平成16年度 経営協議会議事録

平成16年度 経営協議会議事録

第5回 平成17年3月15日(火曜日)開催

議事

  1. 平成16年度国立大学法人京都大学年度計画の変更について
  2. 平成17年度国立大学法人京都大学年度計画(案)について
  3. 平成17年度予算について
  4. 環境安全保健機構等5つの機構の設置について
  5. 平成17年度における教育研究組織の設置及び改廃等について
  6. 国立大学法人京都大学の組織に関する規程等の一部改正について
  7. 京都大学通則等の一部改正について
  8. 国立大学法人京都大学教職員就業規則の一部改正等について
  9. 京都大学医学部附属病院諸料金規程の一部改正について
  10. 経営協議会の運営についての一部改正について
  11. 平成16年度全学共通経費使用計画(第2回)について

議事録

出席者

尾池総長(議長)、石井委員、井手委員、入倉委員、大南委員、笠原委員、金田委員、熊谷委員、佐古委員、佐村委員、佐和委員、田中委員、辻委員、成宮委員、野村委員、八田委員、東山委員、本間委員、松本委員、吉岡委員、吉田委員

以上各委員

欠席者

北城委員、田村委員、村田委員

以上各委員

議事録承認(1月19日開催分)

議事
  1. 平成16年度国立大学法人京都大学年度計画の変更について
    災害復旧に伴う平成16年度の中期計画の変更申請が2月1日付けで認可されたため、これに伴う年度計画の変更について説明があり、了承された。
  2. 平成17年度国立大学法人京都大学年度計画(案)について
    第1期中期計画及び平成16年度計画の進捗状況調査の結果を基に、企画委員会で審議された平成17年度計画(案)について説明があり、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見、●:回答)
    ○京大はこれまで研究者養成に重点を置いてきたという印象を受けているが、敢えて専門職大学院を設置した理念をお聞かせ願いたい。
    ●法人化前の京都大学の基本理念を策定する段階では、専門職大学院の構想は存在していなかったものであり、専門職大学院の在り方を考えるにあたって既存の大学院研究科が掲げる目標との関係が議論のポイントとなった。
    本学ではすでに2つの専門職大学院を設置しており、今後も新設に向かって検討を重ねているが、以下の事項を設置及び運営に当たってのガイドラインとしている。
    1. 既存の大学院研究科とは異なる専門職大学院の必要性が明確であること
    2. 学生・社会のニーズを踏まえたキャリアプランが明確であること
    3. 他大学の専門職大学院との違いを有すること
    4. 学内での他の教育研究組織との関係が明確であること
    5. 既存の組織への影響を確認し、対応が図られていること
    6. 実践的教育を充実させていくための実務家教員の確保及び効果的な教育課程の構築・提供ができること
    ●医学研究科では社会健康医学系専攻の専門職大学院を有しているが、これは既存の研究科が個々の病気を研究の対象とするのに対し、専門職大学院では社会全体の病気の在り方を対象とし、理系のみならず文系出身者にも門戸を開放している。内容としては統計数理学、疫学、コミュニケーション学等、新しいフィールドで新しい人材の育成を図っている。また、一年で修了するコースも用意しており、専攻には博士後期課程を設けて、高度専門家養成と高度研究者養成双方のコースをリンクさせている。
  3. 平成17年度予算について
    平成17年度予算について説明があり、了承された。なお、この予算に関する学内配分については、現在財務委員会で取りまとめ中であることから、その扱いについては役員会に一任願いたい旨説明があり、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○長期借入金償還金が前年に比べ約60億円増えている。毎年このように変動するのか。また、施設整備費は昨年約40億円あったものが約13億円しか措置されていないのはなぜか。
    ●病院に総額約500億円の長期借入金があり毎年約50億円ずつ償還計画により返還しているが、補正予算で施設整備資金貸付金償還時補助金約61億円が措置されたため全体として長期借入金が増えている。また、施設整備費は平成16年度補正予算約20億円が措置されており、これは平成17年度分が平成16年度に前倒しされたものである。
  4. 環境安全保健機構等5つの機構の設置について
    1. 環境安全に関わる6つのセンターが行う全学支援業務を効率的かつ効果的に行うため設置される環境安全保健機構の概要及び同機構に関し必要な事項を定める京都大学環境安全保健機構規程の制定ついて説明があった。
    2. 本学における産学官連携活動を推進及び支援するため設置される国際イノベーション機構の概要及び同機構に関し必要な事項を定める京都大学における産学官連携活動の推進及び支援に関する規程の制定について説明があった。
    3. 本学における国際交流の推進を図るために設置される国際交流推進機構の概要及び同機構に関し必要な事項を定める京都大学国際交流推進機構規程の制定について説明があった。
    4. 本学における情報基盤に関する企画、整備、管理、運用等の業務を行うため設置される情報環境機構の概要及び同機構に関し必要な事項を定める京都大学情報環境機構規程の制定について説明があった。
    5. 本学学生の学習上の情報及び研究者等の高度な学術情報の活用を促進するため設置される図書館機構の概要及び同機構に関し必要な事項を定める京都大学における全学の図書館機能に関する規程の制定について説明があった。
      以上5つの機構の設置について一括審議され、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。
      ○環境安全保健機構について、設置された背景はなにか。
      ●労働安全衛生法に対応し、環境安全に関わる6つのセンターが全学支援業務を一元的に行うこととした。効率的かつ効果的に連携していきたい。
      ○5つの機構について、機構長に権限をもたせ全体の効率化を図ることが必要であると感じる。
      ○国際交流や産学官連携など、それぞれの機構についての倫理の基本は作成されているのか。
      ●本学の教職員がどのような姿勢で職務に臨むかという基本理念は「京都大学の教職員像」として制定している。併せて、各機構についてのミッションも各々の規程を制定することにより明らかにしている。 ○図書館機構の設置により全学の図書館資料のネットワーク検索は可能になるのか。
      ●現在遡及入力を進めているが、全学で約500万冊に及ぶため、今後整備を進めて行きたい。
      ○国際交流推進機構について、部局が実施する業務の支援とは具体的に何か。
      ●ビザの取得や保証人等教員の業務負担を減らすための支援である。
      ○機構は最終の意思決定を行う機関か。
      ●運営に関する種々の事項は、機構長の下に委員会等で審議されるが、最終的な意思決定は担当理事を通じて、役員会及び総長の判断で行うこととなる。
      ○環境安全保健機構は労働安全衛生に対応するものであるが、旧国立大学の時代からあった従来型の労働安全・環境安全対応という印象を受ける。
      ●労働安全衛生法は本来、労働者を対象としているものであるが、大学に持ち込むにあたっては労働者だけでなく学生も対象としなければならない。 そのため全体を包括するための修正が必要であった。その結果、従来の安全管理の形を継続する面と、新しく労働安全衛生法に対応する面との両方の特徴を有することとなった。 ○情報環境機構について、病院の電子カルテ等も対象になっているのか。
      ●機構は基本的な枠組みを検討するもので、病院のカルテ等個々のものについては当該部局において取り扱うこととする。
  5. 平成17年度における教育研究組織の設置及び改廃等について
    平成17年度における教育研究組織の設置及び改廃等について説明があり、了承された。
  6. 国立大学法人京都大学の組織に関する規程等の一部改正について
    機構の設置及び組織の改編等に伴う以下の規程の一部改正について説明があった。
    1. 国立大学法人京都大学の組織に関する規程の一部改正
    2. 京都大学の講座、学科目、研究部門等に関する規程の一部改正
    3. 京都大学大学院工学研究科の組織に関する規程の一部改正
    4. 京都大学防災研究所規程の一部改正
    5. 京都大学ウイルス研究所規程の一部改正
    6. 京都大学原子炉実験所規程の一部改正
      以上6つの規程の一部改正について一括審議され了承された。
  7. 京都大学通則等の一部改正について
