正常な細胞分裂に不可欠なタンパク質の機能と構造を解明

正常な細胞分裂に不可欠なタンパク質の機能と構造を解明

前のページに戻る

用語解説

微小管

チューブリンというタンパク質が多数重合してできた管状の細長い細胞内構造。レールのような役割を果たす微小管に沿ってモータータンパク質が動き、それに伴ってモータータンパク質に結合している輸送小胞などが細胞内を運ばれる。微小管は、細胞分裂時の染色体の分離過程などでも重要な役割を果たす。

輸送小胞

細胞内でタンパク質が輸送される際には、脂質の膜がそのタンパク質を包み込むことによって形成された小胞が輸送される。この小胞を輸送小胞という。

モータータンパク質

細胞内でATPなどの化学エネルギーを運動エネルギーに変換するタンパク質の総称。筋肉などに存在するミオシンタンパク質はその代表例であり、アクチン繊維に沿って動く。微小管に沿って動くモータータンパク質としてキネシンやダイニンのようなタンパク質のファミリーが知られており、MKLP1はキネシン様タンパク質の一種である。

低分子量Gタンパク質

グアニンヌクレオチド(GTPまたはGDP)と結合するタンパク質であり、細胞内で起こるさまざまな機能のオン/オフを切り替える分子スイッチの役割を果たす。GTP結合型がオン状態で、GDP結合型がオフ状態である。ARF6は輸送小胞の形成や細胞膜との融合の過程でオン/オフのスイッチとして働くと考えられる。

X線結晶構造解析

タンパク質の立体構造を調べるために広く使われている手法の一つ。結晶化したタンパク質にX線を当て、得られた回折X線データから立体構造を決定する。フォトンファクトリーにはタンパク質結晶構造解析用実験ステーションが5つある。

RNA干渉法

標的とする遺伝子由来のRNA(メッセンジャーRNA)における塩基配列と同一の配列を有する短いRNA分子を細胞内に導入すると、そのメッセンジャーRNAが分解される現象を利用して、標的遺伝子由来のタンパク質の発現を抑制する手法。遺伝子破壊実験に比べて簡便に行うことができる。RNA干渉法でタンパク質の発現を抑制した場合に起こる細胞の異常を調べることによって、そのタンパク質の細胞内での機能を推測することができる。