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京都大学地域研究統合情報センター 銘板除幕式 挨拶 (2006年4月3日)

尾池 和夫

 2006年度、新たに設置された地域研究統合情報センターの銘板除幕式にあたり、ひとことご挨拶申し上げます。

 この地域研究統合情報センターは、全国共同利用施設として京都大学に設置されました。本日は、その銘板除幕式ということで、年度初めに関係の方々にご参集いただき、ありがとうございます。

 京都大学には現在13の附置研究所があります。その13番目に設置されたのが東南アジア研究センターを改組した東南アジア研究所です。この他に京都大学には、全国共同利用施設として研究センターも持っています。その全国共同利用の研究センターの仲間として新たにこのセンターが設置されたものです。

 京都大学には地域研究を行う部局として、東南アジア研究所および大学院アジア・アフリカ地域研究研究科という組織があります。これら2部局に加えて、世界の各地域を対象に地域間の比較研究や地域に関する情報を提供する研究センターとしてこのセンターが設置されました。設置にあたって、国立民族学博物館にありました地域研究企画交流センターの全教員が京都大学に移ってこられました。4月から新たに京都大学教員としてこのセンターの運営に尽力いただくことになりました。東南アジア研究所やアジア・アフリカ地域研究研究科からの教員を加えて、総勢14名の教員で、地域研究を推進し、そして情報の共有化に向けた事業を実施していくことになります。

 地域を理解するには、その対象地域でのフィールドワークが不可欠です。最近、探検部の創部50周年記念の行事が開催されました。一つのクラブの活動に始まったフィールドワークの学風が、いまでは、京都大学の学問の伝統となっています。東南アジア研究所や大学院アジア・アフリカ地域研究研究科も、このような学風のなかでフィールドワークに基礎をおいた研究・教育を進めてきました。このセンターも、このような京都大学の伝統の中に位置づけられると考えています。

 このセンターの設置に至るまでには、さまざまなご苦労があったことと思います。大学共同利用機関という組織にあった、文字どおり全国の大学が共同して利用する研究機関として位置づけられていた機関が、京都大学の研究センターとして再編されることになったわけで、また全国の研究者コミュニティがそれを注視しています。京都大学に設置されたために、全国共同利用のサービスが低下したというようなことになってはいけません。地域情報の提供や利用にあたって、京都大学に設置したことによってこれまで以上にサービスが向上したという評価が定着するよう、教職員が一丸となって励んでいただきたいと思います。

 地域の情報資源に関連して、国立民族学博物館に所蔵されていた「京セラ文庫英国議会資料」という膨大な資料が京都大学に移管されました。この資料は、19 世紀初頭から20世紀半ばにわたる英国議会の議論を記録したもので、大英帝国の植民地経営、あるいは当時の世界情勢などに関する貴重な資料を含んでいます。約12,000冊の資料がすでに附属図書館の地下書庫に収納され、近々、それがこれまでと同じく「京セラ文庫英国議会資料」として公開利用されることになっています。この資料の利用はもちろんのこと、さまざまな地域情報の提供が、この研究センターの重要なミッションの一つとして取り組んで行かれるよう期待しています。

 昨年の夏、このセンターの京都大学への設置がひとまず合意され、その後、国立民族学博物館と京都大学とのあいだで、教員の異動、施設・備品の移管などをめぐって、さまざまな準備作業がありました。設置にいたるまでのこのような短い期間にあらたな研究センターを立ち上げなければならなかったことを思うと、関係の皆さんのご苦労はたいへんなものであったと思います。銘板の除 幕にあたり、関係者のご努力にあらためて深く感謝申し上げます。

 全国共同利用の研究センターとしての活動を京都大学としても、さまざまな形で支援してまいります。今後とも、ご関係の皆様方のご理解とご協力をいただきますようお願いして、私のご挨拶といたします。

 ありがとうございました。

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