成宮 周医学研究科教授が紫綬褒章を受章(2005年4月28日)

成宮 周医学研究科教授が紫綬褒章を受章(2005年4月28日)
成宮教授の写真

成宮 周教授は、昭和48年京都大学医学部医学科を卒業、同50年に同大学院医学研究科博士課程に進学、同54年に医学博士の学位を授与されています。昭和54年英国ウエルカム研究所研究員、昭和56年京都大学医学部助手、同63年同助教授、平成4年教授となり、神経・細胞薬理学講座を担当して現在に至っています。平成16年10月より京都大学医学研究科長、医学部長に就任し、医学教育、研究の推進、法人化後の大学の整備に努力しています。学外では、日本生化学会会長、日本薬理学会理事などを務め、文部科学省科学技術・学術審議会専門委員、日本学術振興会総合研究連絡会議委員などを歴任し、我が国の学術と科学技術振興に大きく寄与してきました。

成宮教授は、薬理学の領域で顕著な業績を挙げ、この領域における著書及び論文は330編に及んでいます。研究分野は、大別して1.炎症、痛み、発熱などの病態の形成に働くプロスタグランジン (PG) の作用機構の研究と2.低分子量G蛋白質Rhoのシグナル伝達に関する研究があります。前者では、PG作用を介達する全8種の受容体を同定、個々の受容体を欠損したマウスを作成して、各々の受容体の個体の生理、病態生理での働きを解明しました。これにより、炎症、痛み、発熱などの病的症状、骨形成、大腸ガンの進展などに関与するPG受容体を明らかにし、PGを介する陣痛招来、止血・血栓形成、免疫、アレルギーの調節機序を明らかにしました。後者では、 Rhoを特異的に不活化するボツリヌスC3酵素やRhoの標的であるROCKキナーゼの特異的阻害薬を発見し、これらを用いて、Rhoを介する細胞接着・移動・収縮や細胞質分裂のシグナル伝達経路を解明しました。また、この経路が、高血圧の発現、細胞の癌化、癌細胞の転移などに働いていることを明らかにしました。これらの研究は、いずれにおいてもその分野の基盤を形成し、基礎医学、臨床医学の双方に大きな影響を及ぼしているものです。

これら一連の業績に対し、平成10年に大阪科学賞、平成11年に武田医学賞、エルウィン・フォン・ベルツ賞、平成12年にFondazione Giovanni Lorenzini Gold Medal、平成14年に上原賞を受賞しています。これらに続いての今回の紫綬褒章受章は、まことに喜ばしいことです。

医学研究科