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  京都大学メールマガジン Vol.18
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   目次:
   ◆総長室の一日(2007年12月18日、火曜日)  尾池和夫
   ◆お知らせ
   ◆トピックス
   ◆ニュースリリース
   ◆イベントのお知らせ
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◆総長室の一日(2007年12月18日、火曜日)  尾池和夫

 歳末の雰囲気を味わって俳句を詠むという時間もないまま毎日が続いている。この日、文部科学省でも高等教育のための来年度の予算を少しでも充実させようと、概算要求の最後の詰めが行われている。京都大学の重要な考えを文部科学省に伝えるため、財務担当の松本理事は、昨日午後の役員懇談会の後、昨夜、文部科学省へ出かけて、また今日の教育研究評議会に出るため戻ってきた。

  午前10時、すぐ近くの東一条にある第四錦林小学校の海原校長先生たちが来られた。父母の代表の方もご一緒で、東山理事も同席して30分ほど懇談した。話題の中心は京都大学の学生たちのことである。
  京都大学の、おもに1回生や2回生の学生が、さまざまのボランティア活動で第四錦林小学校を訪れるようになった。活動がすっかり定着して子供たちと仲良しになっている。マジックや大道芸をやったり、落語をやったり、それぞれのお得意の活動が子供たちの記憶に残る。最近、公募に応えて論文を提出し、小学校の運営に参加する仕事に採用された学生もいるという。学生たちは専門課程に進むと時間のやりくりが難しくなって参加できない場合も多いが、それでもうまく後輩たちに引き継いでいるようだ。
  一方、小学生たちにとって一番困ることは、通学路にあたる道路を、京都大学の学生たちが自転車で走るときにルールを守らずに走る人がいるということである。外国人留学生には日本の交通ルールを説明する機会を作っているが、日本人学生には交通教室を開くところまでは実行していない。確かに歩いていると自転車が怖い。
「京都大学の周りに小学生たちの通学路があるということを、入学した学生たちに伝えることを考えましょう」と、同席の東山理事に検討をお願いした。
  錦林小学校のすぐ近くにある京大会館に、京都アメリカ大学コンソーシアム(Kyoto Consortium for Japanese Studies, KCJS)がある。そこのアメリカ人の学生たちも錦林小学校を訪問する。運動会のときには、特別席も用意して、アメリカ人の学生たちも徒競走などに参加した。KCJSの参加大学は、ボストン大学、ブラウン大学、コロンビア大学、コーネル大学、シカゴ大学、エモリー大学、ハーバード大学、ミシガン大学、ペンシルヴァニア大学、プリンストン大学、スタンフォード大学、ワシントン大学(セントルイス校)、イェール大学、バージニア大学である。
  話のついでに、京大会館を運営する財団の理事長としても、京大会館の、とくにレストランなどのご利用を海原先生たちにお願いした。

 続いて、女性教員懇話会の代表として来られた女性教員の皆さんと懇談した。男女共同参画に関しては、すでに議論して得られたアクションプランへの提言が完成し、部局長会議にも報告されている。それを総長としてどのように考えているかを確認し、どのように実現していくかという道筋を確かめようという力強い意思表示から懇談が始まって、中森理事、澤田総務部長とともに緊張して臨んだ30分だった。


こころの未来研究センターの先生方

  女性教員懇話会の皆さんが一番期待していることは、男女共同参画社会の実現のために新しく教育研究のための組織をつくって、そこに専任の教員を置いて活動することである。京都大学に今年度から新しく設置された組織といえば、「こころの未来研究センター」がある。現在検討中の新しい教育研究のための組織としては、日本にいるヒト科4属の中で、もっとも少子高齢化の著しいオランウータンやゴリラ、チンパンジーを中心に、その将来を研究する「野生動物研究センター」を考えているという話をした。それらの例をあげて、「教員のポストを確保することが、さまざまの分野で必要なのであるが、人件費を節約するように経済界や政界から要請されている現状で、それはたいへん困難なことである。最近の例を見習って実現への道を引き続き一緒に探って欲しい。」とお願いした。これから大学全体で議論していくことが大切であると考えている。
  基本的には、女性だけでなく男女を通して、教員だけでなく学生も職員も役員も京都大学にいるすべての人のために、子育て支援だけではなく介護支援も充実しながら、男女共同参画社会の実現に向けての努力をしたいという、私の考えをお伝えした。
  医学部附属病院の中に設置した病児保育室「こもも」の利用状況が順調で、毎日利用者がある。実現して本当に良かったと思う。女性研究者支援センターも多くの仕事をこなして下さっている。これらのさらなる充実も重要な課題である。

