量子コンピュータ実現に大きく近づく誤り耐性技術を開発 ~誤りの大きな量子ゲートを用いても量子計算が可能に~

量子コンピュータ実現に大きく近づく誤り耐性技術を開発 ~誤りの大きな量子ゲートを用いても量子計算が可能に~

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用語解説

量子コンピュータ

量子ビットを複数個配列した構造(量子レジスター)に様々な演算をさせることにより、情報処理を行うコンピュータのこと。演算途中の状態で「重ね合わせ」という量子特有の状態を扱えるため、素因数分解やデータベース検索などにおいては、現状のコンピュータとは桁違いの速さで処理が可能になる。

量子ゲート

粒子間に相互作用をさせるゲートで量子計算に必須な基本ゲート。現在の情報処理におけるANDゲートやORゲートなどに相当する。主要な量子ゲートとしては制御NOTゲートがある。

確率的ゲート

確実には成功せず、確率的にのみ成功するゲート。確率的ゲートでは、シグナルにより成功か失敗かを判定する(図1)。例えば、線形光学素子を用いた量子ゲートでは、原理的に確率的ゲートしか作れないことが知られている。また、シグナル検出に通常用いられる光子検出器の効率は10~70%(波長により異なる)であるため、さらに成功確率は低下する。

量子もつれ

複数の粒子間に量子力学的な相関がある状態のこと。例えば、量子もつれ状態にある二つの光子の場合、片方の状態が決まると、もう一方の状態もそれに応じて決まるといった特異な性質がある。この性質を量子情報の伝送、演算に利用することができるので量子情報処理のリソースともいえる。

トポロジカル符号

近年研究が進む量子誤り訂正符号。トポロジー(位相幾何学)を意識した構成になっているのでこのように呼ばれる。ここで用いる量子ゲートは、現実的な物理を考慮した近接相互作用のみであり、また一方向量子計算を自然に実装できることにおいても、現実性が高いとされている。

一方向量子計算

量子コンピュータ実現に向けて有望視されている測定モデルの量子計算方式。クラスター状の量子もつれ状態(エンタングルメント)を予め準備しておけば、あとは非常に簡単な処理だけで量子計算が行える。

分割統治法

そのままでは解決することが難しい大きな問題を、いくつかの小さな問題に分割して個別に解決していくことで、最終的に大規模な問題を効率的に解決する方法