    入学年度の授業料の徴収時期を在学生と同様の時期とするため、京都大学通則及び京都大学における学生納付金に関する規程の所要の改正を行ったことについて説明があり、了承された。
    また、医学研究科医科学専攻博士後期課程の設置、学部入学定員の改訂等及び大学院に飛び入学した者が、大学院入学前に在籍した学部に再入学するときの入学料の扱いに関し必要な事項を定めるため、京都大学通則の一部改正について説明があり、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○医学研究科では大学院を修了するまで医師免許を持っていないのか。
    ●通常は、医学部を卒業した学生は医師免許を取得している。今回は、学部の臨床研修を行わずに大学院に飛び入学したために免許を取得しなかった者が、臨床を研究に活かすため学部への再入学を希望したものである。
  8. 国立大学法人京都大学教職員就業規則の一部改正等について
    制度の見直し、育児・介護休業法の改正への対応等に伴う以下の規程の一部改正等について説明があった。
    1. 国立大学法人京都大学教職員就業規則の一部改正
    2. 国立大学法人京都大学日々雇用教職員就業規則の全部改正
    3. 国立大学法人京都大学時間雇用教職員就業規則の全部改正
    4. 国立大学法人京都大学特定有期雇用教員就業規則の制定
    5. 国立大学法人京都大学特定有期雇用医療技術職員就業規則の制定
    6. 国立大学法人京都大学教職員給与規程の一部改正
    7. 国立大学法人京都大学教職員の勤務時間、休暇等に関する規程の一部改正
    8. 国立大学法人京都大学教職員の育児・介護休業規程の一部改正
    9. 京都大学人事審査委員会規程の一部改正
    10. 国立大学法人京都大学教職員退職手当規程の一部改正
    11. 国立大学法人京都大学役員退職手当規程の一部改正 以上11の規程の一部改正等について一括審議され、了承された。 なお、国立大学法人京都大学教職員給与規程のうち俸給の特別調整額の改正については、学内で調整中であることからその扱いについて議長に一任願いたい旨説明があり、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。
      ○特別教育研究経費等の経費で特定有期雇用教員等の人件費を流動的、機動的に支弁することはいいが、しっかりした定員管理をする必要があると思う。
      ●法人化と同時に人事部を設置することにより、全学の状況を把握している。
      ○研究科長に指定職俸給表が適用されていた理由は何か、また、適用されていない研究科長があるのはなぜか。
      ●研究科長に対する指定職俸給表の適用は歴史的経緯があり、旧国立大学の時代からひずみをかかえているため、この際、俸給の特別調整額と併せ、新しい制度のもとに整備したい。 ○その役職に就いている間だけの手当という制度は民間にはない。例えば機構長はボランティアのような形にして、手当などは加算しない方がいいのではないか。
      ●管理又は監督の地位における職責の特殊性に対して、別途手当を支給することは必要と考える。
      ○特別教育研究費は運営費交付金に上乗せされた経費なのか。そうだとすれば、特定有期雇用教員の経費は今までどのように支弁していたのか。
      ●特別教育研究費は運営費交付金の増額枠として設けられた制度である。法人化以前は、新規事業については概算要求し、措置されていた。つまり、人件費や通常の事業費のように標準化できるものは、特別教育研究経費以外の運営費交付金の枠に入ったが、例えば特別な国際交流事業や防災のために 特別に実施する必要のある事業など、既存の運営費交付金では支弁できない部分については標準化されず、プロジェクト毎の事業ベースで事業毎に概算要求し、運営費交付金として交付されることになったのが特別教育研究経費である。
  9. 京都大学医学部附属病院諸料金規程の一部改正について
    医学部附属病院における諸料金を定める京都大学医学部附属病院諸料金規程について、基本診察料の施設基準等の変更に伴う料金の改正を行ったことの説明があり、了承された。
    なお、今後この規程の改正については重要な改正の場合を除いて「議長一任事項」として取り扱いたい旨説明があり、了承された。
  10. 経営協議会の運営についての一部改正について
    経営協議会の陪席者のうち議案に関係する教職員について、事前の了承を必要としていたものを議長の指名に改めるため、「経営協議会の運営について」を一部改正することについて説明があり、了承された。
  11. 平成16年度全学共通経費使用計画(第2回)について
    全学共通経費の平成16年度の使用計画(第2回)について説明があり、了承された。
報告事項
  1. 平成17年度授業料について
    前回の経営協議会において役員会に一任することとされた平成17年度授業料の取扱いについて、2月17日の役員会において文部科学省令の改正により授業料の標準額が改定された場合には、改訂標準額と同額とすること及び経済的事情により修学が困難である者については、本学独自の授業料減免措置を講ずることとし、約3000万円をこれに充てる方針としたことが説明された。
  2. 平成19年度の入学者選抜方法等について
    入学者選抜方法研究委員会で検討された各学部における平成19年度の入学者選抜方法及び平成19年度入学者選抜における学力検査実施教科・科目等について、報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。○後期試験をやらないことは分離分割をやらないということか。
    ●受験機会の複数化ということで分離分割が行われているが、共通問題を作成しないということで完全に廃止したわけではない。 ○後期試験をやめた理由はなにか。
    ●多様な能力のある学生を採りたいことから、いろいろなデータを調査し決定した。本学では、前期と後期の併願者が75%あり、後期の定員を前期で取れば大方の学生は2度試験を受けなくてすむため、前期試験に集中して実施したい。 ○理系学部の二次試験の科目で物理、化学、生物のうち2科目選択になっているものがあるが、生物を試験科目にする必要はないのか。
    ●医学研究科では一次試験で生物を必須科目にした。以前は理科3科目から2科目を選択していたが、今は全ての受験生が生物を勉強している。
  3. 裏門改善計画・石垣の件について
    裏門の改善計画について、報告があった。
  4. 今後の事務改革等の推進と事務職員等の人件費・定員管理の在り方についての基本方針について
    「今後の事務改革等の推進と事務職員等の人件費・定員管理の在り方についての基本方針」について、報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。○学生当たりの事務職員の比率は私立大学と比べてどうか。
    ●国 立大学の学生数は約62万人、教員数約6万1千人で教員一人当たりの学生数は10. 2人、職員数は事務系が約2万4千人、医療系が約2万1千人、技術系が約8千人等で職員一人当たりの学生数は11. 2人になるが、職員の数は学生数に連動するよりも、教員数が増加するに伴い、外部資金の獲得等様々な活動をさ れるため、教員数に連動する方が大きく、職員一人あたりの教員数は1. 09人となる。
    一方、私立大学の学生数は約206万人、教員数約8万4千人で教員一人当たりの学生数は24. 4人、職員数は約10万8千人で職員一人当たりの学生数は、19人になる。また、職員一人当たりの教員数は0. 77人となっている。 ○30名の定員削減で15名の再配置はどういう意味なのか。
    ●法人化以前に、平成17年度の定員削減30名を既に各部局に割り振ってあり、平成17年度の効率化係数15名分を引いた残り15名について、大学の発展に資する戦略的な定員の再配置要員として使用したい。
  5. 資金管理・運用について
    資金の長期運用を開始したことについて、報告があった。
  6. 平成17年度会計監査人の選任について
    平成17年度会計監査人候補者を選任したことについて、報告があった。
  7. 寄附講座の設置について
    医学研究科に「免疫ゲノム医学講座」、経済学研究科に「企業金融(みずほ証券)講座」及び「ベンチャーキャピタル経営論(UFJキャピタル)講座」が新たに設置されることについて、報告があった。
  8. 台風等災害による被害状況等について
    昨年8月に発生した台風等により被災した本学の施設・設備の被害状況等及び損害保険金、災害復旧費(補正予算)の措置状況の報告があった。
  9. 市民向け公開講座等について
    本学の主な市民向け公開講座等の実施状況について、報告があった。
  10. 経営協議会学内委員の交替について
    3月31日付けで任期満了となる委員の後任について、報告があった。