 懇談に続いて、来週の東京での重要な行事について事務的な打ち合わせに来られた里見部長も、京都大学では数少ない女性の部長さんで、今日は総長室を訪れる方たちが女性中心になった。
  最近、法人化してからは、職員の採用試験を京都大学独自に実施して、実際に採用された100名を超える職員を見ると、女性が多く、57パーセントを占めている。そして、入ると同時に実際に大活躍しておられる女性の職員がたくさんいる。このように法人化後の職員採用は男女共同参画社会へ向かって着実に進んでいるが、この状態を将来にわたってしっかり保つことができるように、大学の中の仕組みを整備していくことが最重要課題なのである。

  午後、1時半からは教育研究評議会である。このメンバーには女性がたった1人しかいないのが、まことに寂しい。しかし、その1人だけの女性は、今年4月1日に発足したばかりの、こころの未来研究センターのセンター長である吉川左紀子先生なので、こころ強いかぎりである。
  続いて開催した役員会には、残念ながら今は女性はいない。重要な案件を決定して終わった。


浅利美鈴さん

 執務室で、つかの間のメールのやりとりをして15時少し前、環境保全センター助教の浅利美鈴さんが、総長室に中森理事と私を迎えに来た。浅利さんは、京都大学の環境に関する課題だけでなく、地球社会の調和ある共存を目指して、教育と研究に携わる優秀な若手女性教員である。
  たった1時間では環境保全センターの仕事を見学するには足りないのはよくわかっているが、実はまだ一度も現地を見ていないので、とくにお願いして見学させていただくことにした。
  耐震改修の終わった旧工学部4号館には、たくさんの部局が同居している。法学研究科、法科大学院、経営管理大学院、文学研究科、アジア・アフリカ地域研究研究科、東南アジア研究所、公共政策大学院、などなどであるが、それらと同居して環境保全センターがある。
  大嶌センター長の概要の説明の後、酒井先生、中川先生、平井先生たちの案内で現場を見た。技術専門員の方々が説明して下さる。有機廃液処理では真島さんが、無機廃液処理では本田さんが説明し、またアスベストの分析や、レジ袋などの例えば鉛の分析では学生の山口くんや宮島くん、佐藤くんたちが説明してくださった。
  このセンターは、京都大学環境安全保健機構のもとで、全学の実験廃液処理をはじめ、排水、大気、廃棄物、化学物質の管理などの業務を行い、自らの研究成果をもとに、それらに関する基礎教育を実施する。

  多くの新しいシステムを開発しているが、その中でも「KUCRS」は、大学において必要な化学物質の適正な管理を、ウェブを利用して一元管理するシステムで、在庫量の確認、使用履歴の確認などをしながら、化学物質のデータベースを構築していく優れたシステムであり、他大学でも利用されるようになった。

 日めくり

  浅利先生たちがまとめてくださった環境報告書はたいへん好評で、昨年は環境省の賞も受けた。1日1エコを呼びかける「日めくり」もできた。今、京都大学では環境マネジメントシステム構築に向けての具体的方策をまとめようとしている。

 部屋に帰ると、本部棟の新聞記者室から、京都新聞社の記者が訪ねてきて、今日届いたばかりの私の著書の取材をした。宝塚出版の「俳景(三)−洛中洛外・地球科学と俳句の風景」である。京都新聞は、最近出た岩波書店の「新版活動期に入った地震列島」も上手に紹介して下さった。
  その後、たくさんの書類にサインして、石田秘書と日程の打ち合わせをした。

 この一日、京都大学で活躍するたくさんの女性教職員たちと話すことができた。
  男女共同参画社会の実現のためには、さまざまのことをきめ細かく検討して、実行していかなければならない。そのためには場所と予算と、とくに人件費が必要である。それを大学全体で工夫して捻出するようにと言われる。しかし、そもそも今まで、大学の先生たちは少ない予算を効率的に使うのが得意で、自分の工夫と時間外手当も貰わずに夜中まで働いて、教育と研究を実行してきたのだから、もともと余裕はない状態になっている。
  国の高等教育には、人件費の投入が必要であるという認識が、国全体にしっかり定着することこそが、日本が21世紀を生きていくのに必要なのであるという思いを新たにする一日であった。
  暮れるのが一段と早くなった町を、地下鉄まで歩いて帰途についた。夕食後、記憶の新しいうちにと、この原稿を書いている。

