◎京都大学科学技術イノベーション創出フェローシップ事業実施要項

令和3年3月12日

総長裁定制定

(目的)

第1条 この要項は、研究に対する意欲を有し、将来の我が国の科学技術・イノベーション創出を担う京都大学(以下「本学」という。)の博士後期課程学生に対し、研究に専念できる環境を提供するために、当該博士後期課程学生の処遇の向上及び博士後期課程修了後の安定的なキャリアパスの確保を目的として実施する科学技術イノベーション創出フェローシップ事業(以下「フェローシップ事業」という。)の実施に関し必要な事項を定める。

(実施体制)

第2条 フェローシップ事業は、総長の命により、教育担当の理事(以下「担当理事」という。)が実施責任者として統括し、大学院教育支援機構(以下「機構」という。)がその実施に係る業務を行う。

(令4.3.30裁・一部改正)

(対象分野等及び採用人数)

第3条 フェローシップ事業の対象とする分野(以下「分野」という。)は、情報・AI分野、量子分野、マテリアル分野及び健康・医療・環境分野とする。

2 フェローシップ事業の対象となる研究科及び専攻並びに分野ごとの採用人数は、別表のとおりとする。

第4条 機構に、科学技術イノベーション創出フェローシップ事業(以下「フェローシップ事業」という。)の実施に関する重要事項を審議するため、科学技術イノベーション創出フェローシップ事業実施委員会(以下「事業実施委員会」という。)を置く。

2 事業実施委員会は、次の各号に掲げる委員で組織する。

(1) 機構の長(以下「機構長」という。)

(2) 大学院教育支援機構大学院横断教育プログラム推進部長

(3) 第9条第1項に定める各事業部門の部門長

(4) その他機構長が必要と認める者 若干名

3 前項第4号の委員は、機構長が委嘱する。

4 第2項第4号の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(令4.3.30裁・追加)

第5条 事業実施委員会に委員長を置き、機構長をもって充てる。

2 委員長は、事業実施委員会を招集し、議長となる。

3 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長の指名する委員が、その職務を代行する。

(令4.3.30裁・追加)

第6条 事業実施委員会は、委員の半数以上が出席しなければ、開会することができない。

2 事業実施委員会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長が決する。

(令4.3.30裁・追加)

第7条 事業実施委員会は、必要と認めるときは、委員以外の者を出席させて説明又は意見を聴くことができる。

(令4.3.30裁・追加)

第8条 前4条に定めるもののほか、事業実施委員会に関し必要な事項は、事業実施委員会が定める。

(令4.3.30裁・追加)

第9条 機構に、フェローシップ事業を実施するため、次の各号に掲げる分野に、当該各号に掲げる事業部門を置く。

(1) 情報・AI分野 情報・AI・データ科学博士人材フェローシップ事業部門

(2) 量子分野 未来を創る先端量子技術創出フェローシップ事業部門

(3) マテリアル分野 マテリアルイノベーションを創出する未来人材育成フェローシップ事業部門

(4) 健康・医療・環境分野 健康・医療・環境イノベーション創出フェローシップ事業部門

2 事業部門に部門長を置き、当該分野に係る別表に定める研究科の教員のうちから、機構長が指名する。

3 部門長の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の部門長の任期は、前任者の残任期間とする。

4 部門長は、当該事業部門の業務を掌理する。

(令4.3.30裁・追加)

第10条 事業部門に、当該分野におけるフェローシップ事業の実施に係る重要事項の審議を行うため、事業部門フェローシップ実施委員会(以下「事業部門実施委員会」という。)を置く。

2 事業部門実施委員会に関し必要な事項は、事業部門実施委員会が定める。

(令4.3.30裁・追加)

(フェローシップの支給額及び支給方法)

第11条 フェローシップ事業の支給対象となった学生(以下「支給対象学生」という。)に支給するフェローシップは次の各号に掲げる資金で構成し、それぞれの支給額は当該各号に定めるとおりとする。

(1) 研究専念支援金 年額1,800,000円

(2) 研究費 年額300,000円

2 次条第2項の申請資格を有する者が、支給対象学生となった際の支給額は、前項の規定にかかわらず、次条第2項第2号の規定による当該取消しを受けた学生が受給する予定であった残りの支給額とする。