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第4回 平成17年1月19日(水曜日)開催

議事

  1. 京都大学通則等の一部改正について
  2. 中期目標・中期計画の変更について
  3. 平成16年度全学共通経費使用計画について
  4. 平成17年度予算編成方針について
  5. 今後の人件費・定員管理の在り方について

議事録

出席者

尾池総長(議長)、石井委員、井手委員、入倉委員、大南委員、北城委員、金田委員、熊谷委員、佐古委員、佐和委員、田中委員、田村委員、辻委員、成宮委員、八田委員、東山委員、本間委員、松本委員、村田委員、吉岡委員、吉田委員

以上各委員

欠席者

笠原委員、佐村委員、野村委員

以上各委員

はじめに尾池総長より、法人化後9か月が経過したことを踏まえ、この間の本学の主な動きについて報告を含めた挨拶がなされた。

議事録承認(10月20日開催分)

議事
  1. 京都大学通則等の一部改正について
    「京都大学通則」、「京都大学における学生納付金に関する規程」及び「京都大学授業料、入学料免除等規程」について所要の改正を行ったことの説明があり、了承された。
  2. 中期目標・中期計画の変更について
    平成17年4月当初からの組織の再編・統合及び入学定員の変更等に伴い、中期目標・中期計画を本年度中に変更する必要があることの説明があり、了承された。
  3. 平成16年度全学共通経費使用計画について
    平成16年度全学共通経費使用計画について説明があり、了承された。
    委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見、●:回答)
    ○APRU関連事業、AEARU関連事業とは、どのようなものか。
    ●APRUは環太平洋大学協会で、日本から東大、京大、阪大などが参加しており、各国がワークショップを提案したり、学生交流などを行っている。AEARUは東アジア研究型大学連合であり、東アジア地域(日本、韓国、中国、台湾、香港)に位置する17の研究型大学で構成される大学連合である。これまでは、医学、情報等の分野での実績があるが、本学からは、ワークショップで災害(地震・津波)関係を提案したいと考えている。また、この経費は全学共通経費分のみである。
  4. 平成17年度予算編成方針(案)について
    「平成17年度予算編成方針(案)」について説明があり、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○東大では既に二桁の割合での経費削減ができたと聞いている。具体策について「考えられる。」という表現になっているが、もう少し意欲を持って取り組んでほしい。
    ●従来は部局自治が強かったが、こうした具体策について、今後、財務委員会で検討することになる。
    ●もう少し強い表現にしたい。
    ○例えば総長のリーダーシップの財源確保に充てるための数値目標を決めて、この目標に対して経費の削減を具体的に実施してはどうか。
    ●財務委員会では係数的なことも議論しているが、全体的な結論は出ていないので、書かかった。次のステップで検討したい。
    ○資金管理・運用で元本保証は必要だが、外部の金融機関等を活用し、ある程度リスクをとっても有利に運用することが大切ではないか。また、外部資金獲得のため獲得部局のインセンティブを高める具体的方策を、大胆に決める必要がある。どこまで実行するかを大胆に決めて、決めたものに合わせて削減する項目を選ぶべきで、個別毎に削減する項目を選んで積み上げたのではうまくいかないと思う。
  5. 今後の人件費・定員管理の在り方について
    「今後の人件費・定員管理の在り方について(案)」の説明があり、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○効率化係数により減額となる人件費の対応策で、定員削減を実施する主体は大学本部かそれとも各部局に任されるのか。
    ●今までの定員削減については部局長会議の下にWGをつくり決定してきた経緯があり、9月までに諸手当等の見直しを行った上で、具体的な数値を示して部局長会議で検討することになろう。
    ○効率化を理由に教育のレベルを下げることは良くない。教員だけでなく事務職員も考えるべきである。事務職員数の対学生数の割合をみると、立命館大学の6倍になっている。まず事務職員の削減を考えるべきではないか。
    ●実質の効率化係数は、試算で教員が約0. 68%、事務職員が1. 0%となる。 諸手当等の見直しを行った上で、なるべく教員の削減は抑えたいとの気持ちである。
    ●事務職員は6年間でみると102名の削減という試算となり、これは職員全体の約7%にあたる。労務対策の観点からは労働強化になるとの懸念もある。部局からは職員が足りないとの声ばかり聞く。本学では昭和50年から約1,000名の事務職員を削減し、結果的に教員に振替えてきた形となっている。教員数は現在約3,000名であるが、その他に約6,000名のTA、RA、COE研究員等が教育研究活動を行っており、こうした構造からすると効率化係数を上回る事務職員の削減は難しいと考える。
    ○教員の削減には反対である。効率化係数による運営費交付金の削減は、まず物件費から取り組むべきであり人件費を対象とすべきでない。人件費と物件費を区分して管理するところに問題がある。また、事務機構の在り方については、教員はライン部門であり、物件費や間接部門から削減すべきである。経営コンサルタント等を入れて必要な人数を検きである。
    ○教育研究の質を高めることが基本的な経営課題である。教員と事務職員の望ましい比率を考えるべきで、それはまず各部局の教員が考えるべきではないか。
