超小型・超省エネルギーのラマンシリコンレーザーを開発-光と電子が融合した理想のシリコンチップに道

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用語解説

ラマンシリコンレーザー

ラマン効果をレーザー発振に用いたレーザーのこと。そのため電流ではなく光励起で発振させるレーザーである。半導体レーザーでは実現できていない黄色のレーザーなどを作るために利用される。同じ原理を用いた製品として、ラマン増幅光ファイバーがインターネットの光通信で利用されている。

ラマン効果(ラマン散乱)

1928年、インド人のラマンが発見した発光現象で、結晶に入射した光が結晶の熱振動(フォノン)と相互作用して、入射した波長より少し長い波長の光が放出される現象(図1)。この波長の変化が物質に固有であるため、ラマン効果は物性研究だけでなく、爆破物検査、環境検査などに幅広く利用されている。ラマンはこの業績で1930年にノーベル物理学賞を受賞した。

光励起型のレーザー

レーザー発振に必要なエネルギーを、光を照射して加えるタイプのレーザー。電流でエネルギーを加える半導体レーザーと比べると、汎用性に難点を抱えるが、さまざまな応用製品がある。例えば世界初のレーザーであるルビーレーザーは光励起型で、医療用レーザーなどに現在でも使われている。また、緑色のレーザーポインターも、実は光励起型のレーザーである。

フォトニック結晶

光が波である特性を利用して、光を自在に閉じ込めたり、制御可能な特長を持つ光素子。図3に示すように、薄い板状の材料に、周期的に孔状の穴を開けた構造が有名。企業でも活発に研究が行なわれている。

光共鳴装置(光共振器)

2枚の鏡で光を閉じ込めた構造のこと。レーザー発振には、光を何度も往復させる必要があるので、必ず光共鳴装置が必要となる。一般的には小さくて、Q値が高いほど、優れた共鳴装置と考えられており、フォトニック結晶を用いると世界最高級の光共鳴装置が実現できる。

PiN構造

半導体に電圧をかけるために必要となる構造