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  京都大学メールマガジン Vol.17
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   目次:
   ◆京都の紅葉  尾池和夫
   ◆お知らせ
   ◆トピックス
   ◆ニュースリリース
   ◆イベントのお知らせ
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◆京都の紅葉  尾池和夫

 京都の11月下旬は何と言っても紅葉である。出勤の道に沿って楓が色づくのを毎日見ている。
 気象庁が発表する情報は、音声や画像や文字で伝えられるから、誰にでも正確に伝わるように工夫して定められている。「紅葉前線」という用語は「カエデの紅葉日の等期日線」と定義されてはいるが、「使わない方がよい」とされた用語である。おおざっぱに言えば、紅葉前線は日本列島を北から南へ約50日かけて移動し、また山頂から麓に向かって移動する。「黄葉日」は、イチョウを対象として観測し、「紅葉日」は、イロハカエデ等を対象として観測している。
 「紅葉の見ごろ予想」という言葉で情報が出される。これは「落葉樹の葉が紅色や黄色に色づき、最も美しくなる時期についての予想」と定義されており、しかも「9月30日頃関東地方についてのみ発表している」という。読み方も決まっていて「コウヨウノミゴロヨソウ」である。
 以前に気象庁のデータを見たときには、紅葉日の京都の平年値は11月30日、黄葉日が11月18日だったが、最近は遅くなっているのだろうか。紅葉日のデータは九州中部から北にしかない。フィリピンには紅葉がないと、研究室の留学生がたくさん写真を撮っていたのを覚えている。
 京都で私の好きな紅葉の場面は、哲学の道から少し入ったところにある。住職が紅葉する木を主に植栽をすすめる住蓮山安楽寺である。法然院の南で、通称「隠れ道」と呼ばれる道に面している。真如堂前で市バスを降りて、迷わなければ歩いて10分ほどである。
 山門に向かう石段に差しかかったとたん、「おー」と声が出る。11月下旬でもまだ緑の葉が混じっているときがあり、これが新鮮な美しさである。12月初めになると季語で言う「紅葉かつ散る」となって季節の移り変わりを見せ、中旬になると夕方には散り紅葉が石段を埋めつくす。
 山門が閉まっている夕方でも、石段を登って山門の手前までの往復で、十分堪能するが、紅葉の時にとくに一般公開する日に合わせて参詣すると、安楽寺の由緒を、松虫と鈴虫像のある本堂で住職が丁寧に説明する。ゆっくり寺の中を拝観したのち、帰りに山門を通して石段を見ると、山門の屋根の苔の緑が紅い紅葉と対照して眼に残る。
 楓は「蛙手」と書いていた。私は楓の落ち葉を見ると葉の数を数えるくせがあるが、京都では今までに3枚から13枚までの奇数の葉を見た。
 先日、京都賞の祝賀の席で、広中平祐先生、日高敏隆先生と話したとき、木の葉先と動物の指の数の話で、ひとしきり盛り上がった。広中先生はヤツデの葉が8つあるのを一所懸命探していたら、あるとき京都で見つけてうれしくなったという。日高先生は何で指が5本ないといけないのかがわからないという。春の花見のときには、広中先生が八重桜の花を持ってきて、花びらがたくさんあってもガクは5枚だ、と言いながら、しきりに写真を撮っていた。
 日本では楓の葉の化石がたくさん出る。古くは6000万年前の地層から出てきた。第三紀の中期には著しい分化があったという。石器を作った先人たちも紅葉を見ながら、分かれた葉の先を数えていたかもしれない。

◆お知らせ◆

京大広報628号(2007年11月)を掲載しました
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_kohou/kohho_kyotou.htm

平成20年度の学生募集要項を発表
http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200711210945114325

◆トピックス◆

○ジェーン・グドール博士に京都大学名誉博士の称号を授与(11月12日)

