京都大学シニアキャンパスは、これまで3年間「交響する身体」というテーマで取り組んできました。それは、ひとの身体のそれぞれの器官が美しいハーモニーを奏でるかのように、学びのなかにもさまざまな響きあいを取り戻したいという想いからです。おかげさまでこの企画も4年目を迎えます。
今回は、この交響性を「いま」という、限られた「人、もの、自然」にまなざしを注ぐのではなく、過去や未来の「人、もの、自然」にまで想いをはせてみようという試みです。その単位も千年というスケールのものです。
今から1千年前、安倍吉昌が観測、後に歌人の藤原定家が日記「明月記」に記録を残した超新星SN1006を、ちょうど千年後の2006年、京大のグループが直径50光年の巨大な火の玉に成長した姿でとらえることに成功しました。
この研究をはじめ、宇宙学という先端のテクノロジーを駆使した宇宙探査のための研究が、本学宇治キャンパスで進められています。宇宙太陽発電所からの無線エネルギー伝送の可能性を実証した実験装置や惑星間航行装置の設計など、宇宙を理解するには欠かせない装置などを公開します。また、次の千年に向けてどのような研究が進められているのかを詳しく紹介したいと思っています。
おりしも、今年は源氏物語千年紀に当たる年です。宇治キャンパスのある宇治は、「宇治十帖」の舞台となった地でもあります。源氏物語とその時代について、 ゆかりの地を足でたどりながら、歴史や文芸、また当時の建築など、その時代が全体として理解できるように、さまざまな側面からスポットを当てていくことで、理解が深まればと考えています。これは本学の専門家と地元のボランティアの方々の協力によって実現した企画です。宇治に宿泊する第2日目の夜は、地元の「源氏物語を読む会」をゲストに迎えて交流の場を設けました。学ぶことの面白さを存分に語り合う場になることを願っています。
今回は、受講者のための特別講義とは別に、本学の正規の授業の中に学生と同様に受講する講義科目も用意しています。さらに、先生方の研究室訪問などを行う少人数でのミニゼミナールの時間も設けました。学問の世界がより身近に感じていただければ幸いです。
個人の歴史は地球や宇宙の歴史に比べれば、ほんのつかの間の時を刻んでいるに過ぎません。けれども、私たちは個人の歴史を超えた過去の世界や未来の世界を学ぶことによって、私たちの生きる「いま」をより深く知ることができるようになるのではないでしょうか。
すべての人に開かれた本学のシニアキャンパスは、人生の学びを行ってきた人たちとの出会いの場です。人生という「私の大学」で学び続けてきた人と本学との出会いのなかから新しい響きあいが生まれることを心から願っています。
募集要項
日時: | 2008(平成 20)年 10月 1日(水曜日)~ 10月 3日(金曜日) 2泊3日 |
場所: | 京都大学吉田キャンパス、宇治キャンパス、宇治市内他 |
宿泊所: | 京大会館 ※ 10月 2日(木曜日) 宇治でのフィールド学習終了後、宇治市内の民宿に宿泊します。 |
参加費: | 受講料20,000 円
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募集定員: | 50名(広く社会人を対象としており、年齢は問いません) 申込者が募集定員を超えた場合は、本学の厳正なる抽選で参加者を決定します。 |
申込方法: | 「参加申込書」に必要事項を記入し、 8月 29日(金曜日)(必着)までに、 また、 メール で申し込むこともできます。 |
参加可否の通知: | 参加の可否を9月上旬までに、発送・通知します。 参加決定者には追って、シニアキャンパス関係資料を送付します。 |
協力: | この企画は、京都府商工労働観光部及び宇治市観光協会の協力を得て実施します。 |
問い合せ先: | 京都大学教育推進部教務企画課 「シニアキャンパス担当係」 電話:075-753-2528 (平日 13時~ 17時) |
- 京都新聞(7月30日 25面)に掲載されました。