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第2回 京都大学附置研究所・センター主催シンポジウム 京都からの提言 挨拶 (2007年3月17日)

尾池 和夫

京都大学附置研究所・センター主催シンポジウム「京都からの提言-21世紀の日本を考える(第2回)、テーマ:ノーベル物理学賞受賞者湯川・朝永両博士が拓いた世界-湯川 ・朝永両博士生誕百年に因んで-」を大阪で開会します。

京都大学の研究所と研究センターが協力し、一堂に会して開催するこのシンポジウムに、たくさんの方々にお越しいただき、本当にありがとうございます。京都大学を代表いたしまして、ご挨拶とお礼を申し上げます。

京都大学は、国外の各地で、研究テーマごとに専門家向けの国際シンポジウムをすでに8回開催しました。 第8回は、「人類の調和有る進歩のために」と題して、2006年11月23日~25日に、バンコクで開催しました。

これとは別に、今日のこのシンポジウムのシリーズは、昨年3月16日に第1回「危機をいかに乗り切るか?東アジアといかに向き合うか?」をサブテーマにして、品川インターシティーホールで開催してから、毎年全国各地で開いて行くものであります。

国立大学附置研究所研究・センター長会議という組織があって、その会長を今、京都大学人文科学研究所長の金 文京さんがつとめています。全国の27国立大学に附置された82の研究所・センターが参加している組織です。これらは、日本の学術研究の中核として、幅広い分野の研究を推進しながら次世代の研究者を育成するという重要な役割を果たしています。

大学の活動は、申すまでもなく教育と研究と社会貢献です。京都大学には現在、10の学部、19の大学院、13の研究所、18の研究センターがあります。約 3,000人の教員、2,300人の常勤職員、数千人の非常勤教職員、22,000人の学生がいます。その中で、全研究所と一部の研究センターの活動を紹介するのが、このシンポジウムです。

この全国共同利用研究所の仕組みを最初に創設したのが、今日のテーマになっている湯川・朝永両博士が切り開いた研究の場である基礎物理学研究所です。

私自身、1963年の大学卒業以来、1988年まで防災研究所にいました。防災研究所新設趣意書には、次にように書いてあります。
「本邦は世界的災害国の一つにして大地震・津波・高潮・洪水・暴風雨・雷災及び凶作等各種災害による損耗は年々巨額に達する。殊に戦後限られたる資源にて国の再建を図らざるを得ざる現時においては災害の防止いよいよその必要性加重せらる。」

本日は、4つの講演とパネルディスカッションが予定されています。その中で、4つの講演をされる方々の研究所を簡単にご紹介します。

九後 太一先生のテーマは、「湯川・朝永両博士が残した宿題」です。

基礎物理学研究所は、1952(昭和27)年設立の湯川記念館を前身として設立されました。1953(昭和28)年、先ほど述べたように、初の全国共同利用研究所として創設されました。

代谷 誠治先生のテーマは、「中性子利用が拓く科学技術、核物理からがん治療まで」です。

原子炉実験所は、1963(昭和38)年4月1日に設置されました。1955(昭和30)年7月、日本学術会議で開催された「原子力に関するシンポジウム」において、関東および関西の大学に研究炉を1基ずつ設置する、ということに意見が一致し、文部省では慎重審議の結果、1956(昭和31)年8月京都大学に研究用原子炉1基を設置する案を科学技術庁あてに提出し、1960年4月11日、大阪府は大学研究用原子炉設置協議会が発足し、1961年9月4日京都大学から原子炉設置承認申請書が科学技術庁原子力局へ提出され、1962年3月15日に承認されたという歴史があります。

松沢 哲郎先生のテーマは、「チンパンジーを通して人類の起源に迫る」です。

1964(昭和39)年4月、日本学術会議は第4部人類学民族学研究連絡委員会の発議により、第41回総会で霊長類研究所設立の勧告を決定しました。この決定は5月13日、日本学術会議会長より内閣総理大臣に勧告されました。

霊長類研究所は、広範な人類学の各分野にわたって、その基礎をなす霊長類の生態学的、社会学的、心理学的、生理学的、生化学的、遺伝学的研究を有機的・総合的に推進するために、愛知県犬山市に創設されました。研究所用地の約1万7,000平方メートルは名古屋鉄道株式会社より寄付を受けたものです。

研究課題の中に、チンパンジーの「言語」をふくむ高次機能研究の推進という項目があり、今日の講演のテーマもそこからの成果だと思います。

松本 紘先生のテーマは、「太陽系文明の曙光と宇宙エネルギー利用」です。

生存圏研究所は、地球保全と木質資源利用の調和と生物生産基盤の持続的社会の構築を理念とし、森林圏と人類生活圏に関わる学術技術の研究を進めてきた木質科学研究所と、宇宙圏・大気圏の学術研究および電波応用の新技術開発の研究を進めてきた宙空電波科学研究センターを統合・再編して、生存圏科学の創成を目指すことにしたものです。

講演の後のパネルディスカッションのテーマは「科学技術立国と科学者の社会的責任」で、ゲストパネリストに、大阪大学核物理研究センター長の土岐 博先生と、読売新聞大阪本社編集局科学部長の本多 宏さんをお招きして、パネリストは、松本 紘、九後 太一、代谷 誠治、松沢 哲郎、水野 広祐の先生方です。水野 広祐先生は、東南アジア研究所長です。このパネルディスカッションのコーディネーターは、人文科学研究所長の金 文京先生です。

このパネルディスカッションのテーマは、たいへん重要なテーマであり、科学技術立国を目指す日本の未来に向かって、21世紀の日本を考えるという今日のシンポジウムのテーマに応えて、さまざまの重要な提言が密度高く示されるという期待があり、私も今日は最後まで参加できるよう日程を調整してもらって参りました。皆さんの発言をしっかり聞き漏らさないようにしたいと思っています。

お忙しい折、たくさんの方々に参加していただきました。また、多くの方々にお世話になりました。本当にありがとうございました。

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