西田利貞 名誉教授がリーキー賞,国際霊長類学会生涯功労賞を受賞 (2008年4月3日)

西田利貞 名誉教授がリーキー賞,国際霊長類学会生涯功労賞を受賞 (2008年4月3日)

  このたび,西田利貞 名誉教授がリーキー賞(L.S.B. Leakey Prize)と国際霊長類学会生涯功労賞(Lifetime Achievement Prize of International Primatological Society)を受賞されることになりました。前者は人類起源に関して学際的なインパクトのあった研究に与えられる賞で,平成3年以来数年に1度リーキー財団から与えられます。後者は平成16年に制定され,霊長類学に貢献のあった研究者に2年に1度与えられる賞です。いずれも日本人としては最初の授与となります。以下に,西田名誉教授の略歴,業績等を紹介します。

 西田利貞 名誉教授は,昭和38年京都大学理学部動物学教室を卒業後,同理学研究科動物学専攻修士課程に入学,同44年5月博士課程を修了しました。同年12月に東京大学理学部人類学教室助手に採用され,講師,助教授を経て,同63年4月に京都大学理学部動物学教室教授に昇任しました。平成7年4月大学院理学研究科教授に配置換えとなり,同16年3月定年退官,同年4月以来(財)日本モンキーセンター所長に就任し,現在に至っています。

 研究の皮切りはヒトリザルの研究であり,野生ニホンザルの社会はオス中心ではないことを提案した修士論文は国際的に高い評価を受けました。昭和40年以来,アフリカのタンザニアで野生チンパンジーの行動学的・社会学的研究に従事しています。この間,チンパンジーの社会単位,大人雄の集合性,雌の移籍,父系社会,集団間の敵対性などを発見し,さらに大人雄の連合戦略や大人雌の社会関係などチンパンジーの社会構造を解明しました。また,求愛,採食などの行動に地域変異を数多く発見し,文化行動研究に先鞭をつけました。その他,ボノボの予備調査,バンツー系焼畑農耕民の予備調査なども行いました。マハレ山塊国立公園の設立に貢献し,マハレ野生動物保護協会を設立しました。学会活動としては,国際霊長類学会会長,日本霊長類学会会長を歴任しました。大型類人猿を保全するため20年以上 IUCN/SSC 霊長類スペシャリスト・グループ委員を務め,また国連環境計画大型類人猿特別大使(平成13年~同15年),Great Ape Survival Programのパトロン(同16年~)として活躍しています。平成16年以来国際誌Primatesの編集長を務めていまする。また,日本学術振興会学術システム研究センターの生物学担当の主任研究員として,研究環境改善の作業に参画しました。

 Jane Goodall Award(平成2年), 大同生命国際文化基金地域研究奨励賞(同7年),日本人類学会功労賞(同19年)を受賞しました。