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ご当地翻訳サービス「京大翻訳!」の運用開始

2011年2月10日


稲葉特定講師

 京都大学に特化した翻訳サービスである「京大翻訳!」の運用を開始します。

 「京大翻訳!」は、稲葉利江子 情報学研究科特定講師のグループが京都大学生活協同組合(以下、「京大生協」という。)と協力して開発したものです。

 機械翻訳の課題の一つに、特定のコミュニティ内で利用される用語や言い回しの翻訳があります。今回、京都大学を対象に、多言語文章より日英15,000語以上の専門用語を抽出し、京都大学で運用している「言語グリッド」を利用し、機械翻訳と連携することで、コミュニティに特化した翻訳サービスの提供を可能としました。京大翻訳!を用いることで、京都大学に特化した翻訳結果を得られるとともに、辞書検索ができるなど、京大関連の翻訳を行う際に便利です。

 また、専門用語の抽出とともに、京都大学関連の多言語文章から用例対訳2,000文以上の抽出を行いました。用例対訳の検索機能の他、情報学研究科黒橋教授のグループが研究開発を行っているKyotoEBMTを用いることにより、翻訳精度の向上にも努めています。

 このように「京大翻訳!」には、京都大学の最新の研究成果も活用しています。

 2月10日より、京大生協のWebサーバにて運用を始めます。(http://www.s-coop.net/smarttrans.html

京都大学に特化した言語サービス

 京都大学という特定のコミュニティ内で利用される用語の抽出には、京都大学から公開されている「留学生ハンドブック」「京都大学への留学案内」などに加え、京大生協の「留学生ハンドブック」などの多言語文章を用いました。その他、全学共通科目名、学内の建物、講義室名、教員名などを登録し、1万語以上の京都大学辞書を作成しました。科目名、教員名を除いた約5,000語に関しては、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語の辞書も作成し、対応しています。言語グリッドを利用し、機械翻訳と連携することにより、京都大学関連用語などを正しく翻訳することができます。

 以下に、京大翻訳の利用例を示します。太字の単語は、今回作成した辞書に含まれている用語です。

例1) 京大への道案内

  京都駅北出口のバス乗り場から市バス#206に乗車してください。
京大正門前でバスを下車して、東一条通を東へ進んでいただくと、左手に正門が見えてきます。
京大翻訳 Please get on city bus # 206 from a bus stop in Kyoto Station North exit.
When I get off a bus in Kyodai Seimon-mae, and you advance Higashi-Ishijo St. towards the east, a front gate is being seen as a left hand.
※京大周辺バス停名および周辺地名が登録されているため、案内に利用できます。

 

例2)学内の案内

  京大内には北部食堂中央食堂カンフォーラなどの食堂があります。 他には東大路通を渡ったところにあるルネという食堂に、ケバブキッチンがあります。
京大翻訳 A dining room in Hokubu cafeteria, Chuo cafeteria and Camphora is in Kyoto University. There is other KEBABUKITCHIN in a dining room as Renais in the place where I crossed Higashioji St.

 

例3)講義に関する説明

  京大で開講している「IT時代のヒューマンライフ(A群)」は、台湾大学との遠隔講義です。
京大翻訳 Human Life in ICT Era which has started by Kyoto University is remote lecture with Taiwan University.
※講義名が登録されているため,講義情報について正しく伝えることができます。

 

例4)特別講義の案内

 

第3回京都大学サービスコンピューティングコロキウム
日時:2010年10月7日 14:00-17:00
場所:京都大学 工学部10号館3F会議室

中国科学院からHai Zhuge先生を招いて今後のサービスグリッドに ついて議論を 深めます。講演は英語で行われます。GCOEフィールド情報学コアセミナー、社会情報学特別講義を兼ねています。参加希望者は10月1日までに   "kosugi i.kyoto-u.ac.jp"にお申込みください。(希望者が多ければ、会場を講義室に移します。)
実施責任者:社会情報学専攻 石田亨
京大翻訳

The 3rd time Kyoto University service computing colloquium
Date and Time :2010 October 7th 14 : 00 - 17 : 00.
Place :Kyoto University Faculty of Engineering Bldg. No.10 3 F meeting room

Hai Zhuge teacher is invited from Chinese Academy of Sciences, and argument is deepened about future's service grid. It's lectured on in English. It's combined with GCOE Field Informatics core seminar and Social Informatics Special Lectures. Please apply to kosugi i.kyoto-u.ac.jp for a participation applicant by October 1st.(When there are a lot of applicants, a meeting place is moved to the lecture room.).
Implementation person in charge: Department of Social Informatics Toru Ishida

※講義名および、構内の建物、主要会議室名、教員名が辞書登録されているため,特別講義などの案内メールなどにも利用可能です。

京都大学での最新の研究成果に基づいています

 本サービスの開発には、独立行政法人情報通信研究機構(以下、「NICT」という。理事長:宮原秀夫)が開発し、情報学研究科社会情報学専攻(石田 亨教授)が運営している「言語グリッド」を用いています。言語グリッドは、サービスコンピューティングに基づき、インターネット上の言語資源(辞書や翻訳ソフトウェア等)を用いた多言語サービスを接続することで、ユーザによる自由なサービスの組み合わせを可能にするソフトウェアです。

 また、「京大翻訳!」の実現には、戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)の助成を受けて京都大学情報学研究科社会情報学専攻とNICTが共同で開発した言語グリッドToolboxを用いました。

 さらに、情報学研究科(知能情報学専攻 黒橋禎夫教授)が科学技術振興調整費の支援を受けて開発したKyotoEBMT (Example-based machine Translation)を利用しています。KyotoEBMTは、日英・日中のように構造が大きく異なる言語間の翻訳を正確に行うために深い構造解析を行っており、さらに用例対訳を用いて機械翻訳の精度を向上させることができるため、正確な対訳文が蓄積されるに従い機械翻訳も正確になっていきます。

 このように「京大翻訳!」には、京都大学の最新の研究成果も活用しています。

今後の展開

将来的には、今回の試みを社会に還元することを目的とし、京都大学以外での「ご当地翻訳サービス」へと普及していくことを目指し、活動していく予定です。

用語説明

言語グリッド

ユーザがインターネット上で多言語の言語サービスを共有し組み合わせて、多文化共生活動および国際交流活動のためのサービスを利用可能とする多言語サービス基盤です。詳細は、http://langrid.nict.go.jpをご覧ください。

 

  • 京都新聞(2月10日 23面)、産経新聞(2月10日 20面)、毎日新聞(2月23日 22面)および読売新聞(2月10日 35面)に掲載されました。