    ○教員は教育研究に専念し、事務職員はマネージメントを行うことが望ましい。総長の下に経理の戦略的専門集団を置き、こうした問題に対処してはどうか。
    ○確かに教員を削減することについては、慎重に扱った方がいいが、併せて教員組織の雇用形態も検討してはどうか。事務については、国際交流・産学連携等の業務におけるレベルアップが必要と感じる。
    ○教職員の数については、東大、阪大等他大学の状況と比較して示していただければ、解りやすいと思う。
    ○教員の欠員について弾力的な運用がなされているが、空き定員のあり方についても検討すべきではないか。
    ●効率化係数に対する対応は、現在のところ、北大、東北大、東大、阪大、九大は本学と同じような方向で進んでおり、名大はまだ方向性が出ていないと聞いている。教職員は非公務員であるが人件費は依然として国の税金で賄われており、国家公務員と同様の制約も受けている。人件費に対する効率化係数の対応について評価を受けることになる。
    ●現在のところ最適モデルがないため、どこも確信のないまま走っている状況。本学で独自に分析するしかないと思っている。法人化により様々なひずみが生じており、それを解消するのが最大の課題。いろいろな要素を踏まえながら検討したが、全てができなければ何もできないという状態は避ける必要があり、これを取りまとめたもの。効率化係数への対応の一方で、重点施策定員は新しい組織等を設置するために必要なものである。教育研究の維持・向上が大事なのはもちろんであり、まず教員の削減なのではない。事務職員の削減や物件費の削減、教員の雇用形態も考えている。今日の意見は整理して、生かしていきたい。
    ○教員一人当たりの研究費はどうなるのか。
    ●基礎研究の経費を守るため努力しているが、研究費は目減りしているのが事実であり、大学として収入源を考えながら検討していきたい。
    ●これだけ見ると教員が減るように見えるが、従来から定員管理をしてきたものは削減の対象となる一方で、新しい特別教育研究経費や外部資金等で特定有期雇用教員として定員内の教員に近い形で雇用することを検討している。これを組み合わせて教育研究を推進することになると思う。
報告事項
  1. 平成17年度概算要求等の内示状況の概要について
    平成17年度の国立大学法人全体及び京都大学における予算の内示状況の概要について、報告があった。
    また、平成17年度の学生納付金の標準額の改定及びこのことに関する本学における財政上の影響、今後の日程等について説明があり、学生納付金の取扱いについては、役員会に一任願いたい旨の提案があり、了承された。
  2. 京都大学における資金の有効運用について
    財務委員会の下に設置された資金管理・運用専門委員会において、寄附金や運営費交付金の一部を長期的または短期的に運用する「資金管理・運用について(報告)」が取りまとめられ、役員会で了承されたことの報告があった。
  3. 時限施設等の取扱いについて
    企画委員会で取りまとめた「時限施設等の在り方についての検討」及び平成16年度中に時限の到来となる「工学研究科附属環境質制御研究センターの在り方」について、報告があった。
  4. 京都大学における専門職大学院の在り方について
    高度専門職業人の養成を目的とする専門職大学院の京都大学における位置づけを検討するため、企画委員会で取りまとめた「京都大学における専門職大学院の在り方について(答申)」の報告があった。
  5. 平成19年度以降の入学試験について
    研究科長部会で承認された「平成19年度以降の入学試験について(最終報告)」について報告があった。
  6. 職員の人事制度改革検討会「中間まとめ」について
    職員に係る人事制度改革(人材育成、勤務評価、任用、給与、表彰など)に関し、職員の人事制度改革検討会「中間まとめ」について報告があった。
  7. 事務改革推進室等の設置について
    平成16年11月1日付けで事務本部に事務改革推進室、全学同窓会準備室、産学官連携推進室及び電子事務局推進室を設置したことについて報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○事務職員数についてみると、昭和50年度がピークで年々減少しているが、一方で非常勤職員が1,391人おり、やはり多すぎるのではないか。米国のある大学では教員50~60名に対し事務職員4名だった。本部もどこにあるかわからなかった。また、教員数と学生数の比率も日米で10倍程度の差があり、日本では非常勤講師をたくさん雇わなければならないのだ。
    ○病院の職員の質の問題は重要であり、事務に精通した人は動かさないでほしい。
    ●大学運営は総合的に行うもので、事務職員だけを削減しても成り立たない。非常勤職員の大半は週30時間の時間雇用職員であり、また、この40年間の業務量の増加についても理解いただきたい。
    ○大学院生の数が増加しているが、学部学生や大学院生の数は将来的にどのようになるのか。
    ●高等教育のグランドデザインに関係すると思うが、本学としても最適値を求めていかなければならないと考えている。現状の学生定員は、歴史的に積み上げられてきたものである。
    ○学生の数に一定の基準があるのに教員の人件費は減っていくのか。
    ●従来は学生定員に応じて教員の数が決められていたが、現在、人件費は運営費交付金の中に取り込まれている。学生定員は文部科学省が管理しており、学生数が増えても教員の増は認められない状況にある。
    ○大学人はそのことについて声をあげるべきでないか。
    ○事務の仕事は大切であり、「切る」のではなく、業務の効率化、合理化に全力をあげて対処すべきである。
    ●必要な仕事の絞り込みと規制の緩和で自由に仕事ができる環境を作り、その下で減らすべきポストは減らすことを基本に考えて行きたい。

