出版と提携した京大フィールド・データベースの公開-布野修司・世界建築データベースと布野修司、ヒメネス・ベルデホ著「グリッド都市」-について

出版と提携した京大フィールド・データベースの公開-布野修司・世界建築データベースと布野修司、ヒメネス・ベルデホ著「グリッド都市」-について

2013年3月15日


柳澤准教授

 柳澤雅之 地域研究統合情報センター准教授を代表とする地域情報学プロジェクト研究グループは、本学の教員が海外の調査研究で集積してきたさまざまな資料をデータベース化し、京都大学学術出版会と連携して、一般にも公開するシステムの構築を進めています。そのうち、布野修司・世界建築データベースと布野修司、ヒメネス・ベルデホ著「グリッド都市」の刊行(2013年2月)にあわせて、布野修司 元本学助教授(現滋賀県立大学副学長・教授)の世界建築データベースの一部を、2013年3月15日付けにて公開しました。

背景

 本学では海外でのフィールドワークによる研究が盛んです。特に終戦直後から開始された海外フィールドワークによりさまざまな研究成果が発信されてきましたが、現地で取得された情報は、研究成果として公開されたもの以外にも膨大なものがあります。これらの情報は、多くの場合、研究者が個別に所蔵しているため、保存状態は不良で、かつ、年々失われる傾向にあります。早急な保存が望まれています。

研究手法・成果

 これらの研究資料を保存し、当時の様子を知る研究資料として新たに活用すべく、地域研究統合情報センターでは、フィールドワークの資料を保存し共有化するプロジェクトを進めています。高谷好一 名誉教授の土地利用・生業体系データベースや、山田勇 名誉教授の世界の森林生態系データベースなどの整理を現在進めています。データベースの構築には、地域研究統合情報センターが開発した情報資源共有化システムを通じてデータを蓄積し発信するよう進めています。

 この中で、京都大学学術出版会と連携して、一般の方々にも閲覧可能なシステムの構築を進めています。具体的には、同会から出版される書籍の中にQRコードを埋め込み、読者がスマートフォンなどを使ってコードを読み込ませることで、地域研究統合情報センターのデータベースにアクセスし、京都大学フィールドワーク研究の成果を閲覧することが可能となるシステムの構築を目指しています。


スマートフォンからデータベースへのアクセスイメージ

 今回は、その最初の成果として、布野修司、ヒメネス・ベルデホ著「グリッド都市」の刊行(2013年2月)にあわせて、布野 元本学助教授の世界建築データベースの一部を2013年3月15日付けにて公開しました。

波及効果

 出版会と研究機関とが協力し、研究成果の新たな社会還元の方途を示す活動であり、他の出版物とデータベースの連携にも応用が可能です。また、冊子体の書籍か電子書籍であるかを問わず、書籍を通じてデータ利用の可能性が拡大する一つの方向性を示しています。

今後の予定

 本学のフィールドワークの成果を順次、公開可能とするべく、データベースを整備しています。

書誌情報

布野修司 世界建築データベース
http://app.cias.kyoto-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003gridcity

布野 修司、 ヒメネス・ベルデホ ホアン・ラモン (著)
「グリッド都市―スペイン植民都市の起源、形成、変容、転生」
京都大学学術出版会 2013.2.


  • 朝日新聞(4月3日夕刊 5面)、京都新聞(3月16日 25面)および産経新聞(4月5日 23面)に掲載されました。