 京都大学は、英国の霊長類学者で、野生チンパンジー研究の第一人者であるジェーン・グドール博士に対し、京都大学名誉博士の称号を授与しました。

 同称号の授与は、グドール博士の、人間以外の動物の道具使用の発見、チンパンジーの寿命が50年にもおよび、親から子どもへと世代を超えて引き継がれる知識や技術や価値があることを示されたことなどの研究により、学術文化に寄与した功績が特に顕著であり、しかも、日本の霊長類研究者と連携して、京都大学の教育研究にも大きな功績を残したことによるものです。

 京都大学での名誉博士は、平成2004年4月のノーベル賞受賞者である利根川進博士以来で、11人目となります。また、女性としては初めてとなります。

 贈呈式後に行われた記者会見で、グドール博士は、自身の研究と京都大学との連携を振り返りながら、「続けられる限り世界中で講演を続け、執筆活動にも励みたい」と今後の抱負を語られました。

  京都大学名誉博士称号授与の趣旨
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071018_1.htm

 写真
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071112_1/tpc071112_1.htm

 総長の挨拶(英文)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/01_sou/071112_1.htm

○ジェーン・グドール講演会「地球社会の調和ある共存に向けて −野生動物研究センターへの展望−」を開催(11月11日 )

 http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200711141726201737

○京都大学体育会新役員が尾池総長を訪問(11月13日)

 このたび京都大学体育会新役員が決定し、総長室へ挨拶に訪れました。

 法学部2回生、安藤巨騎(なおき)体育会新幹事長をはじめ総勢10名の新役員との名刺交換の後、懇談に移り、終始なごやかな雰囲気のなか今後の活動についての抱負等が語られました。

 また、来年7月に新オープンされる「白浜海の家」について話題があがり、学生さんからはいろいろな提案がなされました。さらには無料でお茶やお菓子がいただける茶道資料館の話題にも及びました。

 最後に、新役員から来年度、東北大学が主管校として開催される「全国七大学総合体育大会」で今年度に続く連覇をめざすことを約束し、尾池和夫総長への貴重な訪問を終えました。

○全国七大学総合体育大会 京大総合優勝

 第46回全国七大学総合体育大会は7月7日(土曜日)七夕の日の開会式を挟み、昨年12月10日(日曜日)の「アイスホッケー」を皮切りに9月15日(土曜日)の閉会式まで、41競技種目(公開競技2種目を含む)にわたり京都大学の主管で開催されました。
  本学は主管校として、優勝という大きな期待を背負いながらそのプレッシャーをものともせず堂々の総合優勝を勝ち取りました。また、優勝を祝って祝賀会が10月25日(火曜日)にカンフォーラにて催されました。

 写真
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071030_1/tpc071030_11.htm

 成績
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071030_1/tpc071030_12.htm

○近畿地区国立大学体育大会の成績

 大阪教育大学が当番校となり開催された第45回近畿地区国立大学体育大会は5月6日(日曜日)の「ラグビー」から8月24日(金曜日)の「ソフトテニス・弓道」まで、17競技種目において各大学がそれぞれの競技の当番大学となり熱戦が展開されました。
  本学は「バスケットボール(男子)」「剣道(男子)」の種目で優勝し、各競技において実力を発揮し総合成績では、男子が3位、女子が7位でした。

 成績
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071030_2/tpc071030_2.htm

○平成19年度第1回事務改善GP(Good Practice)受賞者の表彰式・報告会を実施

 平成19年度第1回「事務改善GP」は全学の職員の方々から7件の応募があり、応募のあった提案について、事務改善GP募集要項に基づき、全学的な影響力や実務的な観点から、提案の進捗状況の結果を踏まえて厳正に審査を行った結果、最優秀として工学研究科附属環境安全衛生センターの「有機廃液外部委託業務全般の電子化による簡略化」、優秀として情報環境部情報企画課総務・企画グループの「新採用教員等への事務手続き等の作成」、情報環境部情報企画課業務システムグループの「パソコンの各種設定方法や実際に職場で起こったトラブルへの対応のFAQ化」が選ばれました。