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第3回 平成16年10月20日(水曜日)開催

議事

  1. 平成16年度人事院勧告の取扱い等について

議事録

出席者

尾池総長(議長)、入倉委員、大南委員、笠原委員、金田委員、熊谷委員、佐古委員、佐村委員、佐和委員、田中委員、田村委員、辻委員、成宮委員、野村委員、八田委員、東山委員、本間委員、吉岡委員、吉田委員

以上各委員

欠席者

石井委員、井手委員、北城委員、松本委員、村田委員

以上各委員

はじめに尾池総長より、本庶 佑委員の辞任に伴い成宮 周委員が新たに経営協議会委員に就任したことの紹介があった。

議事録承認(6月23日開催分)

議事
  1. 平成16年度人事院勧告の取扱い等について
    1. 平成16年度人事院勧告について
      平成16年度の人事院勧告の骨子について報告があり、本学では同勧告に準拠して実施したい旨の説明があった。また、これに伴い 寒冷地手当の支給方法を月額制に改める等、関係規程について所要の改正を行うことの説明があった。
    2. 国立大学法人京都大学教職員給与規程の一部改正について工学研究科事務部の桂キャンパス移転に伴い、平成16年10月1日付けでエネルギー科学研究科、情報学研究科及び地球環境学堂に新たに事務長を設置するとともに、俸給の特別調整額の支給割合に関し必要な事項を定めるため、所要の改正を行ったことの説明があった。
    3. 国立大学法人京都大学役員退職手当規程の一部改正について
      国立大学法人評価委員会が役員退職手当算定のための業績勘案率を決定しないこととなったことに伴い、所要の改正を行ったことの説明があった。
      上記 1、2 及び 3について一括審議され、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見、●:回答)
      ○運営費交付金の算定の公式の中に経済情勢を反映する係数があり、経済情勢は運営費交付金に反映されるのではないか。
      ●この係数の実態がわからないという問題がある。
      ●運営費交付金は16年度の額を基礎としており、人勧のマイナス勧告が出ても直接には反映されない仕組みになっている。
      ○人件費や設備費など固定費の比率を減らし、総長の自己裁量で使える変動費の比率を増やすことが、経営に求められるのではないか。
報告事項
  1. 平成17年度概算要求の状況について
    文部科学省の平成17年度概算要求の状況、及び文部科学省から概算要求された本学関係分の状況について、報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。
  2. ○第1期中期目標・中期計画の期間中は、国からの運営費交付金は毎年確保されるのか。また、民間等からの獲得資金は、インセンティブの意味から運営費交付金としてはカウントされないのか。
    ●運営費交付金は確保されるが、効率化係数1%分が毎年減っていくことになる。民間等からの獲得資金は、運営費交付金とは別であり、大いに頑張りたい。現在は、授業料を上げないことやCOEの間接経費の確保等について、文部科学省が財務省に概算要求し、交渉している段階である。
    ○受託事業等収入は、実績に基づき算出したのか。版権及特許権等収入の額が少なくないか。また法人化前は、ある企業が動物実験用のマウス等を購入しようとしても収入科目がないという理由で断っていたというが、法人化後はどうなるのか。
    ●受託事業等収入は、実績ではなく各部局の収入見込みから算出したもの。版権及特許権等収入については、今後、国際イノベーション機構を設立して収入の増を図っていきたい。動物の売却は想定しづらいが、売却が可能であれば雑収入になると考えられる。また、研究のために材料分を提供するということであれば共同研究として構成することも考えられる。
    ○研究費を複数年度で使える仕組みを考えてほしい。
    ●法人化の仕組みの中で既に可能だが、残していると第2期に見直しの対象となることも考えられるので、使い切ることも考えるべきではないか。国立大学法人京都大学に対して政府が出資した財産の価格の決定について9月27日(月)に開催された国立大学法人京都大学財産評価委員会において、政府が国立大学法人京都大学に対して出資した財産の価格が決定されたことの報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○土地の価格はいつ時点のものか。
    ●平成16年4月1日の時価を不動産鑑定士等により決定したものである。資金管理・運用専門委員会の設置について財務委員会の下に「資金管理・運用専門委員会」を設置したことの報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○法人化により独自に資金調達ができることから資金の運用は重要であるが、学外委員は入っているのか。
    ●現段階では学内委員のみである。学外委員が入ると利害関係等が生じる恐れがあるため、ある程度意見をまとめてから学外の人の意見を聞くことを考えている。
    ○財務の運営は経営体にとって重要であるので、何らかの形で外部委員を入れることが大切である。
    ●資金の運用についてはいくつかの制限があり、外国債などの運用はできないことになっている。
    ○総額1,400億円の財源について短期的な運用を検討する委員会なのか、それとも200億円から300億円を1年以上長期的に運用を検討する委員会なのか。
    ●長期的に運用できるものとしては、100億円程度の外部資金があるが、そのうち40億円程度は当該年度中に使用しているので運用できない。なお、運営費交付金は年4回に分けて交付されるので、短期的な運用になると考えている。○この委員会では年利何%で運用することを考えているのか。
    ●ある程度は考えているが、今後この委員会で検討することとなる。
    ○月に一度は外部の証券会社等の専門家を呼んで、様々な仕組みを参考にするといいのではないか。短期でもうまく回したら1%ぐらいになる。
