○国立大学法人京都大学資金運用実施要領

平成29年3月17日

財務担当理事裁定制定

令和4年5月10日財務担当理事裁定全部改正

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 運用管理(第5条―第9条)

第3章 準用通則法第47条に規定の方法による運用

第1節 自家運用(第10条―第12条)

第2節 委託運用(第13条―第15条)

第4章 法人法第34条の3第2項に規定の方法による運用

第1節 資金運用管理委員会(第16条)

第2節 自家運用(第17条―第21条)

第3節 委託運用(第22条―第26条)

第5章 その他資金運用実施に必要な事項(第27条―第30条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この要領は、国立大学法人京都大学資金管理要領(平成16年12月27日財務担当理事裁定制定。以下「資金管理要領」という。)第5条第4項の規定に基づき、本学の資金を安全かつ効率的に運用することにより、本学の中長期的な財政基盤の強化を図るとともに将来の教育研究の発展に資することを目的に、財務担当の理事(以下「財務担当理事」という。)及び財務部長が行う資金の運用に関し必要な事項を定める。

(運用の目標)

第2条 将来にわたって本学の財政の健全性を維持するに足る収益性の確保を運用目標とする。

(運用の原資)

第3条 資金管理要領第5条第1項及び第2項に規定する運用の原資は、国立大学法人法(平成15年法律第112号。)第35条において準用する独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「準用通則法」という。)第47条における業務上の余裕金及び国立大学法人法(以下「法人法」という。)第34条の3第2項における業務上の余裕金とする。

(運用の方法)

第4条 運用にあたっては、流動性を十分確保するとともに、分散投資に努めるものとする。

第2章 運用管理

(運用の計画)

第5条 財務担当理事及び財務部長は、資金管理要領第2条の規定による資金管理計画のうち資金運用計画(以下「資金運用計画」という。)に基づき資金運用を行うものとする。

(運用対象資産の割合)

第6条 長期運用における運用対象資産の割合を資金運用計画に含めることとし、当該割合を維持するよう努める。

2 運用対象資産の割合は毎年度検証し、必要に応じて見直しを図るものとする。

(集中投資の回避)

第7条 国債、地方債及び特別の法律により法人の発行する債券(金融債及び特定社債を除く。)以外の債券(以下「事業債」という。)を取得する場合、同一発行体が発行した事業債への投資額は、自家運用資産の総額の10%を超えないものとする。

2 一金融機関への短期運用のための預入限度額は、200億円を超えないものとする。ただし、市場の動向等を勘案した上で、本学が著しく不利な状況になると判断した場合はこの限りでない。

(取得債券格下げ時の対応)

第8条 事業債で、取得後にいずれの金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「金融商品取引法」という。)第66条の27の規程に基づき内閣総理大臣の登録を受けた信用格付業者(以下「信用格付業者」という。)による格付もA格未満となった場合には、財務担当理事は必要に応じて売却等の措置を講じる等の対応について決定するものとする。

2 保有を継続する場合、同一発行体が発行した事業債への投資額は、本学が運用する事業債の総額の20%を超えないものとする。

(倫理規程)

第9条 財務担当理事及び職員の職務に係る倫理の保持に資するために必要な措置については京都大学教職員倫理規程(平成16年達示第81号)に定めるところによる。

第3章 準用通則法第47条に規定の方法による運用

第1節 自家運用

(運用の対象)

第10条 自家運用の対象は、準用通則法第47条第1項第1号及び第2号に掲げるものとする。

2 前項により運用を行う場合は、次の要件を満たすものとする。

(1) 準用通則法第47条第1項第1号に基づき運用を行う場合は、「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の業務上の余裕金の運用に関し文部科学大臣の指定する有価証券の指定について(平成20年3月28日)」に定める金融商品ごとの要件を満たすものとする。

(2) 準用通則法第47条第1項第2号に基づき運用を行う場合は、預金の預入先となる金融機関について、信用格付業者及び「金融商品取引業等に関する内閣府令第百十六条の三第二項の規定に基づき信用格付業者の関係法人を指定する件」に基づき指定されている信用格付業者の関係法人のうち2社以上からA格相当以上の格付を取得しており、かつ、どの信用格付業者においてもBB格相当以下の格付がないものとする。

(自家運用の手順)