3 フェローシップは、第1項各号の資金の区分に応じ、それぞれ次の各号に定める方法で支給する。

(1) 研究専念支援金 原則として1か月に1度、支給対象学生の届け出た金融機関の口座に振り込むことにより支給する。

(2) 研究費 本学の会計制度に基づき、支給対象学生の請求に応じて適切に支給する。

4 研究専念支援金の一部については、リサーチ・アシスタント等の給与等として支給対象学生に支給することがある。

(令4.3.30裁・追加、令5.3.31裁・一部改正)

(申請資格)

第12条 フェローシップ事業への申請資格は、次の各号に掲げる要件をすべて満たすこととする。

(1) 優れた研究能力を有し、研究に専念できる環境を希望する者であること。

(2) フェローシップ事業募集年度において、大学院博士課程に在籍し、次のいずれかの区分に該当する者であること。

 博士後期課程の第1年次に在学する者(在学月数が12か月未満の者に限る。)

 医学研究科及び薬学研究科の4年制の博士課程の第1年次(在学月数が12か月未満の者に限る。)及び第2年次に在学する者(在学月数が12か月以上24か月未満の者に限る。)

 一貫制博士課程の第3年次に在学する者(在学月数が24か月以上36か月未満の者に限る。)

(3) 独立行政法人日本学術振興会特別研究員、国立研究開発法人科学技術振興機構「次世代研究者挑戦的研究プログラム」により実施する京都大学大学院教育支援機構プログラムの研究奨励費の支給対象学生、国費外国人留学生(国費外国人留学生制度実施要項(昭和29年3月31日文部大臣裁定)第2条に定めるものをいう。)又は本国からの奨学金等の支援を受ける留学生でないこと。

(4) 所属する大学又は企業等から、生活費相当額として十分な水準(年額2,400,000円を基準とする。)の給与、役員報酬等の安定的な収入を得ていると認められる学生でないこと。

2 前項に定めるもののほか、フェローシップ事業募集年度において、前項各号(第2号を除く。)及び次の各号に掲げる要件をすべて満たす者は、フェローシップ事業への申請資格を有するものとする。ただし、支給対象学生が、第16条に定めるフェローシップの支給の取消しを受けた場合に限るものとする。

(1) 大学院博士課程に在籍し、次のいずれかの区分に該当する者であること。

 博士後期課程に在学する者

 医学研究科及び薬学研究科の4年制の博士課程に在学する者

 一貫制博士課程に在学する者(第1年次及び第2年次に在学する者を除く。)

(2) 別表第1欄に掲げる分野(当該取消しを受けた学生に支給したフェローシップの対象であった分野に限る。)の区分に応じ、同表の第2欄及び第3欄に掲げる研究科及び専攻に所属すること。

(令3.6.1裁・一部改正、令4.3.30裁・旧第4条繰下・一部改正、令4.8.1裁・令5.3.31裁・一部改正)

(募集)

第13条 第9条第1項各号の事業部門は、フェローシップ事業の趣旨、目的及び申請資格、フェローシップの支給額及び支給対象学生の義務その他必要な事項を示し、当該分野における支給対象学生を募集する。

2 前項の募集の方法は、当該分野を構成する研究科と協議のうえ、当該事業部門の部門長が定める。

(令4.3.30裁・旧第5条繰下・一部改正)

(支給対象学生の決定)

第14条 部門長は、事業部門実施委員会において選出した当該分野の支給対象学生の候補者を、機構長に推薦する。

2 前項の推薦を受けた機構長は、事業実施委員会の議を踏まえて支給対象学生の採否を決定し、担当理事に報告するとともに、部門長に通知する。

3 前項の通知を受けた部門長は、前条第1項の募集への応募者に対し、支給対象学生の採否を通知する。

(令4.3.30裁・旧第6条繰下・一部改正)

(支給対象学生の義務)

第15条 支給対象学生は、フェローシップ事業の趣旨を踏まえ、次の各号に掲げる義務を果たさなければならない。

(1) 研究計画を立て、それを踏まえた研究活動に専念すること。

(2) 本学及びフェローシップ事業の対象となる研究科が実施する研究力向上等に関するプログラム等に参加すること。

(3) 研究活動の状況について、所属する研究科及び専攻の長に報告すること。

(4) メンター(学生の研究及びキャリア形成に関する指導及び助言を行う教員をいう。以下同じ。)による面談を定期的に受けること。

2 前項に定める義務の履行について、当該支給対象学生の指導教員は日常的に確認するものとし、メンターは同項第4号に定める面談において同項第1号から第3号までに定める義務について詳細に確認したうえで、必要な指導を行うものとする。

