◎京都大学臨床研究審査委員会規程

平成30年3月6日

総長裁定制定

(設置)

第1条 京都大学(以下「本学」という。)に、臨床研究法(平成29年法律第16号。以下「法」という。)第23条第1項に定める臨床研究審査委員会として、京都大学臨床研究審査委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(定義)

第2条 この規程における用語の意義は、法その他関係法令の定めるところによる。

(業務)

第3条 委員会は、次に掲げる業務(以下「審査意見業務」という。)を行う。

(1) 法第5条第3項(法第6条第2項において準用する場合を含む。)の規定により意見を求められた場合において、実施計画について臨床研究実施基準に照らして審査を行い、特定臨床研究を実施する者に対し、当該特定臨床研究の実施の適否及び実施に当たって留意すべき事項について意見を述べる業務

(2) 法第13条第1項の規定により特定臨床研究の実施に起因するものと疑われる疾病、障害若しくは死亡又は感染症(以下「疾病等」という。)の発生に関する報告を受けた場合において、必要があると認めるときは、特定臨床研究実施者に対し、当該報告に係る疾病等の原因の究明又は再発防止のために講ずべき措置について意見を述べる業務

(3) 法第17条第1項の規定により特定臨床研究の実施状況に関する報告を受けた場合において、必要があると認めるときは、特定臨床研究実施者に対し、当該報告に係る特定臨床研究の実施に当たって留意すべき事項又は改善すべき事項について意見を述べる業務

(4) 前3号のほか、必要があると認めるときは、その名称が法第5条第1項第8号の認定臨床研究審査委員会として記載されている実施計画により特定臨床研究を実施する者に対し、当該特定臨床研究を臨床研究実施基準に適合させるために改善すべき事項又は疾病等の発生防止のために講ずべき措置について意見を述べる業務

2 委員会は、審査意見業務を依頼する者の如何にかかわらず、公正に審査意見業務を行うものとする。

3 委員会は、臨床研究法施行規則(平成30年厚生労働省令第17号)第21条第4項の規定により利益相反管理基準及び利益相反管理計画について意見を求められた場合、当該基準及び計画について審査を行い、意見を述べるものとする。

(構成)

第4条 委員会は、次の各号に掲げる委員で組織する。ただし、各号に掲げる者は、当該各号に掲げる者以外の者を兼ねることはできない。

(1) 医学又は医療の専門家

(2) 臨床研究の対象者の保護及び医学又は医療分野における人権の尊重に関して理解のある法律に関する専門家又は生命倫理に関する識見を有する者

(3) その他一般の立場の者

2 委員会は、次の要件を満たしていなければならない。

(1) 委員の総数が5名以上であること。

(2) 男性及び女性を各1名以上含んでいること。

(3) 同一の医療機関(当該医療機関と密接な関係を有するものを含む。)に所属する者が、委員の総数の半数未満であること。

(4) 本学に所属しない者を2名以上含んでいること。

3 第1項各号の委員は、総長が委嘱する。この場合において、総長は、委員会が倫理的観点から審査意見業務を行うことに鑑み、十分な社会的信用を有する者に委員を委嘱するものとする。

4 第1項各号の委員の任期は、原則2年の範囲内で、総長が定める。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 第1項各号の委員は、再任されることがある。

(委員長)

第5条 委員会に、委員長を置き、委員の互選により定める。

2 委員長の任期は、2年以内とし、再任を妨げない。

3 委員長は、委員会を招集し、議長となる。

4 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長の指名する委員が、その職務を代行する。

(技術専門員)

第6条 委員長は、次の各号に掲げる専門家のうちから、技術専門員を指名する。

(1) 審査意見業務の対象となる疾患領域の専門家

(2) 毒性学、薬力学、薬物動態学等の専門的知識を有する臨床薬理学の専門家、生物統計家その他の臨床研究の特色に応じた専門家

2 委員会は、第3条第1項第1号に規定する業務(法第6条第2項において準用する法第5条第3項の規定により意見を求められた場合において意見を述べる業務を除く。)を行うに当たっては、技術専門員からの評価書を確認しなければならない。

3 委員会は、前項以外の審査意見業務を行うに当たっては、必要に応じ、技術専門員の意見を聴かなければならない。

(議事の運営)

第7条 委員会は、次の各号に掲げる要件を満たさなければ、開催することができない。

(1) 委員が5名以上出席していること。

(2) 男性及び女性の委員が各1名以上出席していること。

(3) 第4条第1項各号の委員が各1名以上出席していること。

(4) 同一の医療機関(当該医療機関と密接な関係を有するものを含む。)に所属する者が、出席委員の半数未満であること。

(5) 本学に所属しない者が2名以上出席していること。

2 委員会は、審査意見業務を行うため、年12回以上定期的に開催するものとする。

3 審査意見業務に、次の各号のいずれかに該当する委員又は技術専門員は参加してはならない。

(1) 審査意見業務の対象となる実施計画に係る特定臨床研究の研究責任医師又は研究分担医師

(2) 審査意見業務の対象となる実施計画に係る特定臨床研究の研究責任医師と同一の医療機関の診療科に属する者又は過去1年以内に多施設で実施される共同研究(特定臨床研究に該当するもの及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第17項に規定する治験のうち、医師又は歯科医師が自ら実施するものに限る。)を実施していた者

