直径12ナノのタンパク質かご分子: フェリチンが金属を吸込む謎を原子レベルで解明

直径12ナノのタンパク質かご分子: フェリチンが金属を吸込む謎を原子レベルで解明

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用語解説

フェリチン

フェリチンは24個の単量体から構成される外径12nmの球状タンパク質であり、分子量は約480kDaである。生物学的には鉄貯蔵の機能を有する。直径8nmの内部空間で数千もの鉄イオンをFeIIからFeIIIへ酸化し、酸化鉄ミネラルの状態で堆積する。鉄以外にも数種類の金属イオンや有機小分子を内部空間に集積できることがわかっている。

大型放射光施設 SPring-8

兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す理化学研究所の施設で、その管理運営は高輝度光科学研究センターが行っている。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8GeVに由来。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、 細く強力な電磁波のこと。SPring-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。

バイオミネラリゼーション

生物によって無機化合物が作られる反応の総称。珪藻が作るシリカ被殻、真珠や貝殻を構成する炭酸カルシウムの結晶や磁性細菌が作り出す磁性微粒子が知られている。

異常分散効果

原子に固有のX 線吸収波長の付近で吸収が不連続的に大きく変化する現象。原子によってX線吸収波長が異なる事を利用して、各原子の位相の区別や絶対構造の決定に大きな威力を発揮する。

多核構造

複数の金属イオンが寄り集まって一つの構造体を形成する事の総称。