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京都大学女性研究者支援センター開所記念式典 挨拶 (2007年4月25日)

尾池 和夫

尾池和夫総長

尾池 和夫総長 本日は女性研究者支援センターの新しい建物の除幕式にご参列頂きありがとうございます。これを記念して、一言ご挨拶申し上げます。

京都大学は2006(平成18)年3月に男女共同参画の基本理念を大学として設定しました。その一つの形の現れとして、本日ここに新しい女性研究者支援センターの建物が完成しました。女性研究者支援センターは、昨年の9月に設置されたばかりの、まだ誕生後8ヶ月にしかならない新しいセンターです。今までは私もおります本部棟の仮の事務室でいろいろな事業を行っていましたが、本日からはこのようなすばらしい拠点で、いろいろな活動を行うことができるようになりました。

この建物は1926(大正15)年に大学の官舎として建築された木造2階建てで、築後80年が経過しております。ごく近年まで使われていました。大きな庭があり、当時としてはかなり斬新な洋風のデザインが残っている部屋があります。建物自体は屋根瓦や壁はさすがに老朽化しておりましたので、吹き替えや塗り替えを行いましたが、内部の壁や床はそのまま使っており、なるべく当時の仕様を残すことを念頭において改修をいたしました。改修は、工学研究科の女性教員である神吉 紀世子先生の研究室の皆様によって、いかに当時の建築様式を保ちながら改修するかに心を砕かれてなされました。また、関係部署の皆様の多大なるご協力によって短期間の内に無事終了しましたことを感謝いたします。

では、この建物で何が行われるかといいますと、女性研究者支援センターが今まで行ってきた事業はもちろんですが、新たに、1階では学童の一時預かりのスペースと保育士の派遣を提供するという事業が始まります。2階には小さい会議室があり、10名程度の会議なら行うことができますので、女性研究者の集まりなどに、1階で保育をしてもらいながら利用できるようになっています。ジェンダー関連の図書も会議室に備え付けられる予定です。

現在、女性研究者支援センターの事業は、科学技術振興調整費と学内の経費の両方で行われていますので、自然科学分野によらず全分野の女性研究者の支援を行っています。この科学技術振興調整費は、どのような施策をすれば女性研究者が働きやすい環境を作ることができるかという「京都大学モデル」を構築することに対しての補助で、女性教員懇話会や子育てグループ等、現場からの意見に基づいて練られた「京都大学女性研究者支援センター」なる本提案は、地域と連携した具体的・包括的な支援策として高く評価できる、と採択理由にも述べられています。

女性研究者が出産・育児・介護中でも研究活動に支障がでないような研究環境を作り、目的に合った支援策を模索しながら実行しています。たとえば、医学に携わる女性は夜勤などがあって子育てと仕事が両立する道が見つからず、仕事を断念せざるを得ない人が多いのが現状です。「京都大学モデル」を確立することによって、より多くの女性が研究に携わることができるようになれば、科学に対して多様な見方ができるようになり、ひいては科学の発展を大きく推進していく結果に繋がって行きます。また、これらの施策は、女性のみならず子育て中の男性の研究を同じように保証する研究環境を生み出します。2008(平成20)年度に、科学技術振興調整費は終了します。その後、女性研究者支援センターは京都大学の男女共同参画推進のための企画室のような形で、対象を広げて継続・発展して行きたいと考えています。

このセンターの活動から、やがて各界でリーダーとして活躍する女性研究者たちが出て下さることを願って、私のご挨拶といたします。小雨の中、ご参加下さったたくさんの方がたにお礼を申し上げ、今後ともご支援を賜りますよう、お願いいたします。

ありがとうございました。

トピックス 女性研究者支援センターの建物を新たに開所