ウイルスを用いずに人工多能性幹細胞(iPS細胞)樹立に成功

ウイルスを用いずに人工多能性幹細胞(iPS細胞)樹立に成功

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用語解説

人工多能性幹細胞(iPS細胞)(induced pluripotent stem cell)

  体細胞に特定因子を導入することにより樹立される、ES細胞に類似した多能性幹細胞。2006年に本研究グループにより世界に先駆けてマウス体細胞を用いて樹立されました。

レトロウイルスベクター

  ベクターとは、細胞外から内部へ遺伝子を導入する際の「運び屋」を指します。ウイルス由来のベクターは、遺伝子導入効率の高さから盛んに開発されてきました。ここでは、目的遺伝子をウイルスに組み込み、細胞に感染させることにより遺伝子を導入します。レトロウイルスベクターは、このウイルスベクターの1種類として確立されたもので、宿主の細胞に感染したあと、宿主のDNAのなかに入り込み、自らのウイルスを増殖させる性質を利用するものです。レトロウイル スなどのウイルスベクターは不安定であるため実験のたびに作成する必要があります。またウイルス作製時には、実験者へも感染する可能性があるため、厳密に管理された実験室で作製する必要があります。

プラスミドベクター

  プラスミドベクターは、試薬や電気穿孔などの方法で宿主の細胞に導入され、外来遺伝子を染色体外で発現させます。導入効率は、一般にレトロウイルスベク ターなどのウイルスベクターの方が高いとされます。本研究では、2Aプラスミドという複数の遺伝子を同レベルで導入、発現させるシステムを利用してます。 プラスミドベクターは安定で、一度作製すると長期間にわたって保存することができます。また通常の実験室で作成することができます。