アフリカ地域研究資料センターは、2018年4月から2023年7月までの5年間にわたり、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA )による地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)プログラムの枠組みのもとで、カメルーン東部州の森林地域にて「在来知と生態学的手法の統合による革新的な森林資源マネジメントの共創」プロジェクトを実施しています。
2020年度公開講座では、本プログラムにかかわる研究を紹介します。
基本情報
- その他の地域
※ 受講には、パソコン、インターネット、およびZoomを利用できる環境が必要です。
- 一般・地域の方
- 企業・研究者の方
イベント内容
開講日程
第1回 2020年10月24日(土曜日)
「アフリカの森の暮らしをおびやかす諸問題」
安岡 宏和(京都大学アフリカ地域研究資料センター准教授)
熱帯雨林の広がるコンゴ盆地では、多様な森林資源を利用しながら、たくさんの人々が生活しています。そこでは、野生動物の肉、いわゆるブッシュミートが、人々のタンパク源となってきました。ところが、近年、その持続性が疑問視され、ブッシュミート・クライシスとして国際的な関心をあつめています。イントロダクションとなる第1回は、この問題の背景を説明し、解決へむけた取り組みにおいて必要なことについて議論します。
第2回 2020年11月7日(土曜日)
「野生動物は何頭いるのか?」
本郷 峻(京都大学アフリカ地域研究資料センター特定研究員)
売上額、睡眠時間、感染者数…科学教育を受けた私たち現代人は、数でものごとを理解するのが大好きです。それは野生動物の保全・管理でも同じこと。科学者や行政は、動物の「生息個体数」やそれを面積で割った「生息密度」を知ろうと躍起になって調査します。しかし、深い森で暮らす動物の数を知るなんて、果たして可能なのでしょうか? 第2回は、野生動物の数をできるだけ正確に知るための様々な方法を紹介し、それをアフリカ熱帯雨林での資源管理に活かす試みについて議論します。
第3回 2020年11月21日(土曜日)
「野生果実はどのような役割を担いうるか?」
平井 將公(京都大学アフリカ地域研究資料センター特定研究員)
野生果実は動物の餌となることで、種子が森林のあちこちに散布されます。豊かな熱帯雨林が成り立つうえで、動物-植物のあいだの種子散布のしくみが健全であることが欠かせません。また、人々は、野生果実、とりわけ種子に含まれるナッツ部を、エネルギーに富んだ香ばしい油脂調味料として古くから利用しており、近年は、重要な現金収入源にもなっています。第3回は、生態的にも経済的にも重要な役割を有する野生果実を活かして、動物相を含む森林の保全と住民の生活向上がどのように両立可能かを考えます。
第4回 2020年12月5日(土曜日)
「森林産品は誰がどこへ運んでいるのか?」
戸田 美佳子(上智大学総合グローバル学部助教、京都大学アフリカ地域研究資料センター特任研究員)
野生果実などの森林産物が近年注目を集めています。「木を伐らずに森を利用する」ことで、森林保全とそこに暮らす人々の生活向上を両立できると期待されているからです。その代表がブッシュマンゴーで、カメルーン東部の熱帯雨林の村には、1000㎞以上も離れたナイジェリアから毎年ブッシュマンゴーのナッツの買い付けに商人がやってきます。第4回は、このブッシュマンゴーをとおして、森の生産地から国際市場に至るまでの流通の実態を解き明かします。
第5回 2020年12月19日(土曜日)
「生物多様性はどのように保全されるのか?」
四方 篝(京都大学アフリカ地域研究資料センター特定研究員)
熱帯地域の農業は、しばしば貴重な森林生態系を破壊し生物多様性を損なう要因とされてきました。依然としてそうした見方が根強くある一方で、近年、人間の営みによって維持されてきた「二次的自然」の重要性が指摘されるようになっています。第5回は、カメルーン熱帯雨林における焼畑に焦点をあてて、文化的ランドスケープとしての熱帯雨林という視点から森と人の相互関係を紐解き、持続的資源利用や生物多様性保全のあり方について考えます。
申し込み
以下の専用フォームに必要事項を記入の上、お申し込みください。
https://forms.gle/NraVRVNyJge9dcWw6
※ 各回開催前日の20時00分頃にZoomの招待URLをお伝えします。
各回開催日の前日17時00分まで
※ 定員になり次第、締め切ります。
備考
- 「在来知と生態学的手法の統合による革新的な森林資源マネジメントの共創」プロジェクト
https://sites.google.com/view/projet-comeca/
京都大学アフリカ地域研究資料センター
E-mail: manabiafrica*gmail.com (*を@に変えてください)
Tel: 075-753-7803