第11条 長期運用にあたっては、次の手続きをとるものとする。

(1) 財務担当理事は、運用商品、運用金額及び運用期間を決定の上で、実施する。

(2) 運用を実施する際は、次の事項に係る期限を記した工程表を作成する。

 金融機関へのオファー(運用商品、運用金額及び運用期間等の条件提示)

 金融機関からの提案

 金融機関との約定又は断り

 約定金融機関の指定口座へ運用金振込

 運用期間終了後、約定金融機関から本学指定口座への運用金及び利息入金の実施に必要となる事項

 その他運用の実施に必要となる事項

2 短期運用にあたっては、次の手続きをとるものとする。

(1) 財務部長は、日々の余裕金残高を反映した資金繰表を作成し、運用商品、運用金額及び運用期間を決定の上で、実施する。

(2) 運用を実施する際は、前項第2号に規定する工程表を作成する。

(運用先の選定)

第12条 財務担当理事又は財務部長は、次の方法により運用先を選定する。

(1) 提案依頼先金融機関の選定

金融市場の競争原理を活用するため、複数の金融機関を対象とした提案方式により行うものとする。提案を依頼する金融機関を選定するにあたっては、金融機関格付を参考に、資金運用先としての安全性を考慮するものとする。

(2) 約定者の決定

金融機関からの提案を踏まえ、本学にとって最も有利な金融機関を約定者とする。

(3) 前2号に定めるもののほか、運用先の選定に関し必要な事項は、別に定める。

第2節 委託運用

(受託者責任)

第13条 本学は、受託機関に対して、本学の資金運用管理にあたり専門家としての慎重な注意をもって、専ら委託者たる本学の利益に対してのみ忠実に最善の努力を果たす義務を負うことを求める。

(運用の対象)

第14条 準用通則法第47条第1項第3号に掲げるものとする。

2 前項により運用を行う場合は、元本補てん契約があるものに限る。

(受託機関の選定過程)

第15条 委託運用を実施する場合は、財務担当理事が運用金額等について運用条件を定め、金融機関からの提案を受けた上で受託機関を選定するものとする。

第4章 法人法第34条の3第2項に規定の方法による運用

第1節 資金運用管理委員会

(資金運用管理委員会)

第16条 法人法第34条の3第2項に規定の運用に関する事項については、資金運用管理委員会(以下、「管理委員会」という。)の議を踏まえるものとする。ただし、信託収益の受入については、この限りではない。

第2節 自家運用

(運用の対象)

第17条 自家運用の対象は、次に掲げるものとする。

(1) 貯金又は外貨建ての預金

(2) 資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)に規定する特定社債券

(3) 社債券(第10条第2項第1号に掲げるものを除く。)

(4) 法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形のうち、金融商品取引法第2条に規定する定義に関する内閣府令第2条で定めるもの

(5) 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号。以下「投資信託法」という。)に規定する投資信託又は外国投資信託の受益証券

(6) 投資信託法に規定する投資証券、新投資口予約権証券若しくは投資法人債券又は外国投資証券

(7) 外国又は外国の者の発行する証券又は証書で金融商品取引法第2条第1項第1号から第5号まで、第12号又は第15号に掲げる証券又は証書の性質を有するもの(同項第18号に掲げるものを除く。)

2 前項第1号の運用を行う場合は、第10条第2項第2号を準用する。

3 第1項第2号から第7号により運用を行う場合は、「国立大学法人法第三十四条の三における業務上の余裕金の運用にかかる文部科学大臣の認定基準(平成29年3月31日)(以下「認定基準」という。)に定める金融商品ごとの要件を満たすものとする。

(自家運用の手順)

第18条 長期運用にあたっては、次の手続きをとるものとする。

(1) 財務担当理事は、運用商品及び運用金額を決定の上で、実施する。

(2) 運用を実施する際は、次の事項に係る期限を記した工程表を作成する。

 金融機関へのオファー(運用商品及び運用金額等の条件提示)

 金融機関からの提案

 金融機関との約定又は断り

 約定金融機関の指定口座へ運用金振込

 運用終了後、約定金融機関から本学指定口座への運用金の入金等の実施に必要となる事項

 その他運用の実施に必要となる事項

2 短期運用にあたっては、次の手続きをとるものとする。

(1) 財務部長は、運用商品、運用金額及び運用期間を決定の上で、実施する。

(2) 運用を実施する際は、前項第2号に規定する工程表を作成する。

(運用先の選定)

