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2006年仕事始め 挨拶 (2006年1月4日)

尾池 和夫

 みなさん、明けましておめでとうございます。

 今年も正味6日間の冬の休暇でした。正確に言うと、今年は7年ぶりに閏秒が元日の午前8時59分60秒に挿入されましたので、昨年より1秒長い冬休みでした。しっかり休みを楽しんでくださったことと思います。歳末のカウントダウンの行事も増えてきました。除夜の鐘を撞く経験をされた方もおられるでしょう。

 俳句の世界では「去年今年」という季語があって、年を越す瞬間を詠みます。

 去年今年貫く棒の如きもの 高浜虚子

 これがもっとも有名な句でしょう。京都大学にも昨年から今年へ、まっすぐ貫く学問の伝統があります。しずかに年を越す句もあります。

 埋火の生きてつなぎぬ去年今年 森 澄雄

 毎年この仕事始めの場面では、メリハリの効いた挨拶をしなければと思うのですが、原稿を書きながら、今年はとくに組織改革、事務改革の正念場を迎えることもあって、そのことを表す言葉を探して時間がかかりました。俳句にもそういう句があります。

 稿始め楔のごとき一語欲り 鷹羽狩行

 長い時間考えましたが、結局、組織改革、事務改革は、教職員の一人ひとりが明日の京都大学を、自分たちの手で作り上げていくのだという心がなければ、京都大学を作るための改革に主体的に取り組んでいくのでなければ、改革はできるわけがない思いました。言葉の問題ではなく、心から皆さんのご協力をお願いすることしかないという結論になりました。今年4月には必ず、新しい組織の中で仕事が行われる姿を、今年の大きな目標としましょう。その意志を、皆さん一人ひとりが、もう一度ここで明確にしていただきたいと思います。

 新年を迎えて、私は昨年の一年を、あらためて振り返ってみました。多くの困難がありましたが、それらを皆さんのご努力とご協力で乗り切ることができたと思います。

 機構が発足して、図書館、情報環境、国際交流、国際イノベーション、環境安全保健などが、共通教育とともに機構のもとで動くようになりました。これも大きな改革であったと思いますが、教職員の皆さんの理解と協力で順調に仕事が進んでいます。

 機構の発足した昨年4月1日には、大学病院で看護師が自らデザインした看護服を着用するという場面がありました。これも大きな出来事であったと思います。この服は、京都大学病院の基本理念の一つである、「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」という主旨に基づいて、特に機能性を重視してデザインしたものです。

 安全・安心の社会という言葉をよく聞くようになりましたが、さまざまな事故や事件がありました。いずれもそれらが、行き過ぎた経済性や成果の追求の結果であるのではと言われました。アスベストの問題もありました。台風や洪水による災害、震災、テロなども後を絶ちません。

 情報ネットワークの発達に伴って、個人情報保護法への対応、ITに関わる事件や事故もあり、新しい型の犯罪も見られました。

 子どもに対して、人を信じてはいけないという教育が行われるほど不幸なことはないと思います。大学の役割の中に、研究と教育のテーマとして、心の問題、倫理の問題が深く存在すると思います。

 新規採用職員の研修会の様子も印象に残っています。熱意に燃えて仕事を始めた若い職員の方たちが十分にその能力を発揮していける職場であってほしいと思います。

 京都大学は、昨年6月6日に、カリフォルニア大学デービス校との間の国際交流事業に関する交流と協力の促進および法人化後の大学の国際戦略に対応できる事務職員の養成を目的として、職員インターンシップ゚交流プログラムの協定を締結しました。

 また、7月1日付けで、京都市と本学との人事交流を実行し、総務部社会連携推進課長として、西村 文恵さんを京都市から迎えました

 9月28日には、事務改善提案コンクールの表彰式を実施しましたが、全学の教職員の方々から、184件という多数の応募があったのが、たいへん頼もしく思われました。
 京都上労働基準監督署の指導に基づき、昨年6月から8月の賃金不払残業があることが判明し、調査結果を同監督署へ報告するとともに、同監督署の是正勧告によりすみやかに支払うこととしました。

一般掲示板賃金不払残業への賃金の支払いについて


 11月29日には、教育研究推進本部と経営企画本部の銘板除幕式を挙行しました。最初に申し上げた事務改革の一環として再編した結果を形に表したものであります。

 年末には、京都大学経営企画本部、教育研究推進本部では、消防計画に基づく消防訓練を左京消防署の協力を得て実施しました。その後、12月28日付で「防火管理の徹底について」という文書を出しましたが、訓練が役立ったのかどうか、実際の火災に際して被害が最小限にとどまったのが不幸中の幸いでした。引き続き十分の火の用心をお願いします。

 いろいろのことがありましたが、カンフォーラでは、11月の企画メニューとしてカレーが登場しました。このニュースはたいへん大きく取り上げられ、Yahooにリンクされたり、大学受験「旺文社パスナビ」トップの大学注目情報にも掲載されました。多くの受験生や市民が京都大学のサイトを見てくれることになり、広報のあり方に一つのヒントを与えられました。

 自動体外式除細動器(AED)を設置しました。この本部棟の近くでは、時計台の一階事務室にあります。あまり使う機会はない方がいいでしょうが、安心のために設置場所と使い方を確かめておいてほしいと思います。

 これから入学試験の季節になります。京都大学は入学試験制度の改革でも注目されています。ぜひ今年も入学試験を無事に済ませるよう、緊張して仕事にあたっていただきたいと思います。

 今年も、まずはみなさん方がご自分の体を大切にして、健康で一年を過ごすことに心がけていただきたいと思います。その上で、力一杯仕事をする、そういう一年であってほしいと願いつつ、私の新年の挨拶といたします。

 ありがとうございました。

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