第25回 2010年3月26日(金曜日)開催

第25回 2010年3月26日(金曜日)開催

議事

  1. 平成22年度国立大学法人京都大学年度計画(案)等について
  2. 国立大学法人京都大学の組織に関する規程の一部改正について
  3. 京都大学通則及び京都大学研究生規程の一部改正について
  4. 京都大学における学生納付金に関する規程の一部改正について
  5. 国立大学法人京都大学教職員就業規則等の一部改正について
  6. 平成22年度予算配分について
  7. 第二期中期目標期間における「戦略定員」とシーリング率について
  8. 経営協議会の運営についての一部改正について

議事録

出席者
松本総長(議長)、有本委員、宇治委員、江﨑委員、大嶌委員、大西珠枝委員、大西有三委員、川井委員、国谷委員、佐藤委員、塩田委員、土岐委員、西村委員、畚野委員、藤井委員、町田委員、森委員、八尾委員、八木委員、吉川委員
欠席者
北委員、立石委員、Chocat委員、山田委員
  • 議事録承認(平成22年2月1日開催分)
    (書面審議)議事録承認(平成22年2月17日~平成22年2月26日)

議事

  1. 平成22年度国立大学法人京都大学年度計画(案)等について
    国立大学法人京都大学第二期中期計画別紙等の予算、収支計画及び資金計画等の項目について、文部科学省から記載方法の指示があったことを受け、文部科学省に提出した旨の報告がなされるとともに、本中期計画に基づき作成した年度計画(案)について説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:説明・回答)
    ○ 予算、収支計画及び資金計画の箇所において16大学は毎年運営費交付金を1.8%減額していくという暫定案とそうでない案の両論併記、あとの70大学は暫定案だけ記載。なぜ2つのグループに分かれたのか。
    ● 16大学がなぜ16大学になったのかはわからない。旧帝大は、連絡を取り合った。
    ○ 本件について経営協議会が審議したということになるのか。
    ● 前後したが、審議する事項となっている。
    ○ 経営協議会の意見を付記した上で提出してもらわないといけないのではないか。単に了解したというのではおかしいのではないか。
    ● 本学としては暫定案と暫定でない案を提出した。それが我々に与えられた課題であり、文部科学省に提出しないと認可されない。認可されなければ今年の4月から研究が実行できない。本学の姿勢としては、暫定案であれば、本学として了承しがたいという姿勢を示すために、平成22年度はそうであっても、平成23年度さらに減額しないということを提案しており、意思を表明した。しかしながら、最終的には文部科学省と財務省の協議で決まるものである。また、あくまでも暫定であり、予算は毎年審議していくため、毎年の審議の中で大学としての姿勢を示していく。
    ○ 経営協議会で審議してから出すのが筋であるのに、できないようなスケジュールにするのはどうか。
    ○ この件について、すんなり経営協議会で通したということではなく、付帯条件付きで出したというふうにきっちり明記した上で出していただきたい。
    ● こういった意見が出たということを議事録に明記したい。
  2. 国立大学法人京都大学の組織に関する規程の一部改正について
    産官学連携本部及び産官学連携センターの統合、その他平成22年4月1日の教育研究組織の改廃に伴い、国立大学法人京都大学の組織に関する規程の一部を改正することについて説明があり、了承された。
  3. 京都大学通則及び京都大学研究生規程の一部改正について
    国費外国人留学生に係る検定料等の不徴収等に関し、京都大学通則及び京都大学研究生規程に定めることについて説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見 ●:説明・回答)
    ● 国が掲げる留学生30万人計画に対する京大の対応について事前に御質問があったが、御説明させていただく。本学は、会話面での英語力の向上という努力に関しては若干遅れていたというふうに認識している。研究面に関しては遜色のない国際競争力を備えていると自負しているが、今回、この留学生30万人計画、以下「グローバル30」と申し上げるが、これによって、内容がかなり充実してきたというふうに思っている。まず、英語のみで修了できるコースを大学院、学部それぞれ設け、それから外国人教員の増員、さらに国際化のプロジェクトを各種発足させる。こういう事業を計画しており、さらにこれに加えて従来からある学内に英語講義のプログラムを整備拡充するためのワーキンググループを発足させ、学生諸君の英語能力の向上に努めたいと考えている。ただ、単なる会話能力というよりも、学問的内容を伴った英語力の向上ということで、会話能力の向上に努めたい。
    さらに、本学の学生だけではなく日本中の学生の海外への留学数がかなり減っているので、刺激を与えるために、従来から行っている国際交流科目というものによる学生の海外派遣を50名程度実施しているが、2020年までに短期学生交流制度を実施し、200名程度にしたいというふうに考えている。さらに、これ以外にも1年程度の長期の留学生数を拡大するという計画を樹立している。
    ● 事前に京都大学の世界的ランクを上げるために、留学生率を3分の1ぐらいまでという御指摘があったが、今のところ2020年には3,200名という数値目標を掲げた。現在1,500名程度であるが、倍増を目標としている。御指摘のように3分の1程度に上げるということも望ましいかと思うが、現状で難しいのは奨学金であり、今後、留学生比率を3分の1ぐらいにしようとすると、どうしても大学内外からの奨学金の拡充をしないと非常に困難ではないかと思っている。今後、一層努力し、さらに民間の方々にも御援助いただき、準備を整えているが、現状では3分の1という御指摘にはなかなか応えることができないというのが率直なところである。
    ○ 意見ではないが、グローバル30で、海外からの学生を言うなれば大学が取り合い状態になると思う。私立大学では、経験上、奨学金があるとないのとでは随分違う。そうすると、これから先も、奨学金の手厚さが影響を及ぼす可能性が高いのではと思っている。私立大学だからできたことも、徐々に厳しくなるだろうという見通しを持っているということを御紹介する。
    ○ 留学生を多く京都大学に呼び寄せる上で、英語で受講できる講座というのが多ければ多いほど有効になるかと思うが、それは同時に、当大学で学ぶ日本人の学生たちの国際化ということにもつながると思われる。本格的な英語教育の充実に関して具体的にはどういった中身を考え、そして、それがどのように留学生を引き寄せる魅力につながっていくのか、もし御検討されていれば教えいただきたい。
    ● 2点申し上げたい。1つは、KUINEP(クイネップ)というのがあり、これは正規学生と海外の協定校の学生を同時に指導する講義であり、相当数ある。ただ、現状の単位認定、それから教員の負担の問題があって、従来、十分ではなかったという認識を持っており、これを拡充したいと考えている。これは大変効果があるという結果が出ているので、留学生と日本の学生が、特に日本の学生がこれによって相当刺激を受ける。これが一番効果的であると認識しており、ぜひこれを拡充したい。
    それからもう1点は、さっきのグローバル30に基づいて、京都で学ぶ日本学、アジア学という講義を用意しており、英語コースは理工系が多いが、彼らに、人文社会科学系の日本及びアジアに関する内容を提供するということを計画している。
    ○ アメリカなどでは名物教授がインターネットで講義をオープンにして、誰でも聞けるようにしているが、そういった名物教授のもとで自分たちも学びたい、海外の学生たちが京都大学を選ぶ、そういう窓口みたいな部分を大学のほうでは今後整備していくお考えでしょうか。
    ● それは、OCW(オープン・コース・ウエア)と申して、既に本学は相当数の講義をユーチューブ等で展開しているが、まだアジアの学生等の認知度が低いので、各地域を訪問して説明会をするときに宣伝しようと思っている。ただ、私どものOCWは日本の中では最も検索率が高いという評価を得ている。
    ○ 特に工学系の学生はぜひ、1本の論文を英語で書いて発表することを単位にしてノルマにしていただくと格段に能力が変わるので、ぜひお願いしたいと思う。
    ○ 他大学で経験したが、博士課程の学生を海外研修に出すときに、現在でも学問の中身のほうが大事で、会話力はどうでもいいような発言があったのに驚いた。海外に出すのだったら一定の基準、例えばTOEIC800点とか700点というのを設定すれば学生たちは頑張るはずなので、御検討いただきたい。
  4. 京都大学における学生納付金に関する規程の一部改正について
    大学院研究科に係る検定料に関し、書類等による選抜を行う場合の検定料の額を新たに設定することについて説明があり、了承された。
  5. 国立大学法人京都大学教職員就業規則等の一部改正について
    国立大学法人京都大学教職員就業規則等を改正又は制定することについて説明があり、了承された。
  6. 平成22年度予算配分について
    平成22年度予算編成方針に基づき取りまとめた「平成22年度支出予算額(案)」及び各部局の予算責任者から提出のあった「平成22年度国立大学法人京都大学支出予算案(物件費)」について説明があり、了承された。
  7. 第二期中期目標期間における「戦略定員」とシーリング率について                              
    2月1日の経営協議会で承認され、同日開催の役員会で決議された「第二期中期目標期間における人件費・定員管理の在り方に関する基本方針」に基づき、戦略的に措置する定員に関する具体的な運用方法及びシーリング率については、平成22年度を96%、平成23年度を95%とすること、ただし、国の人件費抑制政策への対応等の財政上の理由から、今後さらなるシーリング率を設定することもあり得ることについて説明があり、了承された。
  8. 経営協議会の運営についての一部改正について
    経営協議会における書面審議の取り扱いを明確にするため、「経営協議会の運営について」を一部改正することについて説明があり、了承された。

