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ノーベル生理学・医学賞受賞者Bert Sakmann(ベルト・ザックマン)博士来日記念講演会


ポスター(PDF)

講演タイトル

「Digital Anatomy of the Touch System ~触覚系の計算機による解明に向けて~」

講演者

Bert Sakmann博士
(Max-Planck Florida Institute、所長)

講演概要

  ラットなどの夜行性の齧歯動物は、ひげからの感覚入力に頼って移動している。こうした齧歯動物は、探索行動中、活発にひげ(感覚毛とも呼ばれる)を前後に動かし、手近の範囲内にあるものすべてに触れている。触覚という感覚入力により、物の位置を特定し、表面形状を区別し、あるいは、距離を予測する。つまり、ラットのひげはヒトの指先と同じようなものである。このシステムを研究する理由は、その独特な解剖構造にある。一つのひげの毛胞から得られる感覚入力の大部分は、大脳皮質の一次体性感覚野にある専用のネットワークで処理される。円柱状のネットワークには約17,000個のニューロンがあり、バレルカラムと呼ばれる。さらに、このネットワークは、視床のひげ専用ニューロンから入力を受ける。こうしたネットワークが、いかにひげからの触覚情報を処理するかを理解するために、我々は三次元の解剖構造、および視床入力-カラム間の結合性について、逆工学的研究を開始している。すなわち、すべての興奮性・抑制性ニューロンについて、その数および三次元空間での分布を決め、細胞種類をその樹状突起形態により分類し、さらに、視床-皮質ニューロン間での構造的な重なり具合を分析した。この結果より、9つの種類に分類された約15,000個の興奮性ニューロンからなり、視床からおおよそ3,000,000個のシナプスを介して入力を受ける、解剖学的に精緻な三次元のコラムモデルが得られた。ひげのたわみによってin vivo計測された信号によりこのin silico皮質カラムを刺激することで、15,000個のすべてのニューロンにわたる、細胞以下の空間精度とミリ秒オーダーの時間精度において、感覚情報処理の計算機シミュレーションができる。計算機シミュレーションは、ひげの触覚によって引き起される行動の背後にある神経機構の原理の理解に役立つであろう。

講演日時

2010年9月1日(水曜日) 14時30分~16時00分

会場

京都大学百周年時計台記念館 国際交流ホール

申し込み

申し込みは不要です。入場無料・先着200名

注意

英語講演(同時通訳なし)

Biography

  Bert Sakmann(ベルト・ザックマン)博士は、ドイツMax-Planck医科学研究所(Heidelberg)の名誉教授であり、今もMax-Planck神経生物学研究所にてin silico大脳皮質局所回路研究グループを率いている。ザックマン博士は、ドイツLudwigs-Maximilian大学医学部にて医学博士号を取得し、主に神経と筋肉におけるイオンチャンネルの構造と機能に関する研究、および発達過程における神経筋シナプスの構造と機能の変化の仕組みの研究を行ってきた。最近では、哺乳類中枢神経系シナプスの短期的・長期的修飾の細胞・分子的メカニズムに関心を寄せている。ザックマン博士は、微少な細胞膜電流を計測するパッチクランプ法の開発とそれに基づく単一のイオンチャネル分子に関する諸発見により、1991年Erwin Neher博士と共にノーベル生理学・医学賞を授与された。

主催

京都大学大学院情報学研究科

共催

京都大学
   大学院理学研究科
   大学院医学研究科
   大学院生命科学研究科
   iPS細胞研究所(CiRA)
   物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)
Neuro2010
   (第33回日本神経科学大会、第53回日本神経化学会大会、第20回日本神経回路学会大会 合同大会)
   http://www.neuro2010.org/
京都大学グローバルCOE “知識循環社会のための情報学教育研究拠点”
   http://www.i.kyoto-u.ac.jp/gcoe/index.html

問い合わせ先

大学院情報学研究科 講演会事務局
E-mail: kouenkai2010*i.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)

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