(3) 審査意見業務を依頼した研究責任医師が属する医療機関の管理者

(4) 前3号に掲げる者のほか、審査意見業務を依頼した研究責任医師又は審査意見業務の対象となる特定臨床研究に関与する医薬品等製造販売業者等と密接な関係を有している者であって、当該審査意見業務に参加することが適切でない者

4 前項第2号若しくは第3号に該当する委員又は技術専門員は、委員会の求めに応じて、委員会において意見を述べることができる。

5 委員会における審査意見業務に係る結論を得るに当たっては、出席委員全員から意見を聴いた上で、原則として、出席委員の全員一致をもって行うよう努めるものとする。ただし、委員会において議論を尽くしても、出席委員全員の意見が一致しないときは、出席委員の過半数の同意を得た意見を委員会の結論とする。

6 前項の場合においては、全委員の意見聴取が困難なときであっても、少なくとも、第4条第1項第3号の委員の意見を聴くよう配慮するものとする。

7 委員会における審査意見業務に係る結論は、「承認」、「不承認」又は「継続審査」のいずれかとする。

(簡便の審査及び緊急の審査)

第8条 第6条第2項及び第3項並びに前条第1項及び第5項の規定にかかわらず、委員会は、次の各号に掲げるいずれかの要件を満たすものを行う場合には、委員会を開催することなく、委員長及び委員長が指名する委員による審査意見業務により、結論を得ることができる。

(1) 審査意見業務の対象となるものが、臨床研究の実施に重要な影響を与えないものである場合であって、委員会の指示に従って対応するものである場合

(2) 第3条第1項第2号又は第4号に規定する業務を行う場合であって、臨床研究の対象者の保護の観点から緊急に当該臨床研究の中止その他の措置を講ずる必要がある場合

2 前項第2号の場合においては、後日、前条第5項の規定に基づき、委員会の結論を得るものとする。

3 第1項に定めるもののほか、委員会は、審査意見業務の対象となるものが、臨床研究の実施に重要な影響を与えないものである場合であって、委員会の指示に従って対応するものではなく、かつ、次条各号に掲げる事項に該当しないものであるときは、委員会を開催することなく、委員長による審査意見業務により、結論を得ることができる。

(平31.3.29裁・令元.5.28裁・一部改正)

(事前確認不要事項の取扱い)

第8条の2 前条に定めるもののほか、委員会が行う第3条第1項の業務のうち、次の各号に掲げる事項に係るものについては、第19条第1項の委員会に関する事務を処理する事務部等において当該各号に掲げる事項に該当することを確認の上、研究責任医師からの届出を受理し、収受の記録を行ったことをもって委員会の承認があったものとみなすことができる。

(1) 研究に関する問合せ先の担当者及び連絡先の変更(担当者の所属機関の変更を伴わないものに限る。)

(2) 実施医療機関の管理者及びその許可の有無の変更

(3) データマネジメント担当機関、モニタリング担当機関、監査担当機関、研究・開発計画支援担当機関及び調整・管理実務担当機関の担当責任者又は担当者並びにそれらの所属及び役職の変更

(4) 統計解析担当責任者の所属及び役職の変更

(5) 第一症例登録日の追加

(6) 契約締結日の追加

(7) e―Rad番号の変更

(8) 研究内容の変更を伴わないことが明らかである誤記の修正又は記載整備

(令元.5.28裁・追加)

(厚生労働大臣への報告)

第8条の3 委員会は、第3条第1項第2号から第4号までの業務において意見を述べたときは、総長に報告のうえ、遅滞なく、厚生労働大臣にその旨を報告しなければならない。

(平31.3.29裁・追加、令元.5.28裁・旧第8条の2繰下)

(手数料)

第9条 委員会は、審査意見業務に関して実施計画を提出する研究責任医師から手数料を徴収することができる。なお、手数料の額は、委員会の健全な運営に必要な費用に照らして合理的な範囲で別途定める。

(委員会の廃止)

第10条 総長は、委員会を廃止しようとする場合、医学部附属病院倫理支援部を通じて、あらかじめ、委員会に実施計画を提出していた研究責任医師に通知するとともに厚生労働大臣に届け出るものとする。

(委員会の廃止後の手続)

第11条 総長は、委員会を廃止したときは、医学部附属病院倫理支援部を通じて、速やかに、その旨を委員会に実施計画を提出していた研究責任医師に通知するものとする。

2 前項の場合において、総長は、委員会に実施計画を提出していた研究責任医師に対し、臨床研究の実施に影響を及ぼさないよう、他の認定臨床研究審査委員会を紹介することその他の適切な措置を講じるものとする。

(委員等の教育又は研修)