第19条 財務担当理事又は財務部長は、次の方法により運用先を選定する。

(1) 提案依頼先金融機関の選定

金融市場の競争原理を活用するため、複数の金融機関を対象とした提案方式により行うものとする。提案を依頼する金融機関を選定するにあたっては、金融機関格付等を参考に、資金運用先としての安全性を考慮するものとする。

(2) 約定者の決定

金融機関からの提案を踏まえ、本学にとって最も有利な金融機関を約定者とする。

(3) 前2号に定めるもののほか、運用先の選定に関し必要な事項は、別に定める。

(投資信託等の取得時における留意事項)

第20条 第17条第1項第5号により運用を行う場合は、そのリスクの所在を明確に把握し、慎重に対応をすることとする。

(デリバティブ取引の留意事項)

第21条 有価証券、通貨若しくは金利に係る先物取引、先渡為替予約、指数先物取引若しくはオプション取引又は通貨若しくは金利に係るスワップ取引等(デリバティブ取引)の取扱いについて、債券、外国為替等の原資産における価格変動リスクの一時的なヘッジ(売りヘッジ)又は原資産の一時的な代替(買いヘッジ)を目的とするものとし、投機目的の利用は行わない。

第3節 委託運用

(受託者責任)

第22条 受託者責任は、第13条を準用する。

(運用ガイドラインの提示と遵守)

第23条 本学は、本要領及び運用対象資産に関する事項、その他必要な事項を定めた運用ガイドラインを受託機関に提示し、受託機関はこれを遵守する。

2 運用ガイドラインの策定及び変更については、財務担当理事が行うものとする。

(運用の対象)

第24条 委託運用の対象は法人法第34条の3第2項第3号に掲げるものとする。

2 本学が運用方法を特定しない場合の取得債券格下げ時の対応は第8条に準じる。

(受託機関の選定過程)

第25条 委託運用を実施する場合は、財務担当理事が運用金額、目標利回り及び最大許容損失額等について運用条件を定め、管理委員会において金融機関からの提案を受けた上で、財務担当理事が受託機関を選定するものとする。

(運用の評価)

第26条 委託運用における運用の評価については、管理委員会において運用ガイドラインに基づき、中長期の観点に立脚し、定量評価並びに定性評価を組み合わせ総合的に行うものとする。

第5章 その他資金運用実施に必要な事項

(中途解約又は売却時の対応)

第27条 財務担当理事は、長期運用中の金融商品及び委託運用について、中途解約又は売却を行うことができる。

2 財務部長は、短期運用中の金融商品について、中途解約又は売却を行うことができる。

(損失確定時の対応)

第28条 有価証券の売却や金銭信託の終了等に伴い、損失が確定した場合の対応については、財務委員会で協議する。

(運用の報告)

第29条 財務担当理事は、第4章の運用について少なくとも四半期に一度、次の内容等を含む運用報告を作成し、管理委員会に報告を行う。ただし、報告のうち委託運用の運用状況については、受託機関から行うものとする。

(1) 報告期間末時点における個別金融商品の一覧表

(2) 運用資産構成比率

(3) 各金融商品の運用の実績

(4) リスク状況

(5) その他運用に関する事項

2 管理委員会は、本学の資金運用におけるリスクが許容範囲内であるか及び本要領に違反していないかを監視する。

3 財務部長は、短期運用について運用の実施毎に次の内容を財務担当理事に報告する。

(1) 運用商品

(2) 運用金額

(3) 運用期間

(4) その他運用に関する事項

4 財務担当理事は、前条の損失確定時の対応を行ったときは、可能な限り速やかに当該対応状況の内容を総長に報告するものとする。

5 総長は、前項の報告を受けたときは、経営協議会及び役員会に報告し、必要に応じて審議等を行うものとする。

(その他)

第30条 第4章の規定を改廃する場合は、管理委員会の承認を受けなければならない。

この要領は、令和4年5月10日から施行する。

国立大学法人京都大学資金運用実施要領

平成29年3月17日 財務担当理事裁定制定

(令和4年5月10日施行)

体系情報
第7編
沿革情報
平成29年3月17日 財務担当理事裁定制定
平成29年11月30日 財務担当理事裁定
令和4年5月10日 財務担当理事裁定