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第3回湯川・朝永奨励賞受賞者を決定しました。

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土居雅夫 京都大学大学院薬学研究科講師 業績の要旨等

業績の題目

生体リズム異常に伴う高血圧発症メカニズムの研究
Circadian clock disturbance behind the pathogenesis of hypertension

業績の要旨

 概日リズムは、24時間周期の昼夜の繰り返しに同調する生体反応の周期的変動リズムを指し、それを制御する分子機構を生体時計と呼びます。これまでの研究から、生体時計は、それを構成する遺伝子群の遺伝子発現を自己抑制性フィードバックによって24時間サイクルで周期的に変化させることで機能することが明らかにされていました。

 生体時計において中心的役割を果たすCry1Cry2遺伝子を欠損したCry欠損ノックアウトマウスでは概日リズムが消失します。土居雅夫氏は、Cry欠損ノックアウトマウスを詳細に解析し、これらのマウスでは、体に塩分を保持するステロイドホルモンの一つアルドステロンが野生型マウスに比べて高値であり、高塩分食の投与により高血圧を誘発できることを見いだしました。さらに、同氏は、マイクロアレイ、レーザーを用いた特定組織の採取方法など、最先端の技術を駆使して、ノックアウトマウスでは、特にHsd3b6と呼ばれるステロイド合成酵素が大量に産生され、この活性亢進がアルドステロンの過剰生産につながることを発見しました(Doi et al. Nature Med., 2010)。

 ヒトの高血圧症は、さまざまな原因により発症しますが、少なからぬ数の症例では原因が明らかではなく、有効な治療が乏しいのが現状です。特に、特発性アルドステロン症と診断される症例では、特徴的にアルドステロンが高値を示しますが、その分子機構は十分に明らかではありません。本研究は、ヒト特発性アルドステロン症のマウスモデルとなる可能性があり、将来的に、その治療法の開発につながることが期待されます。本研究は、概日リズムの異常が、高血圧症のような社会的に重要な疾患の原因となりうることを見いだした最初の研究であり、高く評価できます。また、土居氏は、これまでに生体時計の研究を一貫して行い、数々の重要な知見を報告しており(Doi, M. et al. Cell, 2006他)、その研究業績は世界的にみてもトップレベルにあると言え、湯川・朝永奨励賞にふさわしいと考えられます。

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