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ベンチャーフォーラムin 京都大学 挨拶 (2006年4月14日)

尾池 和夫

 京都大学国際イノベーション機構が主催して開催いたします「ベンチャーフォーラムin 京都大学」の開会にあたり、ひとことご挨拶申し上げます。

 昨日まで、私は台湾の新竹におりました。そこでは、半官半民の工業技術研究院を中心にして、サイエンスパークが設置され、半導体、CD-ROMドライブ、PCアセンブラなど、次々にベンチャー企業が育ち、研究者が長者になっているといわれます。その引き金は、アメリカ合衆国から呼び戻された研究者たちです。呼び戻すため、研究院は、アメリカ人を教師にした小中高校を設立したり、兼業規制を緩和したり、さまざまの手段を用意しました。中国大陸でも同じで、中国人研究者を呼び戻す政策が進められています。何も技術分野に限らず、基礎研究の分野でも同じです。

 知的創造の源泉である大学の使命として、教育および研究の遂行だけでなく、創造性に富む人材の育成があります。特に、次の社会を担うチャレンジ精神旺盛な若手人材を育てる事は非常に重要なことです。

 京都大学では、これまでVBL(ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー)を中心に、外部からベンチャー関係者を講師として招き、「新産業創成論」を開講したり、「起業相談室」を開設したり、大学院生、学生や教員のベンチャー起業を色々な面から支援して来ています。

 これまで京都大学では、ベンチャーの育成と支援、産学連携、知的財産に関連して、次のような取り組みを行ってまいりました。

 1996年7月 次世代の産業を支える基板技術の研究開発プログラムの推進とベンチャー精神に富んだ創造的人材の育成を行う「ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー」の設置

 2001年4月 全学の産学連携推進の窓口機能を担い、次世代産業基盤の構築、人的融合による新規学問領域の創成、新たな大学像の提案を目標とする「国際融合創造センター」の設置

 2003年4月 知の創出・活用特区の認定を受け、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー内に「京大ベンチャーズ」を設置、現在10の会社やグループが入居中とのこと

 2003年9月 本学帰属の特許等知的財産の管理運用体制として「知的財産企画室」の設置

 2004年3月 産学官連携ポリシー、知的財産ポリシーの策定

 2004年1月 事務組織として「産学連携推進室」の設置

 2005年4月 大学の知を核とするイノベーションの創出と知的創造サイクルの確立を目指して「国際イノベーション機構」の設置。なお、VBLはこの機構の中の組織となりました。

 2005年10月 国際イノベーション機構に「スーパー連携室」を設置

 このように、京都大学ではベンチャーや産官学連携活動を積極的に支援する組織を立ち上げ、関係者の努力で多くの成果・実積をあげて来ました。現在は、さらに京都大学支援ベンチャーファンドの設置も計画しています。

 京都は、島津製作所、京セラ、オムロン、村田製作所、ローム、堀場製作所など非常に多くのハイテクベンチャー企業を輩出してきていることでも有名です。ある調査では、京都大学発ベンチャーの数は70から80と国内でトップクラスといわれます。今日のフォーラムでも、パネラーの株式会社シニアコミュニケーションの山崎社長、株式会社ドリコムの内藤社長は、京都大学の卒業と伺っています。

 ベンチャー企業には、成功ばかりでなく、非常に多くの失敗例もあると思います。今日は、こうしたベンチャーの現実、そして何よりも重要なベンチャー精神について、第一線の方々からお話を聞く機会を得ました。参加された皆さんとともに大学にとっても非常に有意義なことです。

 今回のフォーラムでは、日本ベンチャー協議会の協賛をいただきました。共催の学生ベンチャーLLPザックには、実質的に実行の仕事を担っていただきました。KGB(関(西学生Band)、立命館大学VBC、DVT(同志社大学ベンチャートレイン)など、ご関係の皆様にもお礼を申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。

 最後になりますが、講師をお願いし、あるいはパネリストをお願いした皆様に、深く感謝申し上げます。

 ありがとうございました。

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