◆お知らせ◆

 京大広報629号を掲載しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_kohou/kohho_kyotou.htm

◆トピックス◆

○第四錦林小学校長が総長を訪問
  京都市立第四錦林小学校の海原 清子校長、松浦 由香PTA会長、教務主任の今村 ひろみ先生が尾池和夫総長を訪問され、東山 紘久副学長同席の上で、日頃の第四錦林小学校と京都大学との交流について懇談されました。

 特に、本学のボランティア学生との放課後の催し物や遊びを通した交流は、同校の生徒さんたちが楽しく有意義な学校生活を送る一助になっていることや、毎朝、本学の正門付近で警備員らが通学途中の生徒さんたちと挨拶を交わすことで、生徒さんたちが大変好感を持っていることなどが話題となりました。

 また、本学の学生の自転車走行が、生徒さんにとっては非常に危険なため、注意喚起するとともに、今後も引き続き取り組みを継続されたい旨、要望がありました。

 なお、訪問された3名の方々には、尾池総長が著書「新版 活動期に入った地震列島」(岩波科学ライブラリー138)を贈呈しました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071218_1/tpc071218_1.htm

○総長と女性教員懇話会の懇談会を開催

 尾池和夫総長と女性教員懇話会の先生が総長応接室で、男女共同参画推進アクションプランの策定に向けての取り組みの状況と女性研究者支援センターの将来的な展望について懇談しました。尾池総長からは、いずれも京都大学にとって大切な問題で慎重に検討しているところですとの説明がありました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071218_2/tpc071218_2.htm

○尾池総長と中森理事が環境保全センターを視察

 尾池 和夫総長と中森 喜彦副学長(法務・安全管理担当理事)が、環境保全センターを視察しました。

 大嶌 幸一郎センター長による概要説明の後、酒井 伸一教授らの案内で、まず、旧工学部4号館の中庭にある「有機廃液処理装置(KYS)」と、同建物内2階から地下1階にかけて設置された「無機廃液処理装置(KMS)」を見学しました。

 その後、いくつかの部屋を回り、アスベストの分析や「京都大学化学物質管理システム(KUCRS)」、レジ袋中の鉛の分析について、説明を受けました。アスベストや(レジ)袋については、本学内で得られた試料を使っての興味深いデモンストレーションもありました。

 最後に、短時間ではありますが、教職員との懇談の機会があり、アジアにおける廃棄物管理に関する情報ニーズから、センターの地震対策まで、幅広い話題で盛り上がりました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071218_3/tpc071218_3.htm

○第49回京都大学11月祭を開催

 11月22日(木曜日)〜25日(日曜日)にかけて、第49回京都大学11月祭が開催されました。
  今年の統一テーマは「満喫!モラトリアム。」です。21日に吉田グラウンドで前夜祭が行われ、翌日の本祭からはキャンパスの各所で講演・ステージ、屋内企画などが行われ、多くの人で賑わいました。

 写真1
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071125_1/tpc071125_11.htm
  写真2
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071125_1/tpc071125_12.htm

○京都大学手話サークルが設立10周年を迎えました

 京都大学手話サークルはこのほど設立10周年を迎え、12月8日にはOBらを交えて記念パーティーをカンフォーラで開催されました。併せて10周年記念の冊子を現サークル員有志によって発行されました。

同サークルは1997年に設立され、1999年に顧問を置いて全学公認のサークルになりました。その後、長期休暇中などをのぞき、毎週、学習例会を継続しています。基本的には先輩から後輩に伝える形で手話学習が行われています。また、今年度の11月祭では手話コーラスの発表と聴覚障害についての展示が行われました。

 同サークルの学生さん達は、手話は音声言語とは異なる体系を持っている点でとても興味深く、何よりも「どうやったら相手と分かり合えるのだろう?」というコミュニケーションについて考えるサークルでありたいと考えています。
  10周年記念プロジェクトを担当した庄司さんは、「手話は一朝一夕で習得できるものではなく、また、学習の困難さゆえに、サークルとしての基盤はなかなか確立できないでおり、未だ発展途上のサークルです。しかし、現在のサークルは内部での交流を大切にし、サークル員の聴覚障害者も含め、楽しく交流しながら活動しています。10周年を迎えましたが、これからもサークル活動が続いていって欲しいと思います。」と語っています。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071208_2/tpc071208_2.htm

