森和俊 大学院理学研究科教授、山中伸弥 物質 - 細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長がガードナー国際賞を受賞 (2009年3月31日)

森和俊 大学院理学研究科教授、山中伸弥 物質 - 細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長がガードナー国際賞を受賞 (2009年3月31日)

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山中伸弥 物質 - 細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長の主な業績

  1. ノックインマウスの線維芽細胞を用いた多能性誘導アッセイ系により、候補因子の中から4つの遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)の導入で、ES細胞と形態、機能が近似した人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cell)が樹立できることを見出した。(2006年8月に発表)
  2. レトロウイルスによる遺伝子導入効率を向上させる工夫の上、マウスと同じ遺伝子セットを用いて、ヒト皮膚の初代培養線維芽細胞からヒトiPS細胞の樹立にも成功した。そして、ヒトiPS細胞は報告されているヒトES細胞に類似した形態、機能を示した。(2007年11月に発表)
  3. レトロウイルスでゲノムに導入されたc-Myc遺伝子の再活性化によりキメラマウスに腫瘍が発生することが分かり、臨床への応用における課題とされた。しかし、iPS細胞樹立法を改良することでc-Mycを用いず3因子だけでマウスおよびヒトの線維芽細胞からMyc- (マイナス)iPS細胞を樹立することに成功し、安全面での課題を回避出来る可能性を示した。このことで、今後の細胞移植治療への応用、病因の究明や薬剤の毒性評価等を可能とした。(2007年12月に発表)
  4. マウス体細胞でウイルスベクターを用いずにiPS細胞を樹立することに成功した。従来、iPS細胞は1)の4因子をそれぞれレトロウイルスベクターで体細胞に導入して作製してきた。しかし、この方法ではゲノムへのc-Mycレトロウイルスベクター挿入に起因する腫瘍形成の課題があり、Myc-iPS細胞においても危惧は完全に払拭されたわけではなかった。今回は、レトロウイルスの代わりにプラスミドベクターを使ってiPS細胞の樹立に成功した。調べた範囲では、プラスミドベクターはゲノムには挿入されていなかった。この成果はiPS細胞を臨床応用する上で必須となる、安全性確保の点で大きな前進をもたらした。(2008年10月発表)