不感時間ゼロの荷電粒子多重計測に成功 - XFELによる単分子構造解析に向けた大きな一歩 -

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用語説明

X線自由電子レーザー

X線自由電子レーザー(XFEL:X-ray Free-Electron Laser)は、第3期科学技術基本計画における5つの国家基幹技術の1つとして位置付けられており、独立行政法人理化学研究所において大型放射光施設 SPring-8に隣接して建設中にて、2011年度の共用開始を目指し開発している。XFEL計画は、通常のレーザーと異なり、物質に束縛されていない自由電子を用いて、SPring-8のX線より10億倍の明るさ、1,000分の1の極めて短いパルスで、100パーセント位相の揃った最短波長0.06ナノメートル(10億分の1メートルが1ナノメートル)のX線領域のレーザーを創り出すもので、フェムト秒(フェムト秒とは時間の単位で、1フェムト秒は1,000兆分の1秒)領域の原子の世界を映し出す。そのため、基礎研究から、産業や国民の生活に役立つ応用研究開発において、諸外国に先駆けて革新的な成果を創出することが期待されている。具体的には、がんやエイズなどの難病に対する特効薬の開発や、持続的発展に必要な新エネルギーシステムの研究など、ライフサイエンスやナノテクノロジーの分野など幅広い分野の発展が見込まれている。

SCSS試験加速器

SPring-8 Compact SASE Source の略。XFELの試験機として、独立行政法人理化学研究所播磨研究所に建設された。XFELの32分の1の加速エネルギー(250MeV) をもち、波長51-61nmの自由電子レーザーを発生可能。全長60m。SASEは自己増幅自発放射(Self Amplified Spontaneous Emission)を意味する。

クラスター

原子や分子が数個以上集まった状態をいう。

不感時間

1つの信号を検出してから、次の信号を検出する用意ができるまでに時間を要する場合、その間の時間のことをいう。不感時間があると、その間、信号を検出できない。

X線回折

X線が結晶中を通過するときに回折される現象をいう。この現象を利用して、固体の構造を決定することができる。