学が、中長期的視点からいかにあるべきかについて、改めて考える契機とするため、「これからの京都大学」を基本テーマに、論文コンクールを開催することといたしました。
  本学を構成する教職員、学生並びに元教職員、卒業・修了者からの多数の応募をお待ちしております。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_notice/ippan/071227_32.htm

◆トピックス◆

○京都大学と立命館大学が連携協力に関する基本協定を締結

  京都大学(京都市左京区、総長 尾池和夫)と立命館大学(京都市中京区、学長 川口清史)は、連携協力に関する基本協定書に調印いたしました。

 両大学は、その設立において歴史的につながりが深く、同じ「自由」の精神を有するいわば兄弟関係にあり、設立から100 年経った今、それぞれの特色を活かした相乗効果により、社会への知的還元として、現状の困難な多様性・多元性を特徴とする諸問題の解決に大きく貢献することを目指します。

 現在、環境、医療等、科学技術創造立国の礎となる基礎学術、産官学連携などにおける社会貢献の迅速な推進が大学に強く求められています。このたびの連携により、バイオテクノロジーとナノテクノロジーの融合による副作用の少ない薬物投与技術の確立、持続的発展が可能なアジア広域循環経済の構想と提案、先端装置群の共用化による基礎学術の推進、さらには、産官学組織の連携による活動分野の拡張など、両大学の特徴を最大限に活かして、これらの問題に取り組みます。

 詳細
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071221_2/tpc071221_2_1.htm

○京都大学、慶應義塾大学、東京大学及び早稲田大学が大学院教育における大学間学生交流に関する協定を締結

  京都大学(尾池和夫総長)、慶應義塾大学(安西祐一郎塾長)、東京大学(小宮山宏総長)及び早稲田大学(白井克彦総長)は、この度、大学院生に多様な教育・研究指導を受ける機会を提供し、もって学術の発展と有為な人材の育成に寄与することを目的とし、大学院教育における大学間学生交流協定を締結することに合意しました。

 この4大学は、本協定に基づき連合体を形成し、相互交流を通して大学院生に対し主に研究指導を行ないます。また、受け入れた学生を研究指導した教員は、当該学生の所属大学大学院研究科の承諾のもとに博士学位論文審査に加わることも可能とするなど、大学院教育における交流をより一層推進します。

 学生交流の概要
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071225_1/tpc071225_11.htm

○文部科学省「ナイスステップな研究者」に物質−細胞統合システム拠点の今堀教授が選ばれました

 文部科学省 科学技術政策研究所は、科学技術分野で特に貢献のあった人を選出する今年の「ナイスステップな研究者」を発表し、京都大学からは、昨年の山中 伸弥教授(物質−細胞統合システム拠点・主任研究者)に続き、今堀 博教授(物質−細胞統合システム拠点・主任研究者)が有機物質による人工光合成研究の功績により選出されました。

 物質−細胞統合システム拠点について 
  http://www.kyoto-u.ac.jp/kenkyu/02_ken/wpi.htm

○第4回(平成19年度)日本学術振興会賞を本学から2名が受賞

 独立行政法人日本学術振興会の第4回(平成19年度)日本学術振興会賞を本学の2名の教員が受賞しました。
  日本学術振興会賞は、人文・社会科学及び自然科学の全分野において、優れた研究を進めている若手研究者を、早い段階から顕彰してその研究意欲を高め、独創的、先駆的な研究を支援することにより、我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的に16年度に創設されたものです。

 京都大学の受賞者一覧
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc080109_1/tpc080109_1.htm

◆ニュースリリース◆

○青紫色GaNフォトニック結晶面発光レーザの電流注入発振に成功

 野田 進 工学研究科教授らの研究グループは、GaNフォトニック結晶レーザの発振(電流注入の面発光動作)に成功し、米国科学誌「サイエンス」誌速報版の12月20日号に掲載されました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071221_1.htm

○金田教授が次期人間文化研究機構長候補者に決まりました

  大学共同利用機関法人人間文化研究機構では、現機構長 石井 米雄氏の任期が平成20年3月31日をもって満了することに伴い、同機構長選考会議で選考が行われ、本学の金田 章裕文学研究科教授が次期機構長候補者に決定されました。

