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医学部附属病院で肝臓がんに対するリアルタイムモニタリング下の動体追尾放射線治療を開始しました。(2013年3月1日)

 医学部附属病院(放射線治療科 平岡真寛 教授)は、肝臓がんに対するリアルタイムモニタリング下の動体追尾放射線治療を開始しました。同治療は呼吸により移動するがん病巣の位置をリアルタイムで評価(監視)しながら、がんの動きに合わせてピンポイント照射を行う放射線治療であり、肝臓がんに対する適用は国内初となります。

 がん放射線治療成功の鍵は、体内のがん病巣へ十分な放射線を照射することと正常臓器への放射線量を低くすることの両立です。しかしながら、体内ではがん病巣の位置が刻一刻と変化するために、両立させることは難しいものでした。このため、リアルタイムで病巣の動きに対応できる追尾放射線治療装置の開発が求められていたものです。

 今回用いた放射線治療装置Vero4DRT(MHI-TM2000)は、本学、先端医療センター、三菱重工業株式会社の産学連携のもと開発されたシステムであり、二つの大きな特長を有するものです。(1)放射線照射ヘッドの向きを変えることで、移動するがん病巣をリアルタイムで正確に狙うことができます。(2)各種イメージング機器を装備し、腫瘍全体をリアルタイムでモニタリング可能。同装置は2011年9月に肺がんに対するリアルタイムモニタリング下の追尾放射線治療を世界で初めて実現しました。今回の肝臓がん治療は、そのシステムに肝臓がんに適する体内留置マーカーにも対応することで実現しました。

 治療された症例は、肝右葉に3.4cm大のがんを有する70歳代の男性です。3月1日から4回の追尾放射線治療が実施されました。従来の治療法と比較して、がん病巣への放射線量を十分保ったまま、周囲の肝臓正常部分に対する放射線量を約16%低減可能であることが事前のシミュレーションで確認されており、放射線による肝障害の低減と高い治療効果の両立が期待されます。

 厚生労働省は2012年4月の保険改定で放射線治療における呼吸性移動対策加算を新設し、動体追尾放射線治療はその高度技術として認められました。今後、本治療の普及が進むものと期待されます。

 なお、本開発は、総合科学技術会議により制度設計された最先端研究開発支援プログラムにより、日本学術振興会を通して助成されたものです。