○「第32回 ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト 世界大会」に京都大学echizen.batチームが参加決定

 京都大学echizen.bat チームが、第32回 ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト アジア地区予選東京大会に出場、みごと1位となり、世界大会出場の切符を獲得しました。昨年に続いて、4年連続の快挙です。
  ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト (ACM/ICPC)は、世界最大規模の計算機・情報処理関係の学会であるACM (Association for Computing Machinery) が主催する大学生を対象とした世界的規模のプログラミングコンテストです。
  世界 82ヶ国から6,099のチーム がそれぞれの国内予選、地区予選を戦い、そこで勝ち上がった88チームがカナダで開催される世界大会に参加します。
  世界大会は、2008年4月6日〜10日にアルバータ大学をホスト校として、カナダのバンフで開催され、世界各国から88チームが参加します。日本からは現時点では京都大学チームの参加だけが決定しています。
  大会の模様はインターネットでも中継されます。皆様、応援をよろしくお願い致します。

 写真
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071128_1/tpc071128_1.htm

○ヒト幹細胞を用いた臨床試験の開始について(12月7日)

 かねてより医学部附属病院から申請されていた「ヒト幹細胞を用いた臨床試験」に対し、2007年10月25日付けで、厚生労働大臣より臨床研究を行っても差支えない旨の通知がありました。内容は「大腿骨頭無腐性壊死患者に対する骨髄間葉系幹細胞を用いた骨再生治療の検討」及び「月状骨無腐性壊死患者に対する骨髄間葉系幹細胞を用いた骨再生治療の検討」です。

 これを受けて、2007年11月29日に27才の大腿骨頭壊死症の患者さんが第1例として試験登録が行われ、12月5日にまず、最初の段階である自己血清採取が行われる予定です。二つの臨床試験は現在有効な治療法が確定されていない難治性骨疾患である骨壊死症に対し、現行の優れた治療法である血管柄付き骨移植術に、体外で培養増殖させた自己間葉系幹細胞と人工骨材料の移植を併用する事で壊死骨の再生を図る、新規治療法の開発を目指すもので、それぞれの疾患について2年間に10症例を対象として施行する予定です。

 この臨床試験は2006年9月に施行された「ヒト幹細胞を用いる臨床試験に関する指針」に準拠した、国内で初めての幹細胞による骨再生治療試験となります。

○山室信一教授が司馬遼太郎賞を受賞することになりました

 山室信一人文科学研究所教授の「憲法9条の思想水脈」が、司馬遼太郎記念財団の主催する司馬遼太郎賞を受賞することになりました。

 同賞は、作家 司馬遼太郎の活動を記念して、毎年1回、文芸、学芸、ジャーナリズムの広い分野から、創造性にあふれ、さらなる活躍を予感させられる作品を対象に選考し、決定されるものであり、今年が第11回目となります。なお、第8回ま
では人とその業績に重点が置かれ、第9回からは作品が対象です。

 贈呈式は、来年2月12日、東京日比谷公会堂で開かれる「菜の花忌」で行われます。

○鍋島陽一教授が2007年度武田医学賞を受賞

 受賞テーマ:動物個体の形成と機能維持の分子機構の研究

 鍋島陽一教授の受賞理由は、動物個体の発生分化機構、並びに動物個体の恒常性維持機構の分子遺伝学的研究を行い、以下のような顕著な業績をあげられたことに対するものです。


  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071207_1/tpc071207_1.htm

◆ニュースリリース◆

○iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略に関する総長談話

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071220_1.htm

○がん遺伝子Mycを用いないiPS細胞誘導に成功

 山中 伸弥教授(物質−細胞統合システム拠点/再生医科学研究所)らの研究グループは、ヒトの皮膚細胞からES細胞(胚性幹細胞)と遜色のない能力をもった人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発に成功しました。ヒトiPS細胞は患者自身の皮膚細胞から樹立できることから、脊髄損傷や若年型糖尿病など多くの疾患に対する細胞移植療法につながるものと期待されます。またヒトiPS細胞から分化させる心筋細胞や肝細胞は、有効で安全な薬物の探索にも大きく貢献すると期待されます。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071201_1.htm

