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iPS細胞の提供に関する取扱いの変更について-iPS細胞研究のさらなる加速化に向けて-(2009年10月7日)

 京都大学は、昨今の人工多能性幹細胞(以下、「iPS細胞」という。)研究の進捗状況を考慮し、iPS細胞の実用化(産業化)に繋がる基盤研究の拡充と加速化をより一層促すため、iPS細胞の提供に関する取扱いの大幅な変更をします。

 山中伸弥教授(物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター/再生医科学研究所)により樹立されたiPS細胞は、再生医療のみならず、生命の仕組みの解明から疾患研究や創薬等、基礎研究から臨床研究や産業応用まで幅広く活用されることが期待される、我が国発の画期的な研究成果です。

 京都大学では、iPS細胞研究の成果が一日も早く臨床応用されるよう、総合科学技術会議 基本政策推進専門調査会「iPS細胞研究の推進について(第一次とりまとめ)」(2008年7月24日)を踏まえ、iPS細胞に関する京都大学所有特許のライセンス方針を公表し、さらに京都大学で作製されたiPS細胞の民間企業への提供を2008年7月に開始しました。

 また、非営利学術研究機関に対しては、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター(以下、「理研BRC」という。)の支援を受け京都大学で作製されたiPS細胞の提供を行ってきました。

 このたび、京都大学は、産業界におけるiPS細胞の活用促進のため、京都大学が所有するiPS細胞に関する特許を実施許諾しているiPSアカデミアジャパン株式会社(以下、「iPS-AJ社」という。)と上記ライセンス方針に基づいて協議を行い、非営利学術研究機関が行う民間企業へのiPS細胞提供に関する当面の特許ライセンス方針(※注)を公表することで合意しました。

 当該iPS-AJ社の特許ライセンス方針においては、京都大学および京都大学以外の国内非営利学術研究機関で作製されたiPS細胞の民間企業での使用が同様に取り扱われることになります。

 同時に京都大学は、京都大学からの民間企業へのiPS細胞の提供に関しても、iPS-AJ社の特許ライセンス方針を踏まえた取扱いの大幅な変更を行うとともに、理研BRCを介したiPS細胞の非営利学術研究機関への提供手続に関しても、提供条件の緩和および、手続の簡略化を行うことになりました。

 なお、このたび改定する京都大学からの民間企業へのiPS細胞の提供の取扱いにつきましては、2009年11月1日から開始することを予定しています。

 京都大学は、今回の改定により、iPS細胞の基盤研究が拡充され、さらに加速化することを期待しています。

(※注)この特許ライセンス方針は、下記BioJapan2009において、iPS-AJ社より発表しました。
(iPSアカデミアジャパン株式会社:京都大学が保有するiPS細胞技術に関する知的財産の管理会社)

非営利学術研究機関で作製されたiPS細胞の民間企業への提供および使用

 昨今のiPS細胞研究の進捗に伴い、京都大学所有のiPS細胞に関する特許を利用して非営利学術研究機関で作製されたiPS細胞の民間企業への提供の要望が、非営利学術研究機関や民間企業から寄せられています。

 京都大学は、これまでも、京都大学が所有するiPS細胞に関する特許について、非営利学術研究機関に対しては原則無償で、民間企業に対しては適正かつ合理的な対価でご利用いただけるよう、その取扱いについての方針を公にしてきました。

 京都大学は、非営利学術研究機関が京都大学所有のiPS細胞に関する特許を利用して作製したiPS細胞を民間企業に提供することについても、かかる方針の下にあると考えており、京都大学所有のiPS細胞に関する特許のライセンスを鋭意進めていきます。

 なお、民間企業におかれましては、京都大学所有のiPS細胞に関する特許のライセンスをiPS-AJ社より受けていただくことにより、京都大学所有のiPS細胞に関する特許について、京都大学以外の国内非営利学術研究機関で作製されたiPS細胞の使用が、京都大学で作製されたiPS細胞における場合と同様に許諾されることとなります。

