単結晶X線解析によるヘリウム原子の観測、ならびに異種原子を同時に内包させたフラーレンの合成に世界で初めて成功

単結晶X線解析によるヘリウム原子の観測、ならびに異種原子を同時に内包させたフラーレンの合成に世界で初めて成功

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用語解説

フラーレン

炭素原子が球状に結合して構成される球状分子。1985年に最初のフラーレンC60が発見され、1990年にアーク放電法による大量合成法が確立された。1996年のノーベル化学賞は、フラーレンを発見した3人の研究者に与えられた。

アーク放電法

中空のフラーレンや金属内包フラーレンを合成する代表的な手法。金属を練り込んだグラファイト棒を低圧のヘリウムガス存在下でアーク放電させ、ススを発生させる。そのススを有機溶媒によって抽出することによって、ススの質量の1割程度のフラーレン混合物が得られる。その大部分は中空のC60ならびにC70であり、金属内包フラーレンが少量生成する。

イオン注入法

中空のフラーレンC60あるいはC70を真空下で昇華させ、そこへ窒素やリチウムのプラズマを作用させることによって、窒素原子を内包したフラーレン、あるいは、リチウム内包フラーレンを合成する手法。

高温高圧処理法

中空のフラーレンに希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン)を3000気圧、650度程度の高温高圧で接触させることにより、極少量の希ガス内包フラーレンを合成する手法。

分子手術法

小松紘一 化学研究所教授、村田靖次郎 同教授らによって開発された、新しい内包フラーレン合成法。穏和な条件下での有機化学反応によりフラーレンに開口部を構築し、そこから水素分子・ヘリウム原子・水分子を内部に高効率で挿入し、その後開口部を修復することによって、元のフラーレン骨格を再生させる。

電子スピン共鳴スペクトル

磁気共鳴吸収法の一つで、有機化合物中の不対電子(ラジカル)の構造を解明するのに非常に優れた測定法。

有機薄膜太陽電池

可視光を効率良く吸収する半導体ポリマーとフラーレン誘導体の混合薄膜の上下に電極を取り付けた次世代太陽電池。シリコンを用いないため、軽くフレキシブルな電池の作製が可能である。