報告事項

  1. 平成20事業年度剰余金に係る目的積立金について
    平成22年2月17日付けにて文部科学大臣承認された平成20事業年度における剰余金の額について、目的積立金にする旨の報告があった。
  2. 経営協議会学内委員について
    任期満了等に伴う次期経営協議会学内委員について報告があった。
  3. その他
    ・監事2名が平成22年3月31日で任期満了となることについて報告があった。
    ・事前に質問のあった若手研究者の育成について、本学の現在の検討状況に関し説明があった。
    ・委員による自由な意見交換を行った。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:意見等 )
    ○ 大学設置基準が改正されキャリア教育について努力義務が課されるようになるが、これがどうも誤解をされていて、就職問題のために何か大学がやるという部分だけが取り上げられて、本質から外れていると心配している。これは大学だけの話ではなくて、幼稚園から大学院まで、特定のプロフェションのための資質をどう高めるかというときに、もっと一般的、汎用的なコンピーテンシーをどうやって育てていくかというところに重点があるわけで、そういう意味では京都大学にも関係のある話である。しかし、それをどんな形で進めるかというのは大変難しく、中央教育審議会の中では特定のプログラムを組むケースと、すべてのプログラムの中に分けて行うケースとあって、いずれをやってもなかなか難しそうな問題点を抱えている。しかし、ぜひ一般的、汎用的な、よく言われるような問題解決能力、批判的思考力とか、言語伝達能力、そういうものがなければ、外国へ出て行って、戸惑うということになってしまうので、大学教育の中でもその辺をきちっと実施しなければならない。
    ○ 産学連携の問題というのは大学がどうそれを活性化するか。大学とはまた別に独立の法人組織を設置し、そこで産学連携を強化するような方法はないものか。例えば、大学との産学連携の場合、研究開発の成果物の取り扱いにおいて、使いにくいというのが民間の思いだと思う。それを解決するため別の組織を設置するような方法はないものかと思う。