巡り合わせの妙

 私が編集責任者となって、2冊の本を出版した。ひとつは京都大学総合博物館編『フォトドキュメント 今西錦司』(紀伊国屋書店、2003)で、他のひとつが京大探検者の会編『京大探検部 1956-2006』(新樹社、2006)である。


  1995年から探検部長を引き受けた。その同じころから京大に自然史博物館を設立しようという動きが本格化した。その大立者は植物学教室(当時)の河野昭一先生だった。それが実現して、京大総合博物館が1997に新設された。初代館長はもちろん河野先生。しかし河野先生は1期2年を勤められて定年退官され、私が2代目館長となった。探検部長は兼務したままである。2001年6月に総合博物館は一般公開を開始した。直後の2002年1月は今西錦司生誕100周年にあたる。探検部長を兼務している総合博物館長の主宰で企画展示『今西錦司の世界』を2001年12月から開催したのは自然の流れであった。その企画展示の内容を本にして一般公開したのが『フォトドキュメント 今西錦司』である。


  私は2006年3月末で、定年退官を迎える。その直前の3月5日が、探検部創設50周年にあたる。予定されている記念総会で、部長の交代が承認され、私はお役御免となる。それなら、50周年記念出版物の編集を部長としての最後の仕事にするのも自然の流れであった。そして生まれたのが『京大探検部 1956-2006』である。
  このふたつの出版物には、どちらも澤近十九一氏がからんできた。もと平凡社が出版していた雑誌『アニマ』の編集長で、現在はエス・プロジェクトの代表・新樹社の編集長である。企画展示『今西錦司の世界』はエス・プロジェクトが担当した。澤近氏が『フォトドキュメント 今西錦司』を紀伊国屋書店から出版する道を切り開いた。その縁から、京大探検部50周年記念誌の『京大探検部 1956-2006』の出版を、澤近氏が編集長を務める新樹社に引き受けてもらった。


  私はたまたまその場に身を置いていただけである。そして 『フォトドキュメント 今西錦司』と『京大探検部 1956-2006』というふたつの本の編集を手がけることができた。幸せな巡り合わせだったと思っている。



up back