京都大学で作製されたiPS細胞の民間企業への提供に関する取扱いの変更

 京都大学は、前述の特許ライセンス方針も踏まえ、京都大学で作製されたiPS細胞の提供に関し、以下のとおり契約スキームおよび提供条件を変更します。

区分 これまで(現在) 改定後
京都大学で作製されたiPS細胞の提供を受ける際に京都大学に支払う対価 マウスiPS細胞
100万円/株
ヒトiPS細胞
150万円/株
(ヒトiPS細胞のみ技術指導あり)
マウスiPS細胞、ヒトiPS細胞ともに 5万円/株(※1)
原則、技術指導なし)(※2)
提供を受けたiPS細胞の使用期間 1年間 5年間
(期間短縮の変更は可能)
提供を受けたiPS細胞の使用についてiPS-AJ社からの特許ライセンスの必要性 不要
上記iPS細胞の提供を受ける際の対価に1年間のライセンス料相当額が含まれる) (※3)
必要(※4)
原則、100万円 /5年
社内での基礎研究目的での使用)(※5)
iPS細胞の使用に必要となる契約書 京都大学との
iPS細胞利用許諾契約書
京都大学とのiPS細胞利用許諾契約書
および
iPS細胞の使用に関わるiPS-AJ社との特許ライセンス契約書

(※1) 改定後の対価は、前記のとおりiPS-AJ社からの特許ライセンスを併せて受けていただくことが前提となります。
(※2) iPS細胞の培養・維持に関するテキスト等の資料を配布する予定です。
(※3) これまで京都大学からiPS細胞を提供する際の対価には、ライセンス料相当額が含まれていたため、別途iPS-AJ社からの特許ライセンスは不要としていました。
(※4) 京都大学以外の国内非営利学術研究機関で作製されたiPS細胞の提供を受け使用することも許諾内容に含まれており、京都大学のiPS細胞と他の国内非営利学術研究機関のiPS細胞が同様に取り扱われることになります。
(※5) 使用目的が異なるときは、別途iPS-AJ社との交渉が必要となります。

京都大学で作製されたiPS細胞の非営利学術研究機関への提供に関する取扱いの変更

 このたび、京都大学は、京都大学から非営利学術研究機関へのiPS細胞の提供に係るシステムを刷新し、現行の2段階((1)京都大学との手続、(2)理研BRCとの手続)から、1段階(理研BRCとの手続)に集約し、簡略化しました。

 また、これまでの京都大学からの提供条件についても、「京都大学に対する研究結果公表の60日前までの告知義務」を撤廃し「公表する内容の写しを京都大学に送付する」とともに、「研究成果に基づく特許出願の報告義務」を撤廃しました。

 京都大学は、今回の取り扱い変更により、提供希望者およびその所属機関の負担を軽減し、今後とも、さらにiPS細胞研究が推進するよう努めます。

新規マウスiPS細胞3株の非営利学術研究機関への配布開始

 このたび、京都大学山中伸弥 物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長の研究室で作製されたマウスiPS細胞が新たに3種類、理研BRCから非営利学術研究機関に配布が開始されました。

  今回配布を開始するのは、プラスミドベクターを用いて4遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)を導入し作製されたマウスiPS細胞株2種類と、c-Mycがん原遺伝子を除く3遺伝子をレトロウィルスベクターを用いて導入し作製されたマ ウスiPS細胞株1種類です。

 京都大学から1種類のマウスiPS細胞のアカデミアへの提供は2008年3月に、2種類のヒトiPS細胞 のアカデミアへの提供は2009年3月より開始しており、新規の3種類のマウスiPS細胞含めると、マウスiPS細胞4株、ヒトiPS細胞2株を提供する ことになります。

<新たに配布を開始するマウスiPS細胞の内容>

細胞名
(理研BRC番号)
iPS-MEF-Ng-178B-5
(APS0002)
iPS-MEF-Fb/Ng-440A-3
(APS0003)
iPS-MEF-Ng-492B-4
(APS0004)
寄託者 山中 伸弥 センター長  (京都大学 物質-細胞統合システム拠点 iPS細胞研究センター)
導入遺伝子 Oct3/4, Sox2, Klf4 Oct3/4, Sox2, Klf4,c-Myc Oct3/4, Sox2, Klf4,c-Myc
遺伝子導入ベクター レトロウィルスベクター プラスミドベクター プラスミドベクター
レポーター Nanog-GFP-IRES-Puror Fbx15βgeo/βgeo
Nanog-GFP-IRES-Puror
Nanog-GFP-IRES-Puror

公表

 このたびのiPS細胞提供に関する取扱い変更に関しては、「Bio Japan 2009」にて京都大学の出展ブースおよびワークショップにより広く公表しました。

Bio Japan 2009会場: 〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1 パシフィコ横浜 展示ホール C・D
京都大学出展ブース: 10月7日(水曜日)~10月9日(金曜日)
出展ブース番号: A201
ワークショップ発表日時: 10月7日(水曜日) 15時00分~15時30分
ワークショップシアター(展示ホール内)「iPS細胞等の研究成果の管理活用について~オープンなイノベーション発展に向けて~」

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