3 第1項第2号に定めるプログラム等のうち本学が実施するものに関し必要な事項については、担当理事が、同号に定めるプログラム等のうち研究科が実施するもの、同項第3号に定める研究科及び専攻の長への報告並びに同項第4号に定める面談に関し必要な事項については、当該研究科の長が別に定める。

(令4.3.30裁・旧第8条繰下)

(支給対象)

第16条 フェローシップの支給対象は、博士後期課程、一貫制博士課程の後期3年に相当する課程又は標準修業年限が4年の博士課程に在学する学生の当該課程の標準修業年限以内の期間(出産、育児等による休業の場合で、機構長が認める期間を除き、休学期間を含む。)とする。

2 前項の規定にかかわらず、支給対象学生が次の各号のいずれかに該当した場合は、当該支給対象学生を支給対象から除外する。

(1) 第12条に定める申請資格を喪失したとき。

(2) 前条第1項に定める義務の履行の状況が不十分であるとセンター長が認めたとき。

(3) 支給対象学生からフェローシップの辞退の申出があったとき。

(4) フェローシップ事業への申請に係る書類に虚偽の記載があったとき。

(5) 除籍されたとき。

(6) 京都大学通則(昭和28年達示第3号)第53条の規定により準用する第32条第1項の規定による懲戒を受けたとき。

(7) その他総長が支給を取り消すべき事由があると判断したとき。

(令4.3.30裁・旧第9条繰下・一部改正、令5.3.31裁・一部改正)

(その他)

第17条 各分野を構成する研究科は、支給対象学生にフェローシップの受給に伴い生じる税金、年金保険料等の納付義務を説明しなければならない。

2 前項の税金、年金保険料等の納付に係る手続等は、原則として、支給対象学生が行うものとする。

(令4.3.30裁・旧第10条繰下)

第18条 この要項に定めるもののほか、フェローシップ事業の実施に関し必要な事項は、事業実施委員会の議を経て、担当理事が定める。

(令4.3.30裁・旧第11条繰下)

この要項は、令和3年3月15日から施行する。

〔中間の改正規程の附則は、省略した。〕

(令和4年3月総長裁定)

1 この規程は、令和4年4月1日から施行する。

2 京都大学大学院横断教育プログラム推進センター要項(平成30年3月28日総長裁定)は、廃止する。

3 この要項の実施後最初に指名する第9条第2項の部門長の任期は、同条第3項本文の規定にかかわらず、令和5年3月31日までとする。

(令和4年8月総長裁定)

この要項は、令和4年8月1日から施行し、令和4年4月1日から適用する。

(令和5年3月総長裁定)

この要項は、令和5年3月31日から施行する。

別表

(令5.3.31裁・一部改正)

分野

研究科

専攻

採用人数

情報・AI分野

理学研究科

数学・数理解析専攻

地球惑星科学専攻

25名

情報学研究科

知能情報学専攻

社会情報学専攻

先端数理科学専攻

数理工学専攻

システム科学専攻

通信情報システム専攻

情報学専攻

量子分野

理学研究科

数学・数理解析専攻

物理学・宇宙物理学専攻

21名

工学研究科

原子核工学専攻

電気工学専攻

電子工学専攻

情報学研究科

通信情報システム専攻

情報学専攻(通信情報システムコースに限る。)

マテリアル分野

理学研究科

数学・数理解析専攻

化学専攻

生物科学専攻

40名

医学研究科

医学専攻

医科学専攻

薬学研究科

薬科学専攻

医薬創成情報科学専攻

工学研究科

材料工学専攻

材料化学専攻

物質エネルギー化学専攻

分子工学専攻

高分子化学専攻

合成・生物化学専攻

化学工学専攻

農学研究科

応用生命科学専攻

健康・医療・環境分野

医学研究科

医学専攻

11名

薬学研究科

薬科学専攻

医薬創成情報科学専攻

薬学専攻

農学研究科

農学専攻

森林科学専攻

応用生命科学専攻

応用生物科学専攻

地域環境科学専攻

生物資源経済学専攻

食品生物科学専攻

エネルギー科学研究科

エネルギー社会・環境科学専攻

エネルギー基礎科学専攻

エネルギー変換科学専攻

エネルギー応用科学専攻

総合生存学館

総合生存学専攻

京都大学科学技術イノベーション創出フェローシップ事業実施要項

令和3年3月12日 総長裁定制定

(令和5年3月31日施行)