 10月23日に行われた表彰式では、木谷 雅人副学長(総務担当)から、表彰状が授与され副賞が贈呈されました。
 
  また、10月29日には、受賞者の報告会が附属図書館AVホールで開催されました。報告会では、受賞された3名(最優秀、優秀2)の職員によるプレゼンテーションが行われ、参加者からは予定時間をオーバーするほど、提案内容についての詳細な質問が活発に行われました。

 写真
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071023_1/tpc071023_1.htm
  http://www.kyoto-u.ac.jp/GAD/topic/data07/tpc071029_1/tpc071029_1.htm

○助成金等採択結果
・若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)(アジア・アフリカ地域研究研究科)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2007.htm#200711151643412439

◆ニュースリリース◆
○ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功

 山中 伸弥教授(物質−細胞統合システム拠点/再生医科学研究所)らの研究グループは、ヒトの皮膚細胞からES細胞(胚性幹細胞)と遜色のない能力をもった人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発に成功しました。ヒトiPS細胞は患者自身の皮膚細胞から樹立できることから、脊髄損傷や若年型糖尿病など多くの疾患に対する細胞移植療法につながるものと期待されます。またヒトiPS細胞から分化させる心筋細胞や肝細胞は、有効で安全な薬物の探索にも大きく貢献すると期待されます。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071121_11.htm

○ケニヤで発見された1000万年前の新しい大型化石類人猿

 国松 豊 霊長類研究所助教、中務 真人 理学研究科准教授らの研究グループは、エマ・ムブア ケニヤ国立博物館地球科学部長らとの共同研究で、ケニヤで発見された約1000万年前の大型類人猿化石に関する調査結果を論文にまとめました。この論文が、米国科学誌「米国科学アカデミー紀要(Proceeding of the National Academy of Sciences USA (PNAS))」誌11月12日−16日の週の電子版に掲載されることになりました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071113_2.htm

○DNAの複製開始反応を制御するメカニズムの解明

 三木 邦夫理学研究科教授、中村 顕博士研究員らの研究グループは、和田 千惠子元京都大学ウイルス研究所助教授、理化学研究所播磨研究所との共同研究で、DNA複製開始反応を制御するRepEタンパク質の、二量体状態でのDNAとの複合体構造を決定することに成功し、その複製を開始する機能がどのように発現されるかを解明しました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071113_1.htm

○液化ジメチルエーテル(DME)を用いた底質中高濃度ポリ塩化ビフェニル(PCB)の除去に成功

 高岡 昌輝 准教授・大下 和徹 助教らの研究グループは、財団法人 電力中央研究所エネルギー技術研究所の神田英輝主任研究員等の協力の元、有害物質PCB(ポリ塩化ビフェニル類)で汚染された都市河川底質から、常温・非加熱で、PCBを99.1%除去することに成功しました。

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071112_1.htm

◆イベントのお知らせ◆

○“はんなり京都嶋臺(しまだい)塾” 第10回「京のごみ、始末のこころ」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071127_1.htm

○玉城嘉十郎教授記念公開学術講演会(第46回)

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071128_1.htm

○第23回 こころの未来セミナー (松岡 俊行 先生)

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071128_2.htm

○第24回 こころの未来セミナー(ケビン.ゲインズ(Kevin Gaines)先生)

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071203_1.htm

○2007年 京都大学大学院文学研究科・文学部公開シンポジウム
  『世界地図と世界文学』

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071202_1.htm

○京都大学経済研究所主催 先端政策分析(CAPS)公開セミナー
  「京都議定書目標達成の見通しとこれからの地球温暖化対策のあり方」

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071205_1.htm

○京都大学医学領域 産学連携セミナー 2007
  〜成功する医学領域の産学連携を考える〜

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071207_1.htm

○京都大学生態学研究センター・オープンキャンパス

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071208_1.htm

○第17回 インクルーシブデザインワークショップ

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071209_1.htm

○京都大学再生医科学研究所平成19年度学術講演会

 http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2007/071226_1.htm

 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/event.htm

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