    ●短期的なものと長期的なものと両方を視野に入れて考えたい。
    ●財務省と文部科学省が資金について厳しい規制をかけており、中期国債ぐらいしか買えない状況にある。しかし、寄附金については柔軟な対応をお願いしている。今後は個人の寄附が重要である。
    ○運用する場合には損失を出す可能性もあるので、いろんな面で調査を行い機敏に対応する必要があると思う。
  3. 職員の人事制度改革について
    「職員の人事制度改革検討会」の検討状況について報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○専門性の高い職務、職種とは具体的にどのようなものか。
    ●本来の専門性の高い職務、職種には看護師、司書等があげられるが、中間的なものとして情報や知財の業務があり、これらは別の給与体系で対応することも考えられる。
    ○病院経営でもかなり専門性の高い職種がある。例えば診療報酬の業務は専門性が高い。
    ○人事評価について、評価結果のフィードバックは行っているか。
    ●現在はない。今回初めて自己評価を行ったが、今後検討していきたい。
    ○中途採用、短期任用等外部人材を取り入れているのか。また、人事制度に関するアンケートの結果で職員の意識改革はあったのか。
    ●職員約1 ,500人のうち約6割からアンケートを回収できたが、意識は変わっていると感じた。従来の人事制度に不満を抱いている者も多い。また、外部人材の登用は、戦略的なポストについて積極的に取り入れたい。
    ○法人化前までは、事務職員は行政職として教育職である教官を管理するという意識が強かったように思うが、今後は教育及び研究を支援するという意識を持ってもらいたい。
    ○定員外の教員を年俸制で雇用しても身分は非常勤職員であり、教員の人事制度改革をお願いしたい。
    ●教員の人事制度改革については教員制度検討会で検討しており、来年4月1日から運用したいと考えている。
    ○附属病院の看護師に合格した者が、安定した公務員を希望し他の公的機関へ流れる例が増えている。能力のある人を確保するため、評価のあり方が重要である。
  4. 平成16年度監事監査計画について
    平成16年度の監事監査計画を策定したことの報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○法人化で学生の意識がどう変わろうとしているのか調査して欲しい。また、教育研究の評価との関係はどうなるのか。
    ●学生の意識調査は今回の監査では考えていないが、2年前に学生支援サービスについて自己点検評価がなされている。それに対してどう対応がなされているかを監査したいと考えている。また、学内で教育研究についての自己点検評価が進んでおり、その実施状況を見せていただくことを考えている。
  5. 競争的資金の獲得状況について
    平成16年度の本学における科学研究費補助金、21世紀COEプログラムの獲得状況、大学改革推進等補助金に係る「特色ある大学教育支援プログラム」及び「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」の獲得状況について、報告があった。
  6. 寄附研究部門の設置について
    経済研究所に野村證券(株)からの寄附による「応用金融工学研究部門」が設置(継続更新)されたこと及び再生医科学研究所に新たに住友電気工業(株)からの寄附による「組織分化制御学研究部門」が設置されたことの報告があった。
  7. 教育に関する動きについて
    京都大学ジュニアキャンパス、高大連携、京都大学オープンキャンパス、教育制度委員会な ど、最近の教育に関する動きについての報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。
    ○京都大学がこれほど外に対して開かれているとは思わなかった。学生の安全・安心を高めるための計画とはどんなものか。
    ●自然災害も含めいろいろなものを考えている。
    ●学生の安全を守ることが大学の役目であり、そのモデルを作りたい。他の大学にも呼びかけていきたい。
    ●ジュニアキャンパスには、理科離れ対策の意味がある。
    ○京都大学は世界の大学であり、英才教育を考えて欲しい。
    ●オープン・コース・ウェアプロジェクトは、本学の知財を世界に発信していきたいとの趣旨である。
    ○京都大学のレベルの高い教育を、地域のためにも貢献願いたい。
    ●スーパーサイエンスハイスクールの出張講義などを実施しているが、これを組織化させたい。
    ○全学教育シンポジウムでは具体的にどういうことを実施したのか。
    ●全学共通教育に対してどのように全学的に支援できるか、本学としての学問の質をどのように考えるかが今回の主なテーマであった。今まで8回開催しており、1回につき約200名が参加している。
  8. 京都大学留学フェアの開催について
    本学の日本人学生の一層の海外留学を推進するため、海外留学プログラム等の紹介や様々な留学情報を提供する「京都大学留学フェア」を11月2日(火)に開催することの報告があった。
  9. 市民向け公開講座等について
    本学の主な市民向け公開講座等の実施状況について、報告があった。

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第2回 平成16年6月23日(水曜日)開催

議事

  1. 平成16年度予算について
  2. 平成17年度概算要求の概要について
  3. 経営協議会の運営についての一部改正について

議事録

出席者

尾池総長(議長)、石井委員、大南委員、笠原委員、金田委員、熊谷委員、佐古委員、佐村委員、佐和委員、田中委員、田村委員、辻委員、東山委員、本庶委員、本間委員、松本委員、村田委員、吉岡委員、吉田委員

以上各委員

欠席者

井手委員、入倉委員、北城委員、野村委員、八田委員

以上各委員

はじめに尾池総長より、4月から6月までの本学の主な動きについての報告を含めた挨拶がなされた。

議事録承認(4月2日開催分)