第12条 総長は、年1回以上、委員会の委員、技術専門員及び運営に関する事務を行う者(以下「委員等」という。)に対し、教育又は研修を受けさせ、その受講状況を管理しなければならない。ただし、委員等が既に総長が実施する教育又は研修と同等の教育又は研修を受けていることが確認できる場合は、この限りでない。

(帳簿の備付け等)

第13条 総長は、委員会が審査意見業務に関する事項を記録するための帳簿を備え、最終の記載の日から5年間保存しなければならない。

2 前項の帳簿には、審査意見業務の対象となった研究ごとに、次に掲げる事項を記載する。

(1) 審査意見業務の対象となった臨床研究の研究責任医師等の氏名及び実施医療機関の名称

(2) 審査意見業務を行った年月日

(3) 審査意見業務の対象となった臨床研究の名称

(4) 法第13条第1項又は法第17条第1項の報告があった場合には、報告の内容

(5) 第3条第1項第4号の意見を述べた場合には、意見を述べる必要があると判断した理由

(6) 述べた意見の内容

(7) 第3条第1項第1号の審査意見業務を行った場合には、研究責任医師等が当該審査意見業務の対象となった実施計画を厚生労働大臣に提出した年月日

(記録等の公表及び保存)

第14条 総長は、委員会における次の各号に掲げる事項を含む審査意見業務の過程に関する記録を作成するものとする。

(1) 開催日時

(2) 開催場所

(3) 議題

(4) 実施計画を提出した研究責任医師等の氏名及び実施医療機関の名称

(5) 審査意見業務の対象となった実施計画を受け取った年月日

(6) 審査意見業務に出席した者の氏名及び評価書を提出した技術専門員の氏名

(7) 審議案件ごとの審査意見業務への関与に関する状況(審査意見業務に参加できない者が、委員会の求めに応じて意見を述べた場合は、その事実と理由を含む。)

(8) 結論及びその理由(出席委員の過半数の同意を得た意見を委員会の結論とした場合には、賛成・反対・棄権の数)を含む議論の内容(議論の内容については、質疑応答などのやりとりの分かる内容)

2 この規程、委員名簿その他委員会の認定に関する事項及び前項の記録に関する事項については、厚生労働省が整備するデータベースに記録することにより公表するものとする。

3 総長は、審査意見業務に係る実施計画その他の審査意見業務を行うために研究責任医師から提出された書類、第1項の記録(技術専門員からの評価書を含む。)及び委員会の結論を審査意見業務に係る実施計画を提出した研究責任医師に通知した文書の写しを、当該実施計画に係る特定臨床研究が終了した日から5年間保存するものとする。

4 総長は、委員会の認定に係る申請書の写し及び当該申請書の添付書類、この規程並びに委員名簿を、委員会の廃止後5年間保存するものとする。

5 この規程を改正した場合、当該改正前の規程を、当該改正前の規程に基づき審査意見業務を行った全ての臨床研究が終了した日から5年間保存するものとする。

6 委員会の委員に変更があった場合、当該変更前の委員名簿を、当該変更前の委員会において審査意見業務を行った全ての臨床研究が終了した日から5年間保存するものとする。

(平31.3.29裁・一部改正)

(運営に関する情報の公表)

第15条 総長は、研究責任医師が、委員会に関する情報を容易に収集し、効率的に審査意見業務を依頼することができるよう、委員会の審査手数料、開催日程及び受付状況を公表しなければならない。

(秘密の保持)

第16条 委員会の委員若しくは委員会の審査意見業務に従事する者又はこれらの者であったものは、正当な理由なく当該審査意見業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(特定臨床研究以外の臨床研究に係る委員会の業務)

第17条 委員会は、法第21条の規定により臨床研究(特定臨床研究を除く。)の実施に関する計画に係る意見を求められ、これに応じた場合において、第3条第1項各号に準じて審査意見業務と同様の業務を行うよう努めるものとする。

(苦情相談窓口)

第18条 委員会は、臨床研究に関する苦情及び問合せを受け付けるための窓口を設置する。

(事務)

第19条 委員会に関する事務は、医学部附属病院倫理支援部及び研究推進部において処理する。

2 前項の事務部等に、委員会運営に関する事務を行う者を4名以上配置し、うち2名は、臨床研究の安全性及び科学的妥当性等を審査する委員会(認定臨床研究審査委員会、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)第27条の規定による治験審査委員会、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)第10の規定により設置された倫理審査委員会、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)第16の規定により設置された倫理審査委員会等を含む。)の事務に関する実務経験を1年以上有する専従者とする。

(平31.3.29裁・令2.3.31裁・令3.6.25裁・一部改正)

(雑則)

第20条 この規程に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、別に定める。

この規程は、平成30年4月1日から施行する。

〔中間の改正規程の附則は、省略した。〕

(令和3年6月総長裁定)

この規程は、令和3年6月30日から施行する。

京都大学臨床研究審査委員会規程

平成30年3月6日 総長裁定制定

(令和3年6月30日施行)