研究成果

高活性な水素発生電極触媒を開発 -白金とタングステンの新規な固溶合金ナノ粒子によって-


2020年10月09日


     北川宏 理学研究科教授、小林大哉 日本曹達株式会社研究員らの研究グループは、新たに白金とタングステンの固溶合金ナノ粒子(白金-タングステン固溶合金)の合成に成功しました。また、この白金-タングステン固溶合金を用いた水の電気分解による水素発生反応(Hydrogen evolution reaction(HER))において、触媒活性の世界最高レベルの高性能化を達成しました。

     HERは白金原子上におけるプロトン(水素イオン)の還元反応と、それに続く吸着水素原子間の結合反応によって、水から水素ガスを発生する反応であり、化石燃料に代わるクリーン燃料の水素の製造方法として極めて重要な技術です。HERにおいて、白金は最も高活性な元素であることが知られていますが、白金の地殻存在量は極めて低く、かつ高価なため、白金を用いた触媒には更なる効率化が求められています。

     今回開発した白金-タングステンの新規な固溶合金は、10 mA/cm2(ミリアンペア毎平方センチメートル)の電流密度に必要な過電圧が、従来の白金単体の触媒と比較して7割程度でよく、高効率な水素発生触媒であることが明らかとなりました。さらに、単位白金質量当たりの水素発生効率が白金よりも3.6倍高く、性能が劇的に向上することを確認しました。

     本研究成果は、2020年9月30日に、国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載されました。

    図:過電圧が加えられた白金―タングステン固溶合金ナノ粒子から、水素ガスが発生するイメージ図(銀色=白金原子、緑色=タングステン原子)。
    水素発生反応の活性サイトは、タングステン原子近傍の薄青色の白金原子。

     

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1021/jacs.0c07143

    Daiya Kobayashi, Hirokazu Kobayashi, Dongshuang Wu, Shinya Okazoe, Kohei Kusada, Tomokazu Yamamoto, Takaaki Toriyama, Syo Matsumura, Shogo Kawaguchi, Yoshiki Kubota, Susan Meñez Aspera, Hiroshi Nakanishi, Shigebumi Arai, and Hiroshi Kitagawa (2020). Significant Enhancement of Hydrogen Evolution Reaction Activity by Negatively Charged Pt through Light Doping of W. Journal of the American Chemical Society.

    • 化学工業日報(10月6日 1面)に掲載されました。

    高活性な水素発生電極触媒を開発 -白金とタングステンの新規な固溶合金ナノ粒子によって-
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