議事
  1. 平成16年度予算について
    平成16年度予算の配分状況について説明があり、了承された。委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見、●:回答)
    ○中期計画の中で教育に関するサービスをきめ細かく行おうとしていると感じたが、予算の配分についても配慮したのか。
    ●教育は大学にとって非常に重要だが、各部局から出された額は過去3年間と比べて殆ど増えていないのが現状であり、今後議論していく必要があろう。
    ●本学とカリフォルニア大学(UC)の規模を比較すると、学生数及び予算規模は約1:10であるが、教員数はティーチングアシスタントを含めUCは約16万人で、本学は約3千人と大きな差がある。学生サービスについての考え方に、根本的な違いがあるかもしれない。
    ○京都大学の予算規模は、私学で言うと慶応大学と同じくらいだと思う。京都大学の運営交付金対象事業費・物件費に占める教育研究事業費と教育研究推進費の合計額の比率が30%を切っている感じだが、慶応大学では40%くらいであり、京都大学の教育研究費が少ない感じがする。
    ●今年度は、従来の考え方で予算配分を行ったが、私学と比較して一般管理に充てている経費が多いと思う。
    ○この他に科研費などの外部資金が研究費に充てられるので、教育研究費の多くは教育に回され、その結果、私立大学に比べ国立大学は学生一人当たりの教育費が高くなるのではないか。
    ○借入金償還金について、償還費の総額と償還期間はどれぐらいか。
    ●総額は約500億円で、償還期間は10年間である。毎年約50億円ずつ償還することになる。
    ○総額に対して人件費の割合が高いが、教育研究は人なので、それだけに人件費の配分で人の質を高めていかねばならない。人件費の配分について、これまでのような積上方式でやるのではなく、例えば5年先の将来を見据え戦略的に中長期的なビジョンを立てていくことが経営的には重要だと思う。
    ●教職員の人件費は文部科学省が積算した定員を基礎としてその額を配分しており、完全な積上方式である。将来的に人件費の配分をどうするかについての検討はこれからだが、個別には、非常勤講師手当の支給等について検討を始めている。
    ●職員についても人件費に係る効率化係数に対処する必要があり、法人化前からの定員削減を継続するかさらにそれ以上の削減が必要になる。また、職員の資質の向上、パワーシフトを含めて人件費を抑制する方向で考えねばならない。
    ○学生に対してきめ細かなサービスをするという発想は、従来の京都大学ではなかったと思う。しかし、個々の教員の意識はあまり変わっていないのではないか。今後、これをどう進めていくのか。
    ●UCの場合は、ステューデント・フィーをステューデント・サービスに使っているが、そこまで単純にはできないと思う。過去の学生の資質と今の学生の資質が同じとも言えない状況を考え、検討していく必要がある。
    ○UCの場合は、教育の形態が違うのではないか。例えば、語学でも質の高い教育を実施するためにどういう教員を採用するかは当該大学の考え方による。
  2. 平成17年度概算要求の概要について
    平成17年度概算要求の概要について説明があり、了承された。また、平成17年度の概算要求の今後の取り扱いについて説明があり、要求事項・内容等の最終 的なとりまとめは、役員会に一任することが了承された。委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見、●:回答)
    ○特別教育研究経費は、新たな仕組みなのか。また、国策として国立大学法人と連動していくのか。
    ●特別教育研究経費は、効率化係数による経費の削減に対してそれに見合うものとして新たに措置された経費と考えられる。また、この経費は、有識者会議や科学技術・学術審議会等の審議を踏まえることにより、透明性・客観性を確保したものと考えられる。
    ●国立、私立ということでなく、高等教育にもっと国費を投入すべきと考えている。
  3. 経営協議会の運営についての一部改正について
    監事の行う国立大学法人京都大学の業務の監査に関し必要な事項を定めた「国立大学法人京都大学監事監査規程」が制定されたことの報告の後、「経営協議会の運営について(経営協議会申し合わせ)」を一部改正することについて説明があり、了承された。
報告事項
  1. 総長選考会議及び総長選考規程等について
    5月19日(水)に開催された総長選考会議の概要及び総長選考規程等が決定されたことの報告があった。
  2. 中期目標、中期計画及び業務方法書等について
    本学から意見提出した中期目標が原案どおり5月26日付けで文部科学省から提示されたこと、及び本学から認可申請していた中期計画、業務方法書がそれぞ れ申請どおり6月3日付け、5月24日付けで認可されたことの報告があった。また、年度計画を6月16日に文部科学省へ届け出たことの報告があった。
  3. 産学官連携の状況について
    産学官連携を担当する松重副学長(国際融合創造センター長)が説明を行うことが了承された後、国際イノベーション機構の構想及び準備状況について、また桂 キャンパスにおける企業からの寄付受入れ、法人化後の知的財産ポリシーの進捗状況について、それぞれ報告があった。委員による主な意見等は次のとおり。(○:質問・意見、●:回答)
    ○発明の届出から特許申請に関し、どのようなスクリーニングを考えているのか。
    ●国の政策として3年間特許費用は無料とされており、また海外の出願に対しても今年度約1300件の予算が確保されている。当面はこれらの制度を利用しながら、スクリーニングを考えていきたい。
    ○京都全体の活性化を図るために産学公連携が必要であり、京都大学も是非その一員になっていただきたい。
  4. 外部資金・科学研究費補助金の受入状況について
    過去5年間の奨学寄付金、受託研究、民間等の共同研究及び科学研究費補助金に係る受入状況について、報告があった。
  5. 教員制度検討会及び職員の人事制度改革検討会の設置について
    京都大学における教員に係る諸制度について検討を行う「教員制度検討会」を設置したこと、及び一般職俸給表(一)適用職員に係る人事制度改革について検討を行う「職員の人事制度改革検討会」を設置したことについて、報告があった。
  6. 平成16年度職員採用の概要について
    5月23日に実施した職員の統一採用試験の実施状況及び今後のスケジュールについて、報告があった。
  7. 市民向け公開講座等について
    本学の主な市民向けの公開講座等について、報告があった。
  8. 施設関係整備状況について
    本学のキヤンパスの整備状況について、報告があった。
  9. その他
    • 委員から電子ファイルで資料をいただきたい旨の要望があった。

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第1回 平成16年4月2日(金曜日)開催

議事

  1. 国立大学法人京都大学経営協議会規程の制定について
  2. 経営協議会の運営について
  3. 規程の制定等について
  4. 国立大学法人京都大学の中期目標原案及び中期計画案について
  5. 平成16年度国立大学法人京都大学年度計画案について
  6. 国立大学法人京都大学業務方法書案について
  7. 総長選考会議委員の選出について

議事録

出席者

尾池総長(議長)、井手委員、入倉委員、笠原委員、金田委員、大南委員、北城委員、熊谷委員、佐古委員、佐村委員、佐和委員、田中委員、田村委員、辻委員、八田委員、東山委員、本庶委員、本間委員、村田委員、吉岡委員、吉田委員

