御牧 克己

御牧 克己

御牧 克己 文学研究科教授が日本学士院会員に選ばれる

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御牧 克己 教授

御牧克己教授は、昭和44年3月京都大学文学部哲学科(仏教学専攻)を卒業、同46年3月京都大学大学院文学研究科修士課程(宗教学専攻)を修了後、博士課程に進学されました。昭和47年10月フランス政府給費留学生として渡仏し、パリ第三大学博士課程に編入学、同50年6月同課程(インド学専攻)を修了し、Ph.D.の学位を取得されました。昭和50年12月京都大学人文科学研究所の助手に採用、同57年4月から京都大学文学部助教授に配置換、平成4年1月に教授に昇任、同8年4月には大学院重点化により大学院文学研究科教授となり東洋古典学講座(仏教学専修)を担任して現在に至っています。この間、同教授は東洋古典学講座(仏教学専修)担任の教授として学部および大学院学生の教育・研究指導ならびに後進研究者の育成に尽力されるとともに、附属図書館商議会商議員を努め大学の管理運営に寄与されています。

同教授は、研究面では、はじめ後期インド仏教の認識論・論理学に深い関心を示し優れた業績を挙げられましたが、フランス留学中に習得したチベット学の知識を進展させ、特にインド・チベット仏教の宗義文献の解明に大きな貢献を為されました。また、ボン教研究やチベット土着語彙集、土着文法の分野においても業績を発表し、チベット学全体を幅広く見渡して研究を継続してこられました。顕著な業績として"La refutation bouddhique de la permanence des choses(sthirasiddhidusana)et la preuve de la momentaneite des choses(ksanabhangasiddhi)" (Paris, 1976)、 "Blo gsal grub mtha'"(Kyoto, 1982)、『ツォンカパ』(東京, 1996) 、"Bon sgo gsal byed"(Tokyo, 1997)などの著書および多くの論文があります。

同教授の研究は国際的に高い評価を受けており、これまでにカリフォルニア大学バークレー校(93年冬学期)、ハーヴァード大学(00年夏学期)、コレージュ・ド・フランス(94年秋)、国立高等研究院 (Ecole Pratique des Hautes Etudes、 第五部門:宗教学部門)(97年秋、05年春)、ウィーン大学(95年夏学期、02年夏学期)、ハンブルク大学(04年夏学期)の諸大学、研究機関に客員教授として招かれ、インド・チベット仏教哲学およびボン教思想を講じられました。

今回の学士院会員への選定は、これまでの同教授の一連の業績、研究教育活動が評価されたものです。

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