○京都大学と日亜化学、蛍光体フリー多色LEDの開発に成功:白色を含む多彩な発光色の実現

 工学研究科の川上 養一教授、船戸 充准教授らの研究グループは、日亜化学工業と共同で、蛍光体を使わずに白色を含む多彩な発光色の実現に世界に先駆けて成功し、この研究成果が、我が国科学誌「Applied Physics Express (APEX) 」創刊号(1月25日刊行)に掲載されることになりました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/080117_11.htm

○京都大学におけるレジ袋削減の取り組みについて

 この度、京都大学におけるレジ袋削減に関して、京大生協における取り組み成果の速報が出ると同時に、ローソンにおける取り組み方針が固まりましたので、その概要を紹介させて頂きます。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/080117_21.htm

◆イベントのお知らせ◆

 ○京都大学未来フォーラム(第32回) 「教育再生の夢と大学改革」 
  独立行政法人 日本学術振興会理事長 小野 元之氏

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080215_1.htm

○京都大学市民講座

  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080223_1.htm

 第1日目 2月16日(土曜日)
  ・『脳から人のこころをよみとく』
    こころの未来研究センター・教授 船橋新太郎
  ・『シルクロードの商人の残した文献と図像を読み解く−日本にも伝わっていたマニ教絵画−』
   文学研究科・教授 吉田 豊

 第2日目 2月23日(土曜日)
  ・『エディアカラの化石の謎を読み解く−多細胞動物の起源を探る−』
   総合博物館・教授 大野 照文

 ・『知的所有権と医療経済をよみとく』
   京都大学理事・副学長 西村 周三

○第1回 大阪大学 京都大学 神戸大学 連携シンポジウム

 http://www.3univ.jp/

○総合博物館 特別展 2008年子年 「京都大学と野ネズミ研究」

  2007年12月19日(水曜日)〜2008年3月16日(日曜日)

 2008年は子年です。干支は日本のほか、中国、台湾、韓国、ベトナムなどの東アジアで用いられています。子年のネズミは、ハツカネズミがもとになったと思われます。ハツカネズミは人家や休耕地、河川敷など人間のすぐ近くで生活しています。また、繁殖力が強いことから、繁栄の象徴として、干支に結びついたと考えられます。ハツカネズミを含めた野ネズミについて京大の研究を中心にパネル等を使って紹介します。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/080316_1.htm

○京都大学環境報告書2007 パネル展示

 「京都大学環境報告書2007」を展示することで、広く学内外の方々に知っていただき、環境について理解を深めていただきたいと思います。

 2007年12月6日(木曜日)〜2008年1月31日(木曜日)
  9時〜21時30分
  京都大学時計台記念館1階 京大サロン
  入場料 無料

○京大21世紀COE「東アジア世界の人文情報学研究教育拠点」
オープンフォーラム"漢字文化の今" 第5回 「漢字文化の継承と発展」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080210_1.htm

○第4回 計算材料科学公開セミナー

 平成18年度に京都大学産官学連携センター(旧 国際融合創造センター)に開講した「NEDO光集積ラボラトリー」において、将来の先端分野や融合分野の技術を支える人材を育成することを目的に、NEDOプロジェクトである「ナノガラス技術」、「三次元光デバイス高効率製造技術」等に関連する技術・研究内容(主に計算材料科学)に関わるセミナーを開催いたします。
  今回は、サイバネットシステム株式会社の藤牧雅人氏を招聘し、光学シミュレーションと測定解析に関する先端技術の活用事例を、バックライト設計にスポットを当ててご紹介していきます。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080212_1.htm

○第5回 京都大学こころの未来フォーラム 『依存症を知る』

  此度、こころの未来研究センターでは、松下正明氏、森山成彬氏、廣中直行氏、十一元三氏、岡田俊氏、をお招きし「第5回こころの未来フォーラム 『依存症を知る』」を開催することと相成りましたので、ご案内申し上げます。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2008/080217_1.htm

 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/event.htm

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