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生存基盤高等研究院オフィスの開所式 (2006年2月9日)

尾池 和夫

 生存基盤高等研究院オフィスの開所式にあたり、大学を代表して、お祝いを申し上げます。

 私たちは、「自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、」という表現で、京都大学の基本理念を定めました。生存基盤という言葉は、まさしくこの基本理念の序文に直接関係する重要な概念であります。

 京都大学の教育と研究の最近の歴史では、1990年代の独立研究科の導入、大学院部局化の進展とともに、京都大学の創立100周年を迎え、21世紀を迎えました。

 この生存基盤という言葉が、宇治キャンパスを中心によく聞かれるようになったのは、比較的最近のことです。

 宇治キャンパスの市民への公開は1997年度から始まりました。宇治キャンパス公開2002では、講演会が「人類の豊かな未来のために」という題で行われておりました。宇治キャンパス公開2003は、「人類の生存基盤を探求する情報科学」を統一テーマにして、金曜日午後から土曜日全日の公開となりました。

 2004年4月には、国立大学法人法の規定により国立大学法人京都大学が京都大学を設置し、木質科学研究所と宙空電波科学研究センターを統合して、法人として初めての独自の判断で、生存圏研究所に改組しました。

 2004年度末にまとめられた生存圏研究所の自己点検・評価報告書には、「さらに研究領域を拡充することが議論され、生存基盤科学総合研究所へと発展して行くことが期待される」とありました。

 2005年の化学研究所のニュースレター「黄檗」を読みますと、高野先生、松本先生、高田事務部長の鼎談があり、「教育と研究、大学は何を目指すべきか」というような議論がありました。研究所が、大学生、大学院生の教育、社会人の教育に大きな役割を担っているのは、もちろん誰もが認めるところですが、学生の目線から見て、今、その制度の整備が必要とされていると私は思っています。

 京都大学の研究所は歴史的に見ても、現状を見ても、全国的に大きな役割を果たしてきました。全国共同利用研究所の制度も京都大学に初めて導入されて始まりました。

 2005年3月9日に「生存基盤科学の創成に向けて」という、附置研究所の将来像についてのシンポジウムが宇治で、学内研究者、学外国立大学法人研究所、及びセンター所属研究者を対象に開催されました。そこでの挨拶でも申し上げましたが、京都大学で、異なった研究目的を持つ研究所群が集まって行事をすること自体が大変珍しいものでした。また、そのシンポジウムの副題が「生存基盤科学の創成に向けて」となっていて、これからの大きな目標のもと、人類の福祉に貢献しようという理想を追求するものでした。

 また、今年、3月16日(木曜日)には、京都大学の附置研究所・センター主催のシンポジウムを、今度は17の研究所と研究センターが合同して、開催します。この時には、10時から17時半にわたって、東京の品川インターシティーホールを会場として、「京都からの提言―21世紀の日本を考える」という、しかもその(第1回)として開催されます。サブテーマは、「危機をいかに乗り切るか?」「東アジアといかに向き合うか?」となっています。

 このように、京都大学の研究所群は、その輝かしい成果の蓄積をもとに、さまざまの可能性を秘めながら、新しい時代へ大きく羽ばたこうとしているのであります。その中の一里塚として、今日の生存基盤高等研究院オフィスの開所式を位置づけておきたいと私は思います。

 2005年10月からは、松本先生に理事にご就任いただき、財務などとともに、宇治キャンパス担当としてお願いしました。大学の重要事項の一つとして、この生存基盤の教育と研究の拠点を、全学的な視野のもとに確立していってほしいと願っています。この計画に参加される皆さま方のご活躍を祈り、またこの開所式にご参加の内外の方々に、ご支援をお願いして、私のお祝いの言葉といたします。

 おめでとうございます。


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