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国際フォーラム「多極的世界観の構築と外国語教育―多様な言語文化への挑戦―」 挨拶 (2008年6月20日)

尾池 和夫

 本日は、学生諸君をはじめ多くの市民の皆さんにも御参加いただきありがとうございます。京都大学総長の尾池でございます。
本年は京都大学創立111周年であるとともに、日本とフランスが交流を始めて150周年にあたります。日仏修好通商条約が結ばれたのは、安政5年9月3日(1858年10月9日)のことでした。
本日はフランスの元首相であるドミニク・ドビルパンさんに講演をしていただきますが、フィリップ・フォール駐日フランス大使もご出席されていますのでご紹介しておきます。

 さて、本日のフォーラムは趣旨説明にもありますように、「外国語教育・学習は多極的世界観の構築にどのように資するのか」ということがテーマであり、多様な社会を多様な視点で見るためには多様な言語に触れ学ぶことによって、その背景にある文化を理解することが重要なキーになると考えます。

 京都大学は、本学の基本理念の中で、「自由の学風」、「多元的な課題の解決」、そして「地球社会の調和ある共存」という3つのテーマを謳っています。さまざまな外国語の運用能力を身につけること、また外国語の学習を通じて世界の多様な文化を理解することは、「多元的な課題の解決」、及び「地球社会の調和ある共存」におおいに役立つと思います。

 大学で学ぶ目的のひとつは、「多元的な課題の解決」ができるようになることです。すなわち、あるひとつの課題を解決しようとするとき、複眼的思考によりさまざまの面からその課題を考えることです。私たちは多様性の世界にいます。グローバル化する今日の世界において、この「多元的な課題の解決」を行うには、このフォーラムのタイトルにある「多極的世界観」を皆さんが構築していることが基礎になります。さまざまな外国語の学習を通じて、世界の文化の多様性を理解することが望まれます。

 「地球社会の調和ある共存」のためには、自然環境を考えることも大切です。自然環境のことを考えるのは、国際的な喫緊の課題です。人類社会の発展と自然環境の調和を図るのは困難な課題ではありますが、人類の英知を結集してその大きな課題に挑戦するのが人類の使命でもあると考えられます。人類が生み出した技術によりそれを克服できるように努力を重ねていくことが重要であります。そうした人類の英知を結集させるための方法として、その基盤の一つを形成するのが外国語学習であり、お互いの文化を理解し尊重することによって、自然環境との調和を図る新たな技術を活用していくことも考えられるでしょう。

 最後に、21世紀は知識基盤社会といわれるように知の世紀です。知の創造と発信、知の移転と流通により、地球社会の発展と人類に貢献することが重要です。さまざまな外国語の運用能力を身につけることが、知の発信、移転、流通に役立つのはいうまでもありません。さまざまな外国語を学ぶことは、人類社会に貢献することにもなるのです。できるだけ多くの外国語をしっかり学んで多様な視点を身につけられることを祈念しています。

大学の動き

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