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退職教授懇談会 挨拶 (2007年4月5日)

尾池 和夫

今年は、この会に、3月でご退職の教授、59名の皆さまをお招きいたしました。ご定年でご退職の方も多く、まことにおめでとうございます。

新制大学ができた1947年の平均寿命は男性50.06歳、女性53.96歳でした。2005年では、男性78.53歳、女性85.49歳です。男女共同参画社会の議論の中には、子育てした分だけ教員の定年を引き上げるという考えもあるようです。

厚生労働省日本人平成17年簡易生命表では、63歳の男性で、平均余命19.66年です。女性は24.93年です。

京都大学の大先輩である日野原 重明さんの提唱する「新老人の会」では、75歳以上が入会資格で、現在4,300人ほどの会員がいるそうです。この会では、60歳以上で、ジュニア会員になることができるといいますので、私も、皆さまも、ジュニア会員の資格があります。

何はともあれ、お体に気をつけられて、ますますお元気にご活躍なさることをお祈りします。

世界でご活躍になる先生方には、昨日から総合博物館で始まった、「地図出版の400年-京都、日本、世界-」をご覧いただきますよう、おすすめ申し上げます。

内閣府が実施した社会意識調査の結果が3月31日に発表されました。その中で、「悪い方向に向かっている」と思う分野の複数回答で、「教育」が前年より大きく増えて36.1%になりました。「医療・福祉」がやはり増えて31.9%、「地域格差」が増えて、26.5%です。「治安」「外交」が減りました。この傾向は、大学に関係する施策にも大きな影響を与えることになると思います。

京都大学も今年は20年度に行われる評価に向けて、第1期中期目標期間のいわば実質的な仕上げの年にしなければなりません。それに続いて評価のためのデータをまとめていくことが必要で、大学の教員が本来の教育と研究と医療の活動以外に、たいへんな時間をそれに割かなければなりません。先生方は、実にいいタイミングでご退職であります。私は法人化のときも、今回もタイミングを失してしまって、実に残念な思いです。

大学の有能な人材のエネルギーを、本来の教育と研究、あるいは医療に全力で注ぎ込めるような制度にしなければ、本当にもったいないと、私は思っています。また、教育という長期の視点で取り組むべき課題を、せっかちな議論で、がたがた変えたりするとろくなことはありません。皆さま方の、高等教育に対する、また京都大学に対するご支援を、今後ともよろしくお願いして、私のご挨拶といたします。

今年は卒業生に和歌山研究林の間伐材の端材で作った祝い箸を贈りました。「はし」は先端を表す「端」に通じます。世界の先端をリードしてきた先生方にも、その見本を差し上げたいと思います。

本日は、まことにおめでとうございます。