以上各委員

欠席者

石井委員、野村委員、松本委員

以上各委員

はじめに、尾池総長より、国立大学法人法第20条第5項の規定に基づき、本会議の議長を務める旨発言があり、引き続き挨拶がなされた

議事
  1. 国立大学法人京都大学経営協議会規程の制定について
    国立大学法人京都大学の経営協議会の組織及び運営に関し必要な事項を定める「国立大学法人京都大学経営協議会規程」の制定について説明があり、了承された。
  2. 経営協議会の運営について
    経営協議会における陪席、議事録の作成及びその公開等について、申合せをすることについて説明があり、了承された。なお委員から、本会議の開催日程につ いて1年分を暫定的でも良いので早く決めてほしいこと、また、当日欠席した場合には、資料を送付願いたい旨の要望があった。
  3. 規程の制定等について
    京都大学通則、学生納付金規程、組織規程、会計規程、役員給与及び退職金規程、教職員の就業規則等について説明があり、了承された。委員による主な意見等は次のとおり(○:質問・意見、●:回答)
    ○学生の収容定員は、どのように決定したのか。全体の収入の中で、学費はどれくらいの割合を占めているのか。
    ●本学の全体の予算約1300億円の中で、学納金収入は100億円程度である。
    ●実は、収容定員は国が定めており、変更するには概算要求が必要。実態は、収容定員を少しずつ越えた形で受け入れている。授業料の額は、国が定めた標準額か ら10パーセントの範囲内で大学の判断で設定することができることとなっているが、変更しないことは既に発表していた。
    ○総長にどれだけの権限を与えているのかが法人化後は一番大事だと思うが、どのようになっているのか。
    ●法人化の趣旨を踏まえて、89大学でそれぞれの取組みがある。京都大学は歴史の重みがあり激変は良くないと発言してきた。リーダーシップは必要だが、ボ トムアップを基にしたリーダーシップでなければならないと思う。教員、事務職員、学生など多くの人の意見を聞きながら企画を進めていく中で、リーダーシッ プを発揮することもあるだろう。執行面で制度的に与えられた権限は、活用したい。
    ○法人化により京都大学のどこがどのように変わったのか具体的に示してほしい。
    ●まず、役員会を置き、責任体制を明確にした。役員会、経営協議会と教育研究評議会については法律に定められているが、これ以外に部局長会議を制度化している。これらで審議を尽くしたものを、役員会で決めることになる。
    ○いろいろな人の意見を聴いた上で、最終的に決める段階では、総長は自分の考え方を出した方がいいと思う。
    ●中期目標・計画の中にしっかり書かれていることが、これまでと変わったところである。
    ○例えば、学生の授業料を1割上げて、それを財源として優秀な学生に対する奨学金制度を導入することが考えられるが、京都大学として今後どのような奨学金制度を考えているのか。
    ●奨学金制度についても、中期目標の中でふれている。
    ○危機管理の担当の副学長はいるか。
    ●安全管理担当の理事をおき、法人化に伴い労働安全衛生法に対応するため、必要最小限の措置を行った。予測できない事態が発生した場合、まず最初に学生の安全を守ることが重要と考えている。情報セキュリティの担当理事もおいている。
    ○教員の採用について、競争試験を行ったり、試用期間をおくなど、ドラステックな変更を行ったのか。
    ●教員については、教員就業特例規則が適用されることになる。
    ○特許権等の収入について、発明者と所属機関との配分率の考え方を教えてほしい。収入が5千万円以上の場合、5割を発明者に還元するとあるが、収入が大きい場合は大学に還元する比率を高くすべきではないか。
    ●京都大学では知的財産ポリシーを決定し、発明は個人帰属から機関帰属となった。発明は研究者個人が行うものとしてこれでスタートしたが、今後議論をしていきたい。
    ○民間ではここまで発明者に還元するところはないと思う。今後議論をお願いしたい。
    ○役員の退職金は、別途国から措置されるのか。
    ●運営費交付金の中で、特殊要因として別途措置されると認識している。
  4. 国立大学法人京都大学の中期目標原案及び中期計画案について
    国立大学法人法第30条の規定に基づく「中期目標計画原案」及び同法第31条の「中期計画案」について説明があり、了承された。なお、今後の動きによっ て、内容を一部変更する必要性が生じた場合は、その修正について議長に一任することで了承された。委員による主な意見等は次のとおり(○:質問・意見、●:回答)
    ○運営費交付金の算定ルールをみると、授業料収入が増えると、運営交付金が減ることになるが。
    ●標準額の10%までの範囲なら、運営費交付金に反映させないと聞いている。
    ○病院で収入を上げても、その分交付金が減らされたら何もならない。
    ●2%の経営改善係数を越えた分は、病院の収入となる。
    ○6年間の収支計画にある運営費交付金は、年々減っていくのか。
    ●運営費交付金は、6年間の見通しの額と漸減していく年度毎の予算額の、二つの考え方から成っている。
    ○剰余金は繰り越せるのか、剰余金を残すと運営費交付金は減るのか。
    ●目的積立金として認められれば繰り越せると聞いている。剰余金を出した部局に対するインセンティブの問題は、今後あらゆるところで議論をしていきたい。
  5. 平成16年度国立大学法人京都大学年度計画案について
    中期計画の内容に基づき、平成16年度において実施すべき事項を記載する年度計画案について説明があり、了承された。なお、今後の動きによって、内容を一部変更する必要性が生じた場合は、その修正について議長に一任することで了承された。
  6. 国立大学法人京都大学業務方法書案について
    国立大学法人の業務の適正な運用に資することを目的とする業務方法書案について説明があり、了承された。
  7. 総長選考会議委員の選出について
    総長選考会議の委員の構成等について説明があり、学外委員の中から、総長選考会議の委員として、井出委員、大南委員、熊谷委員、佐村委員、村田委員、吉田委員の計6名が選出された。
報告事項
  1. 総長の職務代理者の指名について
    国立大学法人法第11条第3項に定める「学長に事故あるときはその職務を代理し、学長が欠員のときはその職務を行う」者として、金田理事を指名したことの報告があった。
  2. 会計監査人の選任について
    国立大学法人法では財務諸表、業務報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けることが規定されていることに基づき、会計監査人を選任したことの報告があった。
  3. 平成16年度予算配分方針について
    平成16年度における予算配分方針について報告があった。
  4. その他
    • 労使協定の締結及び海外への広告について、報告があった。