セクション

総長賞授与式 挨拶 (2006年3月20日)

尾池 和夫

 皆さん、総長賞の受賞、まことにおめでとうございます。これは、東山理事からの経過説明にあるように、今回初めて授与されたもので、これから毎年、皆さんに続く受賞者が続々と出てくれることを期待しております。
 京都大学学生の皆さんは、自学自習の伝統のもとに、教員や先輩たちと接しながら、また友人と議論しながら、それらの交流の中で自らの人格の確立を目ざし、学問の研鑽を積んでおられます。しっかりと学習を進めながら、あるいは先端の研究に従事しながら、学園生活を謳歌するという青春のまっただ中で、さまざまの成果を生みだしている最中です。
 そのようなさまざまの成果の中で、一段と優れた成果を、目に見える形で示された方たちに贈るのが、今年から始めた、この総長賞であります。京都大学に学んだ経歴の一つとして、記念としていただければ幸いです。
 京都大学は、その基本理念において、教育に関して次のように定めています。
 京都大学は、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、卓越した知の継承と創造的精神の涵養につとめる。
 京都大学は、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成する。
 この基本理念に照らして、ふさわしい成果をあげた皆さんが推薦され、審査を経て、今日この賞を差し上げることができて、私もたいへんうれしく思います。

 今回差し上げた賞状は、京都大学の書道部の筆によるものです。また、記念の品は、この総長賞を創設するに際して、私が特別に用意したものです。デザインは京都大学の時計台と楠の葉を2枚、製品は京都象嵌、納品してくださったのは京都の学生グループとして、象嵌製品の企画・デザインと広報・販売戦略の立案までを手がける「りんず」です。
 時計台は、1925年に建てられました。その時計は、75歳になる地元の杉谷ムセンの社長杉谷 鉄夫さんによって、今でも整備と調整が続けられ、正確な日本時を示しています。京都大学の自由の学風の象徴としてデザインしました。
 象嵌は京都の伝統文化です。かつてシルクロードを通ってはるばる飛鳥時代に伝わってきたと言われます。平安時代には技術の基礎が確立し、江戸時代には京都の刀などとともに美術工芸として職人が生み出した文化であります。京都大学の国際性と地域との社会連帯を表しました。
 制作を依頼した「りんず」は、京都大学の大学院生である横尾 英史さんが主宰する京都の学生さんたちのグループです。京都府の創造的プロデュース事業の採択を得たグループです。学生さんたちの活動の成果がこの記念の品に込められています。

 どうか、今後とも、ますます学習と研究をすすめ、京都大学の学生の一人として、皆さんがそれぞれに自分らしさを見せながら、やがて近い将来、世界で活躍する姿を見せてくださることを祈って、お祝いの言葉とさせていただきます。

 おめでとうございます。

トピックス 第一回「京都大学総長賞」授賞式

前のページに戻る