○チンパンジーの子どもの記憶能力は人間のおとなより優れている

 Current Biologyカレント・バイオロジー12月3日号に論文が掲載されました。標題の直訳は、「チンパンジーにおける数字の作業記憶」です。井上紗奈・松沢哲郎の共著です。「チンパンジーの子どもの記憶能力が、チンパンジーのおとなよりも、さらには人間のおとなよりも優れている」ということを示した世界で最初の発見です。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071204_1.htm

○ひので衛星によって発見された彩層アネモネ型ジェットについて

 柴田 一成理学研究科附属天文台(花山天文台)教授の研究チームは、昨年、わが国のJAXA/宇宙研より打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」(Solar B)の観測により、太陽の彩層と呼ばれる層(太陽表面の上空の大気層)が非常に小さなジェット現象(細長い高速の流れ)に満ち満ちていることを発見しました。この研究成果が米国科学誌「サイエンス」に掲載されることになりました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071207_1.htm

○「コ」の字型分子と「Z」字型分子の作りわけをする酵素が見つかった

 梅澤 俊明生存圏研究所教授(森林代謝機能化学分野)、鈴木 史朗 生存基盤科学研究ユニット助教らの研究グループは、ヒノキなどの樹木の心材に蓄積するヒノキレジノールと呼ばれる物質の合成を触媒する酵素を初めて同定し、この酵素のサブユニット組成を変えると、トランス型ヒノキレジノールとシス型ヒノキレジノールを作り分けることができるというユニークな現象を発見しました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071211_2.htm

○簡便な手法により、化学の常識を覆す鉄酸化物を発見

 陰山 洋理学研究科准教授、吉村 一良理学研究科教授らの研究グループは、高輝度光科学研究センター、フランス・レンヌ第一大学、フランス・ラウエランジュバン研究所と共同で、低温での簡便な化学反応により、組成が単純で新しい構造をもつ鉄酸化物を合成することに成功しました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071213_11.htm

○野生チンパンジーには閉経後の老年期がない、
  人間の女性だけに「おばあさん」期のあることがわかった

 松沢 哲郎 霊長類研究所教授、米国ハーバード大学などからなる研究チームの研究で、野生チンパンジーには閉経後の老年期がなく、人間の女性だけに「あばあさん」期のあることがわかりました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071217_1.htm

◆イベントのお知らせ◆

○特別シンポジウム「多能性幹細胞研究のインパクト―iPS細胞研究の今後―」

 今回、京都大学 山中教授によりヒト皮膚細胞からES細胞と遜色のない分化能を持つiPS細胞が作られ、再生医療に新たな展開が期待できる状況となっています。JSTはこのような状況を踏まえ、わが国においてiPS細胞を中心とした多能性の幹細胞研究の加速と拡充が目下の急務と考えております。
  本シンポジウムは、今後のiPS細胞を用いた再生医療研究の展開・推進を目指すべく、ヒトiPS細胞の作製や動物iPS細胞を用いた再生応用の実験について詳細な報告をし、本研究分野について多角的に俯瞰すると共に、今後のiPS細胞研究の方向性を提示する予定です。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071225_1.htm

○総合博物館 特別展 2008年子年 「京都大学と野ネズミ研究」

 2007年12月19日(水曜日)〜2008年3月16日(日曜日)

 2008年は子年です。干支は日本のほか、中国、台湾、韓国、ベトナムなどの東アジアで用いられています。子年のネズミは、ハツカネズミがもとになったと思われます。ハツカネズミは人家や休耕地、河川敷など人間のすぐ近くで生活しています。また、繁殖力が強いことから、繁栄の象徴として、干支に結びついたと考えられます。ハツカネズミを含めた野ネズミについて京大の研究を中心にパネル等を使って紹介します。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/080316_1.htm

○京都大学環境報告書2007 パネル展示

 「京都大学環境報告書2007」を展示することで、広く学内外の方々に知っていただき、環境について理解を深めていただきたいと思います。

 2007年12月6日(木曜日)〜2008年1月31日(木曜日)
  9時〜21時30分
  京都大学時計台記念館1階 京大サロン
  入場料 無料

 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/event.htm


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□編集・発行
京都大学 秘書・広報室 ksens521 の後に @mail.adm.kyoto-u.ac.jp をつけて下さい
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